Book special
□離れていた時の分まで
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※フララン
――あいつが、巡回から帰ってきた。
「長らくだったな、フラウ」
「今回も随分と長く巡回していたな。また道に迷ったのか?」
「あぁ。二区だと思い巡回していたらそこが三区だと分かって、そこから自分がどこにいるのか分からなくなってな」
「まぁ、無事帰ってこれたし。……安心した」
見た限りランセに怪我はなく、恋人の無事の帰還を喜ぶフラウ。
そんな直球の言葉を聞いて、ランセは頬を赤らませた。
「そ、そうだ、これからラブ師匠のところに帰還の挨拶をせねば」
自分がフラウの言葉に照れたと分かれば絶対に馬鹿にされる、そう思ったランセは逃げるようにしてその場を去ろうとした。
……しかし。
「恋人よりも、ラブなのかよ」
少し頬を膨らませながら、フラウはランセの腕を掴んだ。
揺さぶっても拘束が解けないのは、決して自分の力が弱いわけではない。フラウの力が強すぎるのだ。
と、自分に言い聞かせたが、微妙な心境になるランセ。
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