学園小説

□Fascinate
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門の所に顔がそっくりな男女が立っている。
双子の姉、志村妙と弟、新八は県外からの唯一この学園の受験者。

「新ちゃん、ちゃんと番号持った?」

新八はカバンから取出して見せた。
「持ちましたよ。姉上は?」
「あるわ。二人してこの学校に入れるといいわね」
「はい」

昨日は試験があり今日は面接日。

************


「ったく面接官なんてだりぃな」
坂田銀八は職員室の机に伏せていた。

「女だけ合格にして男全員落とすか」
そう言ってたらスパンと後ろから頭を叩かれた。

「アホなこと言ってないでさっさとやってきな!」
理事長ことお登勢が罵声を飛ばした。

銀八は頭をかきながら渋々立ち上がり面接室になっている教室のほうへ歩いて行った。


面接官を終え職員室に戻る途中、廊下から階段へ行こうとした時、ドンッと人にぶつかってしまった。
「うぉっ」
「えっ!」
男の子はぶつかった拍子に体が傾き、スローモーションのように階段から落ちていく。

ドンッ!

「いっ…たくない」
男の子はそっと目を開けたら銀色の世界が広がっていた。
どうやら銀八が抱きしめ、そのまま落ちたらしい。

「いっつー…すまねぇ大丈夫だったか?」

ポカンと男の子は銀八を見ていた。

「もしかして頭打ったか?」
銀八は慌てた。

その反応がおもしろくて男の子はプッと笑い
「大丈夫ですよ。それより先生の方が平気ですか?助けてくれてありがとうございます」
そう言い立ち上がった。

男の子の笑顔にドキッとした。
「…あぁ俺は平気」じゃないかも…?

「あ、眼鏡がない!」
男の子はキョロキョロして探しはじめた。

「眼鏡?」
銀八も一緒になって探していたら足に違和感があり見た。
「あ。」
銀八のまぬけ声と視線の先を男の子も見た。
「…」

銀八が眼鏡を手にとり
「すまねぇ。弁償するわ。今から暇?」

「…え!いいですよ!僕の不注意もあったんですから。あの、姉が待ってるんで帰りますね」
眼鏡を取り返そうとしたら、高く手をあげられて取れなくされた。

「駄目。お願い。ちゃんと弁償させて。えっと名前…」
「志村です。志村新八です。」

「俺、坂田銀八。じゃあお姉さんに事情を話してから行こうか」

「なんだかすいません」
ペコリと頭をさげた。
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