学園小説

□出会いと始まり
1ページ/2ページ

出会いと始まり


退side


「卒業までの三年間、俺と付き合わないか?」
入学式の放課後、忘れ物を取りに来た同じクラスの土方君が突然俺に言ってきた。

何を言われたか頭が働かず、頭に「?」がついた。
理解が出来た時、ぶわっと鳥肌がたち
「な、なんでですか!?」
てか、なんで今日会ったばかりの俺ですか!
俺、男ですよって顔をしながら睨んだ。

「部活の時、女がギャーギャーうっせーから、男と付き合ってるってなれば騒がねーだろ?卒業まででいいんだ。ダメか?」

「(僕も部活あるんですけどと思いながら)…というより女の人と付き合えばいいんじゃないですか?それか土方君は沖田君や近藤さんという幼なじみがいるんだし。そちらにお願いを。」

「女を一人選んだらそいつが妬まれるだろ?沖田はダメだあいつはやる事なすこと俺に迷惑をかける。近藤さんなんかには頼めねぇよ。」
退はすごい自信家だなという眼差しで見ていた。

でも男の俺から見ても本当にかっこいいから仕方ないか。
「まぁそうですけど…でも、なんで俺なんですか?」

「地味だし女にモテそうにねーから」

退はムカッときて
「そうですよ!どうせ地味でモテませんよ!」
初めて会った人にそんなことを言われて退は泣きそうになった。

「もう帰ります!じゃあね」
「待てよ」
帰ろうとしたら腕を掴まれた。
「じゃあ、この3年間のうちにモテるように俺が教えてやる。それでどうだ?」
「…わかりましたよ。」
半分投げやりで返事をした。

手を振りはらい
「じゃあ帰りますね」
「おい」

まだイライラしながら
「なんですか?まだなにかあるんですか?」
「偽りとは言え付き合ってるんだから一緒に帰るんだよ」
「はあ?そこまでしなくても」
そう言ってたそばから手を繋がれ廊下へ出た。

まだちらほらと人が残る放課後。
土方君と手を繋いで歩くのは恥ずかしくて何も言えず俯いた。

―なんで俺なの?放課後俺が教室に残ってたから?―

これからこの人に振り回される日々が続きそうだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ