BOOK

□4日目
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超上機嫌で学校につくと、友達が迎えてくれた。

私の大好きな友達。

なによりも大切な私の友達。

いつも私と一緒で、強くて、優しくて、格好いい。

なんの取り柄もない私の、憧れでもあるんだ。



「おっはー!」


「おはよ、瑞希」




井川 瑞希


中学3年生。A型。

好きなもの。

化粧の研究、料理、私。(らしい)

嫌いなもの。

私を苛める奴(らしい)、ヤリチン、玉ねぎ。

性格、サバサバとしていて、決断力がある。元ヤン。


…ちょっと怖い前科を持ってたりするけど、それは中学2年生の時、うちと出会って止めたらしい。

今は清楚系女子を目指していて、格好もそれなりに優しい雰囲気だ。

…でも。



「ちょっとー、南雲!」



…気に入らない奴がいると、その見た目に反してものすごい顔をする事がある。

そして今も、いきなり南雲を睨んだかと思いきや、思いっきり舌うちした。


…え?


少し引いてしまう私。


いやいや、別に、ね?


今のは比喩じゃなくて。ホントに数歩下がってしまったのだ。



「…あんだよ」



南雲も引かないくらい、メンチを切る。

うわあ、これかなり怖い。この二人怖い。

正直私と風丸くん、ついていけてないしね。

ていうかもう、瑞希恐すぎてビビるしまじで。




「てめぇ…春菜になんかしてねぇだろうなぁ…?」



おおお…、あの鋭い目、現役のヤンキーにだって、負けず劣らずだろう。





「してる訳ねーだろ。あんなブスゴリラに」



その言葉に、私の血管がぶちキレそうになった。

だがしかし、私は大人なので耐える。

それに、私が怒らなくても瑞希が怒ってくれ…―――



「ぷっ!ブスゴリ…あはっははははっ!!」





なんということでしょう。




瑞希がつぼったようです、ブスゴリラという名前に。

…そこは、笑う所じゃないよ…。

しかも、爆笑しすぎて地面に倒れ込んでいる。

あれ、瑞希ってさ、うちの友達だよね。友達なんだよね?



「あははははー!あんたも面白い事言えんじゃんっ!あはっ、ははは!」


「…」


「…ぶっ」


「何笑ってんだよクソ晴矢」



なんか自分で言った晴矢も笑っていた。

つーかなにこの状況。

友達のはずの瑞希が敵の晴矢と笑ってるって。

そんな、私ってそんなにゴリラににてるのかしら、とか結構本気で悩んでる時に風丸くんが苦笑しながら言った。



「…二人とも。いくら冗談だからってやりすぎだろ?それに、そろそろSHR始まるぞ」



風丸くん…!!

はあ、なんて優しいんでしょう!

しかもやんわりと私を守ってくれるかの様な言い回し。

紳士だ…。



「晴矢も行くぞ」


「あぁ、分かったよ…、ぷっ」



そんな風丸くんとは反対に、未だ笑いを堪える晴矢。

瑞希はもうシカト。というか、行ける状態じゃない。


全く、瑞希もあんなに笑って。
後でパン奢らせてやるんだから。



「晴矢のばーか」


「あ?誰に言ってんだ、犯すぞ」


「なんで!?小さい悪口に対するものがでかいわ!」


「うるさい黙れ。ほら、これ持って早く行くぞ」


そういって、ぽいっと渡されたもの。

私は無意識にか、つい、あわあわしながらもそれをキャッチしてしまった。

それは。


晴矢の通学鞄だった。



「あたしはパシリかーー!!」


叫ぶと、晴矢は既に走って行ってしまって。

私の方を振り向きながらおせーよブス、だって。

ううう、くっそムカつくーー!


「待てこのやろーーー!!」




怒りに任せて、晴矢の後を追って走った。


後に、置いて行かれた風丸くんと瑞希が私達の方を見て、


「怒りながらも、しっかりと晴矢の鞄は持って行くんだな…」


と苦笑いする風丸君の一言を、知ることになる。















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