Book special

□朱夏
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「って、あれ? お兄ちゃんたち、何しているの?」



今まで気づかなかったのが、逆におかしいくらいな光景。

椅子の上に乗っているクロムの上に、顔を赤く染めながらうつ向くクロイツの姿。



「テイト、今は空気を読みなさい」



優しい口調で言うクロム。

それに、幼子らしい返事をテイトは返す。



「くうきに字はないから、よめません」

「雰囲気を読むんだよ」

「ふいんき、わかんない」

「そうか。まぁ、とりあえず“ふんいき”だからね」

「でも、お兄ちゃん“ふいんき”っていった!」

「いや、まぁそうなんだけどね」



漢字で書くときは“ふんいき”なんだよ。

しかし、漢字という意味も知らないであろうテイトは、そう言えばさらに質問をしてくるに違いない。
好奇心旺盛な子なのだ。



「今、私たちが何しようとしているかわかるかい?」

「……いすとりゲーム!」

「そうきたか……」



ため息混じりのその言葉に、テイトは頬に空気を入れ、顔を膨らませた。



「ど、どうしたんですか、テイト?」



と、今まで羞恥心で口を閉ざしていたクロイツがテイトが拗ねたことにより、焦ったような声を出す。


クロイツはテイトのことに関してはとても心配性で、彼が望むことを素直に聞いてしまう、そんな子であった。




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