Book special
□どんな貴方でも
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※テイト達と出会う前の話。
※皆さんちょっと若い頃。
『フラウ、バスティン様が倒れたそうですよ!!』
『っ………!?』
−オレが、かなり焦った状態の友人からこの事実を聞いたのは、ある日の朝だった。
「バスティン!!」
勢いよく開かれた扉の先は、家具があまり置かれていない、殺風景な部屋。
其処に見えるのは、二つの人影。
「…フラウ?」
一つは、フラウの友人ラブラドール。
もう一つは………。
「…………」
「駄目じゃない、そんなに勢いよく入ったら…バスティン様、今お休みになったばかりなんだよ?」
「あ…」
ベッドで静かに眠る、フラウの大切な人。
………否、恋人。
−どうやら、ラブラドールはバスティンに薬を運びに来たらしく、片づけをしている内にバスティンが眠ってしまったらしい。
「心配してるのは分かるけど、今は………」
「…そう、だな」
ラブラドールの言わんとしている事が分かるのか、フラウは黙って部屋を出る。
それに続いて、部屋を出たラブラドールは何か言いたげであったが、そのままフラウと逆の方向へ歩く。
「あぁー…何やってんだ、オレ」
−部屋を出たフラウ。
本当はきちんと本人の口から声を聞いて、無事を確認して、出来れば抱き締めてあげたかった。
「………くそっ」
…それから数時間後。
いつもの通り、ミサなど行く気がなかったフラウは、木の下で寝転がりながら考え事をそていた。
「…………」
勿論、恋人の事を。
(何であの時無理矢理にでも部屋に居なかったんだよ!…いや、だって起こしたら嫌だし、顔色悪かったし、でもやっぱり居るべきだったよな……気になって仕方ねぇし、何かもうやる気が起こらねぇし)
「〜っ…」
元々、ぐだぐだ考えるのは嫌いなタイプなので、すぐに考え事は真っ白に消え、苛立たしそうに立ち上がった。
「自分がうぜぇっ…」
−向かう先は………恋人の、部屋。