キリリク小説

□君がいないと
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穏やかな、いつも通りの午後。

昼食を取り、すぐに神楽は定春を連れて外へ遊びに行ってしまった。

銀時はいつも通りソファーに寝そべり、ジャンプを読んでいる。

新八は午前中に掃除、洗濯をしてしまい、お昼も食べたことで銀時の向かいのソファーに座り、お茶をすすって一息ついていた。

「銀さん。あの」

「んーちょいまち、今いい場面だから。この話だけ読んじゃうから」

「はい。わかりました。」

―30分後。

ジャンプに夢中になり、気付いたら全部読んでいた。ジャンプを机の上に置き、背伸びをした。

「んー。っで何?新八。」
向かいにいるはずの新八に声をかけたが、見たらいない。

「あ?どこだ。新ちゃーん」
台所にいれば聞こえるくらいの大声で呼んでみた。


シーン…


―…俺の部屋か?―
そう思い、自室へ行ってみたがそこにも新八の姿はなかった。

「うそ…いない。それともトイレ?」
走ってトイレの前に立ち、ドアを叩いても中から返事がなかった。
「…じ、じゃあ風呂?」
風呂場を開けたがいない。
「……神楽の寝室……」
スパンッと押し入れを開けたがやはりいない。
「まぁここにいるわけねーよな……」

―あの時、俺が話を聞かなかったから出て行った?―

サーっと血の気が引いて万事屋を飛び出した。


―約1時間後。

「ふぅー結構な荷物になっちゃったなぁ」
そのころ新八は重たい買い物袋を持って万事屋へ向かって歩いていた。

近づくに連れて騒めきがひどくなっていく。

「何かあったのかな?」

「新八ー。新ちゃーん。何処いっちゃったんだー!新八ぃ」
遠くからでもわかる銀髪の男が自分の名前を大声で連呼しながら歩いていた。

「なっ!!」
―何してんのぉー!―
と叫びたかったが見つかったらぜぇぇったい!奴は走って抱きついてくるに違いない。それは僕が恥ずかしいのでササッと近くの塀に隠れた。

「新八ー新ちゃーん…」
銀時は立ち止まり、シューンとして少し泣きそうだった。

新八はため息をついて真っ赤になりながら
「…バカ」
そう呟き、隠れていたが意を決して出ていった。
 
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