Book special
□深海花
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もちろん、睡魔には勝てずに寝るときもある。そのときは、注射器で睡眠剤を打ってから、直接体に栄養を送っていた。
しかし、それは持って数時間。
クロユリの体はすでに限界を越えていた。
――ハルセの傍から離れさせれば、クロユリは食事などをとってくれるのではないか、そんな願いにも似た思いを、ヒュウガは実行した。
「嫌だぁぁぁ! ハルセっ、ハルセぇぇ!」
「クロたん! いい加減にしろっ!」
「はる、ハルセっ、助けてよ! ハルセぇ!」
今のクロユリに、恋人であるヒュウガの声は届いていなかった。
ただ、地上に這い上がろうと、伸びる糸にしがみついて。
周りを見ようとしなかった。
しかし。
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