僕らのVesttaste!

□混残
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静寂。


ベッドに押し倒されて、二人だけの空間だった。








…私は、デントさんの眼を逸らせずに、じっと見詰めていた。

緊張のあまりごくり、と唾を飲み込む。




「僕は、春菜の所為で迷惑がかかったって気にしないよ。それよりも、秘密にされている方がずっと寂しい」


真剣な顔で、デントさんは言った。

その言葉が本当だって分かるから、私は嬉しくて泣きそうになる。


「言っただろ?春菜の事を家族と同じくらい大切に思ってるって」


…デントさん。

なんて優しいんだろう。

こういう所が、とても好きなんだな…、私は…。


「…だから」



ぎゅっと、私の腕を掴むデントさんの力が強くなる。


一瞬、とてもデントさんを怖く感じた。









「誰にも渡したくない…!…他の男にとられるのが嫌なんだ…!!」





デントさん…、なの?


こんなの、今までみたことない。


ずっと、ずっと、馬鹿やって。


1年以上一緒に過ごして、罵りあいもした。


なのに。


ホントに、今ここで、こんなことをして、こんなことを言うのがデントさんだったの?


嬉しいのか、悲しいのか、私はどっちなの??


ずっと好きだった。本当に。


触れたくて、触れたくて。


話してる時間が、一番好きだった。


…あんなに好きだったデントさんが、私の事を、好き?







「…デント、さん?」



脅えながらも名前を呼んでみると、デントさんはハッとしたように目を開かせた。

まるで自分が何をしているのか今気付いたかのように私の腕を離し、腹の上から退く。



「…デントさん」


「…」




無言だ。

私の顔を全くみようとしない。

デントさんの背中をじっと眺めていると、今になってやっと実感がわいたのか、涙がじわり、と滲んだ。






…ねぇ、デントさん…。



さっきの、好きって言葉…。



私、信じてもいいんですか…?



































「…な…、なーんてね!?」



「…へ」


「…ちょっとふざけてみたり?あは、あははっ」





…。

……。

…………。




「…は?」


「いやー、どんな反応するかな、って…」


















…。














「最低」


バンッ!!



気付けば、私は自室のドアを思いっきり閉じていた。

自分の部屋にデントさん一人を残すことに多少戸惑いを感じたけれど、それよりも怒りの方が大きかったのでどうでもいいと思った。

最低。ホントに最っ低!

…私の気持ちを弄ぶなんて!!




「…デント」


「…なに、ポッド」


「お前、ホントへたれだな…」


「……うるさい」


「…好きなら好きって言いきっちゃえばよかったのによー、馬鹿だなあ」


「やりすぎて、引かれるかなあって思ったらさ…」


「…あっそ。んま、頑張れって。俺は、お前が本気なら邪魔しないから」


「…日向ちゃんが居るからかい?」


「うるせーよ!!あいつはマジでうざいだけだからな!?」


「またまた、そう言っちゃって」


「う、ううう、うるせーよおお!!」


「顔赤いよ?」


「黙れぇええ!!」

































ああ、ほんっとむしゃくしゃする!!

ポッドでストレス解消でもしようとしたのに、居ないし!!


「あ、春菜さん!寝て無かったんですか?」


「あ、まあね。そんなことより、ポッド居る?」


「ポッドさんなら、お風呂に入るって…」


「…お風呂、ねえ」


そこで、私は良い考えが思いついたのでにやり、と妖しく笑った。


「ありがとっ、日向ちゃん!」


「あ、はい!」


「それはそうと、日向ちゃんにちょっと来て欲しい所があるんだけど…」


「…?きてほしいところ…??」
















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