Book special

□芽生えたのは恋心?
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−初めは興味なんて無かった、
はずだった。




















「あー面倒くさいな………」


穏やかで柔らかい時間が流れている教会の噴水付近を、一人の青年が歩いている。
名はシュリ=オーク。


「何で僕が教会なんかに…」


オーク家としてかなり有名だが、何故彼が教会に居るのか。
…全ては、シュリの性格にあった。
性格と言うのも何だが、シュリは所謂ヘタレ。
そのため、彼の父が社会勉強にと、遂に教会まで送り出したのだ。


「…はぁ……」


項垂れて歩いていると、ふと歌声が耳に入る。
振り向くと、噴水から上半身を出したピンク色の髪の少女と、その隣に腰かけた金髪の青年がいた。
どうやら少女が歌っていたらしい。


「♪〜♪♪」
「…本当に声が綺麗だな」


青年が褒めると、嬉しそうに少女は微笑む。
その光景は、まるで一枚の絵画の様だ。
シュリは一瞬で目を奪われる。


「おいっ」
「え、な…!」
「…………」


何の迷いも無く彼の手を引き、噴水から遠ざけて行く。
…ある欲求を果たすために。


「離せ、よ…」
「嫌だ」
「お前、誰なんだよ?」
「知らないのか?同じオークだぞ?」
「っ!」


中庭の大きな木の所まで来ると、足はピタリと止まる。
青年…ハクレンは同じ様に止まった。
怪訝そうな顔で背中を見つめていると、シュリはくるりと振り返る。


「「…………」」


紫と蒼の瞳が絡み合う。
澄んだ瞳は宝石の様に反射する。


「…確か」
「?」
「ハクレン、だったかな?」
「あぁ、そうだが?」


至近距離で話をし、シュリは眩暈にも似た感覚を覚えた。
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