キリリク小説

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放課後、皆が下校している中、学校の玄関先で土方は壁に背を預けてある人物が通るのを待っていた。

その姿を見つけ叫んだ。
「山崎!」

退は呼ばれたほうを見ると
「げっ。ひ、土方先輩っ!」
逃げようとしたら首根っ子を掴まれ
「あ?“げっ”ってなんだよ。おい」

「す、すいません。でも今日だけは勘弁「じゃんけんぽん!」
条件反射で退はじゃんけんをしてしまった。

「はい、お前の負け。山崎じゃんけん弱えーな。いつもチョキしか出さねーし。じゃ買ってこいよ。」
と、500円玉をピンッと退に投げた。

お金をキャッチし
―じゃんけん別に弱いわけじゃないんですけど…―
と、思いながら土方を見て
「…先輩。今日は少し遅れてもいいですか?」

「はぁ?ダメに決まってんだろ。いつも通り、つりでお前の好きなもん買ってこい。いいな」
そう言って土方は学校を出て行ってしまった。

―いつも強引だな…―
と、ため息をついてから微笑んだ。


多くて週三日、退は放課後、幼なじみの土方先輩に声をかけられるとじゃんけんをする。
負けた方がコンビニに行き、お菓子とかを買い、待ち合わせの小さな公園で逢う。
大体は退がコンビニに行く。
別にじゃんけんが弱いわけではなく、いつもわざとチョキしかださない。
それは土方のマヨを買い、待ち合わせの場所に行くと土方が自分を待っているといことが嬉しいのだ。
退は二人だけのこの時間が大好きなのだが

―先輩は俺のことどー思ってるんだろう?…俺はただのパリシなのかな?―
と、時々思ってしまう。

聞きたいけど聞けない。
もし、聞いて二人だけの時間がなくなってこの関係が壊れたらと思うと恐くて聞けない。
だから、今だけはこの関係のままでいいと思っている。

退はコンビニに行き、マヨや飲み物を買ってから公園に向かった。
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