Book special

□魅せたくない、君の姿
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「くそっ…もっとスピード出ねぇのかよ」


−上空。
苛立った様子のフラウが一人、ホークザイルを飛ばしていた。


「…………」


あの後、すぐにフラウがハクレンを攫ったであろうブラックホークの元へ行く事になった。












−そして。
冒頭に至るのである。


「ハクレン!!!」
「…あら、お早い到着で」


目の前に広がる光景に、フラウは目を見開いた。
辿り着いた場所は、ブラックホーク執務室。
ここまで来るのに、まぁ、多少人を斬………犠牲にしてきたが、フラウの頭には無かった。


「あれぇ、斬魂来ちゃったのー?」
「よく此処が分かりましたね」
「こんな変態じみた事すんの、お前等だけだろ」


−六人の中心に、座らされたハクレン。
その頬は紅潮し、瞳はとろんと溶け、服は何故かぶかぶかのパジャマ。
男の理性をくすぐる要素は十分だった。
薬を盛られた事は一目瞭然である。


「ほーら、ハクレン君、お迎えが来たみたいだよー」
「ん……フラ、ウ、しきょ…?」
「っ…」


焦点の合っていない瞳で何とかフラウの姿を見つけ、ニコリと微笑むハクレン。
これにはさすがのフラウもときめかずにはいられない訳で。


「…ど?ハクレン君イイ感じに仕上がってるでしょ♪」
「お前等……何が目的なんだよ!」
「えぇ?目的??」
「うーん…暇つぶし?」
「なっ」


しかし、何ら目的も無く、ハクレンを誘拐し、薬を盛ったという事実を聞かされ、怒りが限界を超えるフラウ。


「許さ」
「フラウしきょ…」
「え、ちょ、ハクレン!?」
「うわー大胆ーー」


怒鳴ろうとするが、薬で性格が豹変したハクレンに抱き締められ、それは叶わない。
一方のブラックホークは、何だか満足してしまった様で、興味が逸れてしまっている。


「っ、離せ、ハクレン」
「いやです、だきしめて下さい…」
「〜っだぁ!もう、帰る、ぞ!!」


一戦交える所まで考えていたフラウだが、相手の反応からして、そういう気は無いのだと確信する。
痺れを切らしてハクレンをそのまま姫抱きにし、まどへ一直線。


「…覚えてろよ!!!」
「うわー、悪役の名台詞」


ガッシャーンと派手に音を立てて、窓を付き破った。
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