僕らのVestsweetvv

□重なる視線
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…デントは、笑みを引くつかせていた。

彼の隣に来た赤毛の弟は、肩にぽん、と手を置いて


「諦めろ」


とにやついていた。


…こんなの、ミス所か…。
ほぼ、完璧じゃないか。


「お客様、御注文は?」

「サイコソーダを」

「かしこまりました」

噛みもせず、ミスもせず、順調に仕事をやってのける彼女。
…追い出す理由どころか、人手不足なこの店に役立っているのも事実。

くそう、あそこでやめとけばよかったのにポッドの奴…!

休憩に入ると、春菜は休憩室で本を読んでいた。

「お疲れ様です。コーンが淹れた紅茶ですよ。どうぞお飲みになって下さい」

「……ふぇ?」

クッキーを口に咥えたまま上目づかいでコーンを見上げた。
その瞬間、コーンが鼻血を出して机に手をついた。

いや、何鼻血出してんの!!?

「?…本が汚れちゃう」

「すみません…」

さほど驚いた様子も見せず、春菜は読書を続行した。
本が汚れる前にまずコーンを心配してあげなよ!!
コーンは鼻血を抑えながら親指をぐっと出していた。

…うわぁ。


「よっ、お前なかなかやるな!」


ポッドが能天気に話しかけている。


「…でしょ?自分でも驚いてる」


褒められるのが好きなのか、にこ、と微笑んで本を閉じた。


「ああ!しかも、ポケモンバトルもすごかったぜ!今度勝負してくれよ!」

「え?…あ、うん、いいよ!」

「へへ、俺様が勝つからな!」

「何言ってるの?私に決まってるじゃない!」

ポッドぉぉおおお
何で君春菜の良きライバルみたいな関係になってんの!!?
僕は我慢しきれなくなって春菜達の所へ行った。

「ポケモン勝負の話はいいですから、そろそろ休憩も終わりですよ。仕事に戻って下さい」

「もうちょっと話したかったのに…」

ぶぅ、と頬を膨らませる彼女。
可愛いから止めて下さい。

「店が終わったら存分に話せますよ」

一応そう仕切って、仕事を再開した。




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