short!

□蜜
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「やだ!先生待って!」
悲痛な叫びが晴登を追うと、背後から慶太が必死に抱きついて来た。
「ごめんなさい。行かないで、先生。怒らないで、先生。もうこんなことしないから…」
晴登の意図を誤解して慶太が背中ですすり泣く。
「気持ち悪いよね、けどもうしないから、俺の前から居なくならないで…」

好きだってこと諦めるから、そう消え入りそうな声で囁く慶太を、晴登は黙って足をすくい上げ、優しく床に押し倒した。
「先生っ!?」
驚いた目が、晴登を見上げる。
見上げた晴登は苦しげな目をして、きつく眉を寄せていた。
「慶太、苦しいか?」
「……うん。苦しいよ…。ずっと先生が好きだったから…」
ずっと秘めていた想いをこんな形で諦めてなければいけなくなったのかと思うと、慶太は苦しい。
「そうか、先生も苦しいよ」
その幼い想いを理性でもって拒絶出来ない、罪悪感に晴登は苦しい。
「けど、慶太、もう、苦しまなくていいからな。その罪悪感先生が消してやる」
晴登はそう言うと、慶太の目尻を濡らす涙を吸い取った。
その唇は、そのまま慶太の唇に重ねられ、深く吸い付く。
慶太のしっとりと柔らかい唇を貪り、唾液を飲み込むと、酒よりも強い酩酊感に頭が酔
いしびれた。
慶太は突然の大人なキスに身体を緊張させつつも、怖ず怖ずと舌で突っついてきた。
その不慣れな感じが堪らなく、愛おしい。
チュッ、と湿った音を立てて唇を離すと、急な展開に戸惑う目が晴登を見上げる。
「…先生、いいの…?」
晴登はくすりと笑い、慶太の高揚した頬を撫でた。
「いいよ。お前の気持ちに応えたいから…」
そのまま額もなで上げ前髪をわけると、たまごのようになだらかなラインが現れて幼さが増す。
くしゃっと慶太の表情が崩れた。
再び目尻から涙がこぼれ落ちる。
「うれしい…」
慶太はそう漏らすと、涙を手の甲で拭った。




晴登のシャツは今までの展開のどこかで手放していた。
けれど、それはもうどうでも良かった。触れて欲しいと願ってやまなかった晴登の手が、今、自分の肌に触れているから。
少し前までそばに置いてもらえるだけで幸せと感じていたのに、心と身体が成長するにつれてより具体的な欲望が芽生えていった。
触れて欲しい、キスして欲しい、晴登の身体に触れたいと欲望を抱き、隣で眠る晴登の寝顔を見ながら叶わぬ願いに涙した夜は1度や2度ではない。
いつしか、その欲望を満たすために洗濯前の晴登のシャツで自慰を
するようになった。
晴登の匂いに包まれて、少しでもそんな気に近づけたから。
けれど自身の欲望に汚れた衣服を見て、いつも自己嫌悪を味わうばかり。
自慰行為は欲望を一瞬満たしてくれても、罪悪感を心に募らせてゆく。

この手に身を委ねたら、自分の罪悪感は軽くなるのだろうか。

「せんせい…」

けれど、一糸纏まわぬ姿を晒し、いざ晴登の手に触れられると、嬉しいより先に恥ずかしさで慶太は制止の声をか細く漏らしてしまった。
シャツに包まれていたそこは、今は啓太の両手に覆われ、更には膝から下の足を交差して晴登に晒すのを恐れている。
ガチガチに緊張してしまった慶太の耳に晴登が囁く。
「大丈夫だよ。全部受け入れるから」
優しく囁かれ、慶太はようやく自ら股を開いた。
それでも羞恥で晴登を直視することは出来なかった。
晴登の喉がゴクリと唾を嚥下する。
ようやく目の前に晒された慶太の性器は実年齢より幼く、それでも健気に頭を上げていた。
禁忌を見てしまったと瞬間的に罪悪感が芽生えたが、今まで味わったことのない高揚感に流される。晴登は慶太の性器を手で包んだ。
「あ……」
上下に動かすと、慶太の口から吐息が漏れ、徐々に、硬度が増してゆく。

快楽に耐え、震える睫を見下ろしながら、晴登は今まで感じたことのない昂ぶりを下半身に感じていた。
今にでも組み敷いてしまいそうになる衝動を、理性を総動員させて抑える。
あくまでも、自分は追精を導くだけ。
それ以上の快楽に、慶太の幼い身体はまだ耐えれる作りではない。
気を紛らわすために、晴登は声をかけた。
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