BOOK(進撃9

□その一言は卑怯です
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「あの!!リヴァイ兵長と付き合ってるって本当ですか春菜分隊長!!」





なんか唐突に女の子にすごい事言われた。




んー待て待て待て。



…え、なんでそう思ったの?



や、付き合ってねーよ?

つか違う意味であんな人類最強と付き合える人いんの?

…まぁ、確かにルックスは悪くないだろう。(つか超美形)

戦う姿はそれはもう、素晴らしく格好いいだろう。



だ・け・ど!!


私にいわせりゃ

(中身どうしたぁああああああああ!!)

な訳よ。分かる?

この可愛い女の子は知らないと思うけど本当は神経質で粗暴で無駄口すぐ叩く生意気なチビなんだよ!!

私がリヴァイより年下なのは置いといて!!




「あの…もしかして本当なんですか…?」


「いや!?いやいやいや、違うよ!?もう、もうぜんっぜん違う!!すごい違う!」


なんかすごい焦ってる風に否定してしまった。

これでは逆に怪しまれるかと思ったけど心配はなかった。

可愛らしい女の子はほっと安心しているようだ。


…ふふ、信じてくれたのか。良かった。

…。…。



「えっ!!ちょっとまってまさか貴方…リヴァイの事好きなの!!?」


この子今安心した!!

リヴァイに恋人が居なくて良かったって意味だよね?

この子の言動がそれを思わせるものだったからつい声を張り上げてしまった。

女の子は恥ずかしそうに目線をずらし、こくん、と頷いた。




わぉ…。






「…そ、そーなん…、だ…」


「はい…。あの…、一応、手紙書いて来たので…渡してくれませんか…?お願いしますっ」


「へ、あの、ちょ、えええ!?待っ…――…」



あの…走るの速くありません?


…どうしよう。

可愛らしくラッピングされた封筒を見て、ため息をつく。

こんなもの…渡すしかないじゃん。


ただ…、向こうの反応が物凄く予想できるけど…。



…しゃーない。



渡してやるか。

























「いらねぇ。捨てろ」




うん、やっぱりね。

なんかね、うん…言うと思ったのよ。

リヴァイならこう言うじゃろうな…とか思って廊下歩いてきましたからー。



まあ逆にリヴァイが「受け取っておく」とか言っても気持ち悪いけどね。

定番が一番だ定番が。

…って、まぁ…この女の子はすごく可哀そうだけど…。



「…手紙を間接的に渡すか?普通、そういうもんは自分の手で相手に渡すだろうが」


「まぁまぁそう言わずに…受け取ってあげなよ寛大な心でさ」


「黙れ。しかもなんでてめぇが持ってくるんだよ舐めてんのかあぁ?」


「え、どこを?まさか私の体!?いやあああリヴァイの変態!」


「変態はてめぇだクソ女」


「もう!なんで私にそんなキレんのよー!!」


「気持ち悪いからだ」


「う、うるさいな!…ってかリヴァイのがひどいじゃんよ女の子ふったりしてさ!」


「…チッ、うぜぇ」



リヴァイは私から手紙を奪うと、ゴミ箱の上からビリビリと破き捨てた。

その暴挙を恐ろしの目で見る私、春菜分隊長22歳。


なっ…なんだコイツ………なんだコイツ…!!


なんでこんなきれてるんだ…!?


しかも最終的に私にキレてるし!!



あぁもう…めっちゃ私睨まれてるし…面倒だなぁ。

なんか怒ってる時のリヴァイって、めっちゃ私に突っかかって来るんだよね。

まじわけわかめだよ。(訳:わけわからん)


…。しかも、あの女の子私とリヴァイが付き合ってるって言ってたよね?

もしかしてなんかそれらしき場面を見たから言ってんのかな。


「はーあ、何であんな事言われたんだ…」


リヴァイの部屋のソファに座りこんでそんな事を呟いた。


「…何がだ」


「あーそれがさー聞いてよリヴァイ。その手紙渡してきた女の子が私とリヴァイ付き合ってるって言うんだよ?全く笑っちゃうよね可愛らしくて」


「ほう。それは確かに吐き気がするな」


「黙れ!!……てかさぁ、リヴァイって好きな人とか居ないの?」


ちょっと気になった事を言うと、リヴァイはちらりと私を見てからまた書類に目を戻した。

無視かよ!ひでぇ!


「ねぇーリヴァイ聞いてんの!?」


「うるせぇ。仕事中だ出てけ」


「急に冷たッ!!…ひどーいリヴァイの馬鹿ー。こうなりゃもう男とっかえひっかえして遊んでやるー」


「お前に遊ばれる男なんて居るのか?」


「リヴァイ、そろそろ殺すよ?」



出てけ、とか言われたけど出てかない私。

だって居心地いいんだもんこの空間。

リヴァイの事は嫌いな訳じゃないけど、好きでもない。

証拠にリヴァイには今まで一度だって恋愛感情を抱いた事が無いのだ。

あー…、だから居て楽なのかもしれないなぁ。

…まぁ、時々ものすごい怒るけどね、この人。(私には原因が分からない…)

それさえなかったら完璧なんだけどなぁ…。…あ、友人としてね、友人として。あくまで友人ね。



「はーあー」


「うるせぇな…出てけよてめぇ」


「ちょ、リヴァイ私の扱い酷過ぎだから。せめてエレンくらいにして!」


「蹴られたいのか?」


「ごめん嘘。なんでもない」


「遠慮すんな、こっち来いよ。蹴ってやるから」


「最後の一言がなければものすごく素敵な一文ッ!!誰が行くか!」


「…ったく、お前と話すと疲れる」


「…ぶー。…ねぇリヴァイ。私を攫ってくれる王子様って何時現れるんだろうか…」


「そうだな。10000000年後くらいだろうな」


「わぁー天文学的な数字ー。って私死んでるわ!!」


「お前の事狙ってる奴なんて団内に居ねぇよ」


「ぐぐぐ…、分かってる事をハッキリと…!…でもいいもん!いつか私の処女膜を破いてくれる人が現れるはずだもん!!」


「…。…だからなんでそう恥じらいもなく」


「だって…つい」


「目輝かせんな気持ち悪い。死ね」


「まじで泣きますよ私!?…くっそぉー、リヴァイのばーか!こうなったらもらい手がなくなったら身売りしてエルヴィン団長に引き取ってもらうぅぅ!!」


半分自暴自棄にそう叫べば、次の瞬間リヴァイから驚きの一言が。









「安心しろ。そうなる前に俺が破いてやるから」


「…え。……まじすか」



驚きすぎて涙とか全部止まってリヴァイを見る。

え、だって今この人、「俺が破いてやる」とか言わなかった?

…エェェェェェェェェ!!ぇっろぉお!!

何その口説き文句!!どんな女でも確実に落とす恋のハンターか!!(?)

唖然とする私を見て、リヴァイはふっと笑った。



「嘘だ、間抜け」


「…………………!!!!!!!!!」







ああもう、コイツまじで最低。

一瞬ときめいてリヴァイに恋しちゃった私、どうすればいいの。

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