その他短編

□微笑み返し
1ページ/8ページ


当たり前のことが、いつまでも続く。ずっとそう思っていた。




昨夜は、衆合地獄の飲み屋で知り合った女の子と遊んでいた。それも夜通しでだ。
そして、家に帰った時にはすっかり日も昇っていた。そっと中に入ると、桃(タオ)タロー君が呆れたような顔をしてこちらを見ていた。どうやら、朝食の準備の最中だったらしい。
僕は、最初こそへらへらと笑っていたものの、不意に襲ってきた吐き気にトイレまで猛ダッシュし、バタンと勢いよくドアを閉めて便器に向かった。
色々と吐き出している最中、ドアをノックする音がする。


「白澤様、大丈夫スか?」

「……桃タロー君、悪いけどさあ」

「黄連湯ですよね?分かってますよ。全く、最近いつも遊んでばかりで、その度にトイレに籠って……。ちょっとは控えるってことを知らないんですか?」

「うん、謝謝(ありがとう)……。分かってるから、今度からは気を付けるよ……うぷっ」


はあ、と溜め息が聞こえた。ああ、桃タロー君、完全に呆れているな。まあ、仕事そっちのけで飲みに行く僕も僕なんだろうが、これが性分だと開き直ったら、引かれるだろうか。いや、きっと引くと同時に罵倒されるだろう。ははは、と乾いた笑い声を出して、僕はまた便器に向かった。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ