BOOK
□just be friends
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なんでこんなことになっちゃったんだろう。
私はただ、どっちも大切にしたかっただけなのに。
どっちも大切なはずなのに。
ごめんね、二人とも。
*
「ねぇねぇ、春菜!」
友達の紺子ちゃんに名前を呼ばれてハッとする。
「な、なに?どうしたの?」
「なにって…大丈夫?ぼーっとしてたけど」
しんしんと降る雪を、窓から眺めていた。
雪はあの人を連想させる。
だから見とれてしまったのかもしれない。
だけど、紺子ちゃんには悪い事をした。
お話し中だったのに…。
「ごめんね、ちょっと考えごとしてたかも」
私がそう言うと、紺子ちゃんはにぃ、といやらしそうに笑って、私に詰め寄った。
「考えごとって、あの人の事でしょ?」
「え?あ、あの人って…どの人?」
「もう、とぼけないでよ!」
まさか、紺子ちゃんにばれてる?
私の好きな人の事…。
「吹雪士郎くん、でしょ?」
「呼んだ?」
…。
…え?
今の声…は
紺子ちゃんと同時に、後ろを振り向いた。
そこに居たのは、紛れもない声の主、吹雪くん。
吹雪、士郎くんだった。
「…え?」
「おはよ、春菜ちゃん、紺子ちゃん」
「お、おはよ…う、吹雪くん」
紺子ちゃんはなんとか挨拶してたみたいだけど、私は驚きで声が出なかった。
「…あれ、春菜ちゃん、無視かな?」
がっくりとした様子で吹雪くんが聞いてくる。
あ、ち、ちが…
「お…おはようございます!」
「なんで敬語なのか分からないけど…、うん、おはよう」
にっこりと笑う吹雪くん。
それが、私と吹雪くんとの出会い
そして、紺子と吹雪くんとの出会いだった。
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