BOOK(進撃)
□一歩
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私は調査兵団。
訓練生も首席で卒業し、周りからも一目置かれ、上からは「即行戦力」「リヴァイに次ぐ最強」等と謳われるようになった。
私にはそんな周りからの評価なんてどうでもよかった。
ただ、一緒に戦える仲間が居て、その仲間を守れて、何時までもお調子者である私であれば、それで。
待遇の良い憲兵団なんかに行く気はなかった。
そもそも私は母を巨人に食われ、その憎しみで入ったのだ。
誰が憲兵団なんかに。
だけど、最近楽しいことは沢山ある。
例えばリヴァイ兵長に悪戯したりとか。
例えばリヴァイ兵長の珈琲にあるだけ砂糖を入れてやったりとか。
例えばリヴァイ兵長の―――
「やあ、春菜!おはよう」
「あ、ハンジ…おはよう」
この人はハンジ・ゾエ。
階級は同じの分隊長だが、巨人を捕獲した際の生体調査任務などで活躍しているので、私よりは幾分も頭がいい。
…決して私が頭悪い訳じゃないんだよ。本当だよ。
「昨日の訓練の疲れが見えるけど、大丈夫かい?ハードだったのは確かだけど」
「だ、大丈夫大丈夫!ほら、まだ全然色んな人に悪戯できる元気あるよ?」
「そうか!それは良かった!いやー心配したよ」
「てめぇの理解の仕方が心配だ」
「!リヴァイ、居たの?」
…この人は人類最強の兵士、リヴァイ兵士長。
いつもいつも私を雑用、掃除、用もなく呼びだしたりもあるが(大体ストレス発散に蹴られる)、殆どの場合こき使うのである。
目つきと口が悪く、一部の兵士からは恐れられている所為もあって、この人と普通に話せる人は普通ではない。
ハンジがいい例だと思う。
尚、私はこの人に悪戯するのが大好きだが、大体見つかった後はしばかれるので最近は反省している。
「え、盗み聞きですか兵長。まじプライバシーの損害なんですけど」
うん、嘘です。
反省とかまじゴミ箱に捨ててました。
「てめぇにプライバシーなんてあったのか。初耳だ」
「なっ…なんですと!?…後で兵長の珈琲の身に何があってもしりませんから」
「おいペトラ。こいつの飲み物はこれから泥水でいいそうだ」
「嘘ですごめんなさい兵長!今から極上の珈琲をおいれ致します!」
「お前が淹れた珈琲なんていらん、馬にでもやっておけ」
「ですよね要りませんよね!では後ほど馬にやっておきますひゃっほう!兵長最強!」
「…あの子の臨機応変っぷりは、何時見ても面白いわー」
「フン、馬鹿なだけだろ?」
私はそのまま食堂を走り去った。
…うぅ。怖いよ兵長。逆らえる気がしないよ。
どうしたらあの鬼兵長にぎゃふんと言わせることができるんだろう。
…くっそう、やってやる!絶対、いつか、ひと泡吹かせてやるんだから!
アクアマリンの一歩
(あれ、リヴァイそれってもしかして春菜が淹れた奴じゃない?飲んでるんだ)
(うるせぇ。馬が腹壊したら面倒だっただけだ)
(じゃあリヴァイがお腹壊しちゃうじゃん)
(…)ズズ…
ぷくく。本当は飲みたかった癖に。