銀魂短編

□飾らない詩を綴ろう
1ページ/3ページ


秋晴れの昼下がり、いつもは戦闘の準備に追われるところが今日はそれがない。現在は所謂休戦状態となっていた。天人と戦をすることもなく、銀時は古寺で自身が使用している部屋の畳の上に仰向けに寝転がっていた。季節は秋なのだが、秋とは思えない程の暑さが辺りを漂っている。


「あちぃ……、何でこんなに暑いんだよ。もう秋だろ、もう10月だろ、もうすぐ俺の誕生日だろ?……なんでこんなに暑いんだよ。秋ってもっと涼しいもんだろ。この暑さは尋常じゃねーぞ、おい」


ぼやいていた銀時の頭上の障子が突然ガラリと音を立てて開いた。何事かと銀時はのろのろと上を見る。勿論、起き上がろうとはしない。見れば、同士である桂の姿が逆様に目に映った。


「銀時、何をそんなにだらけているんだ」

「おいおい、何でこんな暑い日にヅラが俺の部屋に来んだよ?つーか、そのロン毛暑苦しいから、取れよ。うん、さっさと取れ」

「ヅラじゃない、桂だ。そして、髪は取れん。あんまり言いうと次の戦で大勢の天人の前にお前だけ放り出すぞ」


銀時は気だるそうに起き上がると、胡坐を掻いて座る。


「まあ、天人の前に放り出されても俺強いから全部殺っちゃうと思うけどな……。……で、何の用だよヅラ?」

「ヅラじゃない、桂だと言っておろう。……今日は休戦状態、たまには休息も必要だから宴会をせぬかと坂本がな」


その言葉を聞いた銀時はもう1度横になった。


「……?乗り気ではないのか?」


桂の言葉に銀時は欠伸をしながら返した。


「面倒臭ぇ、何でこんな暑い日に騒がねえといけねえんだよ。余計暑苦しくなるだけだろうが」


そう言った銀時だったが、次の桂の言葉で銀時の態度は急変する。


「そうか、それは残念だな。折角坂本が高い酒を仕入れてきたから一緒に飲もうと思ったのだが……」


その言葉を聞いた瞬間、銀時はばねの入ったおもちゃのように跳ね起きた。


「ヅラ、やっぱ今の言葉撤回。俺も行くわ、宴会」


桂は銀時の豹変振りに呆れた溜め息を吐いたが、やがて2人は廊下へと出て、宴会場に向かった。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ