Book special
□林檎の定理
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※カルカツ
※ちょっと12巻ネタ
病室はとても暇だ。
今ごろは、みんなで溜まった書類に向かっているのであろう。
もちろん、ヒュウガ少佐を除いてだが。
――コンコン。
検査の時間はまだだから、見舞いだろうか?
どうぞ、と相手の入室を促す。
「見舞いに来てやった」
いないフリをすればよかった、そう後悔したのは言うまでもない。
怪我人に対して『見舞いに来てやった』とはなんとも態度がでかい。
「誰も来てほしいだなんて申しておりませんが?」
「……それは、ツンデレというやつか?」
「違います、断じて違います」
軍人がツンデレなど、この人の思考は本当に読めない。
そもそも、見舞いなど、カルがするわけないのだ。
恐らく、嫌みの一つでも言いに来たに違いない。
「嫌みを言いに来たなら、おっしゃってください。そして、さっさと私の前から消えてくださいませんか?」
「嫌み? まぁ、それも言ってやろうと思ったが、止めた。怪我人には優しくしねぇとな」
そう言って、カルは自分が座るための椅子を出す。
……長居するつもりなのか。
カルがいては、治るもの治らない。
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