Book special

□Beautiful Lover
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『だ…誰………?』


最早女の子にしか見えない程似合っていたのだった。
しかし、ハクレンは逆の方を考え、誰かも分からない程酷い状態なのだと勝手に認識し、急いで部屋に戻ろうとする。


「や、やっぱり似合わなっ」
「「「ハクレン(君)!」」」
「えっ」


が、3人にガッシリと抑えられ、身動きが出来なくなる。


「やはり私の思った通りでしたね」
「シスターそのものだよっ」
「お前……才能あったんだな!」


戦友で、真面目で、こんな事に興味なさそうだったはずのテイトにまでそう言われ、ハクレンは裏切られた気分だった。
3人の目はいつにも増してキラキラと輝き、これからハクレンをどう完璧に仕上げるかどうか話している。


「っ……」
「………」


ハクレンは頼みの綱のフラウへと視線を向ける。
しかし、その視線は絡まる事は無く落ちる。


「…悪ぃ、やっぱオレ戻ってるわ」
「!フラウ司きょ「さぁ、ハクレン君!さらに磨きをかけましょう!!」っ…」


フラウは痺れを切らした様に部屋とは反対方向へと歩いて行く。
その後ろ姿をハクレンは切なそうに見つめていた…。


「じゃぁまず髪だよね〜」
「ここはラブに任せます」
「やったっ」


−そんなマイナスな気持ちに浸る隙も無く、カストル達はハクレンを更なる美少女にするべく話を進める。
ボーッとしていたハクレンは気づくと、部屋に逆戻りしており、鏡の前に座らされていた。


「……ん、……レン君、ハクレン君?」
「は、はいっ!?」
「髪、好きにいじっちゃって良いの?」
「え、あ、はい…戻る程度でしたら……」
「分かったよ♪」


ハクレンはハッと我に返り、冷静に考え始めた。
(どうして俺なんかに一生懸命になるんだ?絶対にシスター服(ゴスロリ仕様)ならラブラドール司教の方が似合うはず………)
冷静とは言っても思考はぐちゃぐちゃ。
そんな事を考えている内に髪の毛は纏められていく。


「もー、ハクレン君の髪サラサラ過ぎだよー」
「…はい」
「?まぁ、肌もツルツルだけどねー」
「…はい」
「色も白いし」
「…はい」
「………大丈夫?具合でも悪いの?」
「…はい」
「…………(苦笑)」


−ハクレンの同じ返事の繰り返しに苦笑いのラブラドール。
勿論、ハクレンはただ考えているだけ。


「……よし、できたっ♪」
「…はい」
「2人共ー、お披露目ターイム♪」
「「おぉー」」


2人はラブラドールのテクニックに感動。
パチパチと拍手する。
だがハクレンはまだ気付かず、カストルは今の内にとメイクを始める。


「ハクレン、ずっと放心状態ですけど、大丈夫ですかね?」
「うーん…多分」


カストルが上機嫌でハクレンの顔にメイクを施していく。


「それにしても、ハクレン君は肌が白いですねー」
「…はい」
「まぁ、ラブには負けますが♪」
「…はい」


変わらずのハクレンに今度はカストルが苦笑い気味。
−それから、着々とメイクは進んでいき、ラブラドールとテイトは感心するばかりだった。


「…はい、完成ですね」
「わぁ、ハクレン君……じゃなくてハクレンちゃん可愛いー」
「ちゃんって…;;ま、でも似合ってるぞハクレン!」
「……………」


賞賛の声が上がる中、ハクレンは黙って立ち上がる。
皆、どうしたのかと驚くが、お構いなしに駆け出した。


「?どうしたんだろう」
「羞恥心でしょうか…?」
「……きっと、恋人の所へ見せつけに行くんでしょうね」
「「??」」


クスクス笑いながら言うカストルの言動に2人は首を傾げるのだった−………。
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