Book special

□魅せたくない、君の姿
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−バンッ!


「ハクレン!!!」
「…あら、お早い到着で」


目の前に広がる光景に、フラウは目を見開いた−………。

















「おや、今日は随分早起きなんですね」
「あ?カストルか、まぁな、今日はデート日和だぜ☆」
「あぁ、そういえばハクレン君を3区まで連れて行くんでしたっけ?」
「おう」


−第7区、バルスブルグ教会では、本日も朝早くから穏やかな時間が流れていた。
そんな中、二人の司教が中庭で話をしていた。


「ちょっとした祭りなんだけどよ、試験勉強の息抜きにな」
「…そうですか、たまには貴方も良い事しますねぇ」
「たまには〜?」


通称不良司教ことフラウと、その同期、カストルだ。
何やら、フラウは恋人とお出かけの様で。
いつもなら居るはずのない時間からスタンバイしている。


「おはよー、ってあれ?フラウ、もう起きて来てたの?」
「デートが楽しみなんですよ」
「あーそっかぁ」


そうこうしていると、同じく同期のラブラドールがやって来た。


「ラブ、手入れは終わったのか?」
「ううん、まだだけど、カストルが見えたから」
「そうか」


カストルとラブラドールは恋人同士で、所謂バカップル。
自覚は無い様だが。


「じゃぁ私も手伝いますから行きましょう」
「うんっ」
「…チッ、見せつけやがって」


フラウは遠ざかって行く二人を見つめて悪態を吐く。
−それと言うのも、フラウの恋人、ハクレンは控えめで、何処か遠慮がち。
フラウももう少し甘えて欲しい所なのだが。


「あー、早く来ねぇかなー」


まぁ、今回は3区へ行く提案を嬉しそうに承認してくれたので、そんな事はどうでも良かった。
………しかし。


「……っフラウ!!!」


幸せな時、良からぬ事が起きてしまう事もある様で−………。


「テイト?どうし」
「ハクレンが誘拐された!」
「っは!?」
「朝起きたら、何処にも居なくて……いつも俺の方が早く起きるんだけど」


ハクレンのルームメイト、テイトが慌ててやって来たかと思うと、今まで考えていた恋人が誘拐されたと言うのだ。


「それで、状況は?」
「窓が開いてたから、そこから…でも何で?誰が……!」
「落ち着け、まずカストル達に相談だ」
「う、うん」


混乱しているテイトに、フラウは冷静な声で告げ、歩いて行く。
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