僕らのVestsweetvv

□それは始まりにすぎなくて
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此処はサンヨウシティ。
最初のジムバッチがあるとかで、それなりに有名な街らしい。
ま、私はカントー地方からきたから知らない訳なのだが。

あ、そうだ。
最初のジムなら、サトシも来るかな?
ふふ、強くなってる?
ちょっと楽しみだな、なんて。くす。

私はサンヨウジムを目指して歩き出した。




道行く人に聞いたのだが、ここのジムは3人のジムリーダーがいるらしい。
噂によれば格好いいとか。
これまで何人もの男を虜にしてきた私を見ても、ポーカーフェイスを気取れる?
まぁ、とりあえず…、その三つ子ちゃんを見ないことには分からない。





「…此処がサンヨウジム、か」

そこは大きな建物だった。
ギィ、と扉を開けると、中はいい雰囲気のレストラン。
女の子の客が5、6人来ていた。

「welcome!いらっしゃいませ!」

赤い髪の男の子が私を迎える。
席に通して、注文を聞かれたのでとりあえず、

「ザッハトルテとダージリンを」

と私の好きなケーキを注文。
男の子は少し驚いて、でもすぐにさっきの顔に戻って

「かしこまりました!」

そう言って厨房に戻って行った。
…ふぅん、結構格好いいかも。
トウヤには敵わないけどね?
だってトウヤは私の初恋の人だから…。

それから5分後、あの男の子は戻ってきた。

「どうぞ、ザッハトルテとダージリンです」

「ありがとう」

へぇ…。
殆どの店はこの注文を聞いて「は?」と間抜けな声を出して戸惑う。
その様子を見て、私は楽しんだりしちゃうんだけど。
このお店、やっぱりそこらへんにあるお店とは違うかもね…。

「初めて作ったので味に保障はありませんが」

恥ずかしそうにはにかみ、彼はそうつけたした。


…え?
初めて作った?

「…レシピを知っていたの?」

「いえ。ただ、ザッハトルテは一度見たことがあるので、その時の材料等を覚えて、調味料は目分量ですね」

苦笑する彼。
私が少し感心したのは、言うまでもなく。



「…へぇ…」


ダージリンを飲む。
うん…良い香り。

「…で、君の名前は?」

「ポッドです」

「ポッドさん…じゃあ、ジムはやっぱり此処なのね」

「…え?」


私はまだ湯気が立つ紅茶と一口も手を付けていないケーキを残して席を立つ。


「サンヨウジムリーダーさん!私はカントー地方から来た春菜っていう者なんだけど。…このジムにチャレンジしていーい?」


ざわざわと辺りがざわついた。
…ジムに挑戦することが、そんなに珍しいの?

「…へぇ、お前、挑戦者だったのか」

さっきまで敬語だったウェイター…ポッドが横で囁いた。

「だったら熱く迎えてやるぜッ!!」


壁が消えて、そこにジムの本性が現れた。








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