BOOK(進撃)

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「…う、うそ…」



私は今、驚愕している。

尻がぺちゃん、と情けなく地面につき、涙腺も緩みきっている。

当然だ。こんな嬉しい出来事、一生に一度あるかないかなのだから。

建物の陰に隠れているハンジ達が、キャーと言いながら騒いでいるのが見えた。

でもそんな事より、私は今、目の前に居る人を半ば半信半疑に見詰め返す事しか出来ない。



…そう、私はリヴァイ兵長に告白し、なんと、OKをもらえたのだ。



「え、えと…、リヴァイ兵士長?…あの、その言葉は…本気…なのでしょうか?」


「俺が冗談を言うタイプに見えるか?」


「…見えません…」


「なら、言葉の通りであってる」


「…っ、う、あ…、」


「!……何故泣いてるんだお前は」


「だ、…て、嬉しくて…っ…」



泣いてしまった。

嬉しくて、つい…。

ああほら、私の馬鹿。

目の前でリヴァイ兵士長が困ってるじゃない。

どうしよう、「やっぱり重い」とか言われたら。




私は、世間で言う所謂“凡人”と言う奴だ。

顔も普通、スタイルも普通、賢さも普通。

恋愛経験だって、並み。(私が告白し、彼からふった)

立体起動装置の操縦だって普通だ。

今まで調査兵団でやってきて、生き残れたのは奇跡だと思う。


やっぱりそんな普通な私だからこそ、何もかもが普通ではない、そんな兵長に恋をしてしまった。

巨人を切る時の兵長の姿がかっこよくて。

空を舞いながら腕を振る兵長に惚れてしまって。

一番初めにその事を言ったのはハンジ。

そうしたら妙に嬉しそうな顔をされて、「そうかそうか!」と相槌をうたれたっけ。

そしてその日から1週間。

いつの間にか私が兵長に告白するシーンに飛んでいた。

どうせふられるのは分かっているんだ。

もう、どうにでもなれ!そう言いながら半ば自暴自棄ながらも告白した。

そうしたらあり得ないくらい普通に「ああ」って。

…一瞬言葉の意味を理解出来ずに立ちつくしていた所、ハッとなり涙があふれたという訳だ。

…相変わらず情けない。



そうして私の心配をよそに、ハンジとエレンが割って入ってきた。



「はいはいごめんねぇ!リヴァイ、この子ちょっと持ってくよー!立てないみたいだから」


「ああ。そうしてやれ」


ガーン!そうしてやれ…。


「んじゃ、エレン、行くよ!」


「は…はい!」


ハンジにおぶられ、寮へと帰っていく。

その途中、ぱっちりと兵長と目が合ってしまった。

私は涙でぐちゃぐちゃだったけど、兵長は私が恥ずかしくて視線を外すまでずっと見詰めてきた。









…こんな夢みたいなこと、あっていいの…。

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