僕らのVesttaste!
□混残
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「ふう」
今日も一日疲れたなあ。
つか、日向が恐いもの苦手なんて…予想通りだ。
あいつ絶対高い所苦手で、暗い所嫌いだな。
そんで甘いものは大好きだろう。
なーんて、今日一日を通しての感想を一通り考えてみる。
…。日向の事ばっかり…って事はないぞ。断じてだな。
ほ、ホラ!今日春菜のお母さんきたし!
…って、心の中で何一人で喋ってんだ…。虚しいだけだろ…。
…と、そこまで考えた所で、風呂の入口の所で誰かの声がした。
…んん?デントか?
「…だ、誰か居ますよ…!?」
「だいじょぉぶだってぇ!電気ついてるだけ…♪」
「ほ、ホントですかぁっ!?…う、うぅ…でも、誰か入ってたら…」
「んもー、大丈夫だって!えいっ!」
「ひゃうあっ!!」
バンッ!!!!
「え?」
ボッチャーーン!!
「いったぁ…!!」
「がばごぼっ…!!」
何かが上からふってきて、湯船に沈む俺。
呼吸が出来なくてもがいていると、手に何か柔らかいものが触れた。
俺はその柔らかさに一瞬心を奪われたが、すぐにどんな状況か把握。とりあえず顔を出した。
「ぷはっ!な、なんだ!?」
「はぅ、酷いですよ春菜さぁん…!…ってもう居ないし!!」
「…はい?」
「…もー、思いっきりお風呂の中に入っちゃったじゃないですかぁ…。…。………」
「…。」
「…。」
「…あ、あの…」
「いやあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「う、うわっ!?」
日向が俺を見て硬直し、それも束の間、今度は叫びだした。
顔を真っ赤にして混乱している。
「な、な、なんでポッドさんが居るんですかぁ!?」
「いや、それ俺のセリフだから!」
「あれ、でも春菜さんは誰も入ってないから大丈夫って…」
「…」
成程、理解。
つまり全ては春菜が悪いっつー事だ…!!
あいつ、やってくれるじゃねぇか…!
俺を怒らしたらどうなるか分かってるんだろうな…?
「…?ポッドさん?どうしたんですか、その怪しい笑み」
「え!?あ、いやなんでもねーわ。つか、早く出てけよ!タオルはだけてるからっ!」
「え!?きゃあっ!!…で、でも逃げてばかりじゃ駄目日向!これはきっと、神様…、否!春菜様がくれたチャンスなのですよっ!逃がすわけにはいかない!」
「どういうことかよく分かんないけどそのチャンスは今逃がすべきだと思う!」
うん、本当に意味分からん。
何、チャンスって!!この場でどんなチャンスがあるっつーんだよ!!」
「という訳で…、い、一緒にお風呂はいりましょ?」
「なんで!?どういう訳で!?っていうかお前も結構ぎこちないじゃねぇか!」
「…は、はうぅ!やっぱ無理ですぅ!すいませんでした、ポッドさんっ!」
風呂から出て土下座をすると、ものすごいスピードで風呂場から姿を消した…。
…アイツは○ぐれメタルか…。
…まあいい。
はぐ○メタルが居なくなった所で、ゆっくり入浴を楽しむとするか…。
…。
…しかし、結構あったよな…。
…その、日向の、む…胸…。
いや!別に不純とか、そういうのじゃないぞ!?
冷静に判断をしてだな、…っていうか、もうこういう判断を冷静にしてる時点で俺ってヤバいと思うんだが。
…つーか!そうじゃん!!さっきは軽く混乱してたけど、冷静に考えてみれば、俺と日向は一緒に…
混浴…!?
「っ…」
顔が熱くなってきたのはお風呂に入ってる所為だ。
断じて日向を意識してる訳じゃあない。
そうだ、元々俺は日向が鬱陶しかったんだ。
だからデントが日向を採用した時には驚いたさ。
…ま、まあ…お互いさま、って所もあるけど。
…それでも、俺は。
ルナがいるから…。
恋は出来ない。
例え日向が本気で俺の事を好きだと言ってくれたとしても。
…それに応える事は、きっと、できないと思う。
応えてしまったらそれは、ルナを見捨てる事と大差ない。
ルナは、弱いんだ。そしてとても儚い。
俺が居てやらないと、駄目なんだ。
…ルナには俺が必要、だから…。
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