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□2日目
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「晴矢!」










「あ?」


居た、晴矢だ!

1年校舎に居た晴矢を発見。
やっぱりナンパしてやがった…。
まあ、それを予想して此処に来た私も私だけどさ。
結果良ければ全てよしですよ、はい。

って、そんなことより。



「あのさ、好きなタイプ教えてくれない?」


「…は?」



おお、なんかすっごい見られた。
どうしたんだコイツ的な視線を向けられたよ。





「…急になに?」


「いや、知りたくて」


「なんで」


「それは言えないけど」


「…」



なにやら考えこんでいる様子。

そして顔をあげたかと思えば、怪しい笑みを浮かべた。



「じゃあ教えない」


「…はぁ?」


何コイツうぜぇ。
素直に教えろよムカつくな。


「なんで知りたいのか教えてくれなきゃ教えない」



…なんだとコラ!
晴矢のくせに生意気だぞ!
好きなものが、女、女、サッカーのくせに!


…まあそれは関係ないとして。

か、な、り。
面倒くさいことになったという事実。

これ、嘘ついちゃ駄目?
いいよね、これくらいなら神様も許してくれるよね。

…や、でも普通に言った方が納得してくれるんじゃね?

後で風介とかでばれてもやだし。




「それは…、晴矢に彼女を作って欲しいから…、なん、だけど」



「彼女ぉ?」



「え、はい」



「…すっげー怪しいんだけど。何企んでる訳?」


「え、いや別に!企みなんてございやせん!」


「いや、その口調の所為でもっと怪しくなってるの分かってる?」



「とにかく!彼女作りなよ、彼女!」


ん?もしかして私、今すごいこと晴矢に進めてる?

ま、そんなことはどうでもよくて。

とりあえず、彼女だよ、彼女!




「…んでお前がそれを進めるんだよ…」


「え?なんか言った?」


「別に。何も言ってねーし」


「…あっそ」




…コイツ、想像以上にムカつくな。
くそっ、どうしよう。

結局何も答えてくれないし。



「ねぇ、ちょっと。話きいてた?」


「あぁ?喋んなブス」


「お、女の子にそんなこと言うなぁぁ!!」


「何?もっと言って欲しいって?」


「言ってない!!」


「あっそ。んじゃ俺の前から消えろ。M」


「Mじゃないもん!あーもう、晴矢なんて大っ嫌い!いっつもいっつも私の悪口ばっか!」



そう叫んだ私の肩に、晴矢がぽん、と手をおく。

え、何?と思ったのも束の間、切なそうな顔の晴矢が目の前に居た。




「悪かった。…確かに俺、言い過ぎたよな」




一瞬胸が高鳴ったとか、そんなこと…













「お前はMじゃなくて、ドMだったよな」







あり得ませんから。


固まっている私を放置して、けらけら笑いながら去っていく晴矢。

…さっきの切ない顔は演技かよ。

見事騙された私が憎い。

って!そういえば彼女作れっていう話しの返事もらってないし!

あーもう、何のために教室出たと思ってんの!

一人でわしゃわしゃと頭を掻いていると、何時の間にか予鈴が鳴って、急いで移動教室の元へ向かった。

…くそ、あいつ、これも予想してたんだろうなぁ…どうせ。



教室につくと、遅刻しそうになった私を見てけらけら笑う晴矢が居た。




…相当ムカついたのは言うまでもない。
























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