銀魂短編

□飾らない詩を綴ろう
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渡り廊下を通り、向かった先はこの古寺の本堂だ。本堂の扉を開ければ中には見知った顔が2つ並んでいる。


「宴会って、俺たち4人だけかよ。どうせだったら別嬪さんとかも仕入れて来いよなあ……、何で野郎4人で酒酌み交わさねえといけねーんだよ」


銀時の言葉に坂本はいつもの笑い声を発した。


「あっはっはー、ワシもそうしたいところだったんじゃがのー。それは流石に無理じゃった」


そう話す坂本の向かい側には高杉が早々と酒を飲んでいる姿があった。銀時も2人の傍に腰を下ろし、その向かい側に桂が腰を下ろした。菱形をかたどるように座したところで、宴会は始まった。


「しっかし、こんなのんびりするのは久しぶりじゃのぅ」


坂本の言葉に頷きながら桂が口を開く。


「ここ最近は、戦で皆疲れていただろうからな、今日のような休息もたまには必要だな」


その話に参加せず、銀時と高杉は黙々と酒を飲んでいたが筈だった、が。


「おい、高杉……」


銀時に名を呼ばれて高杉は目線を銀時に向けた。


「……何だよ?」


銀時は酒の入った猪口を見つめながら、さらっと言った。


「お前、酒より牛乳飲んだ方がよくね?」

「……はぁ?」


銀時の言葉に高杉は間の抜けた声を発した。


「どういう意味だ、天パ」

「だって、お前背ぇ低いじゃん?牛乳飲めば少しは背伸びるんじゃね?あっ、もう無理か」


その言葉を黙って聞いていた高杉は傍に置いてあった自身の刀を手に取った。


「おい、クソ天パ。黙って聞いてりゃあ……腹立つこと言いやがって」


「何だよ、やるか?クソチビ」

「上等だ、表出ろや」


何やら不穏な空気が本堂の中に流れ始めた。桂と坂本は一瞬顔を見合わせる。


「こりゃ、完全に……」

「酔っているな、この馬鹿2人は」


桂の言葉を聞き逃していなかった2人は桂を睨みつけた。


「「誰が馬鹿だって!?馬鹿ヅラァ!」」

「貴様ら……!」


完全に険悪な状態である。既にその辺にあった猪口や徳利が宙を舞い始めた。
ガシャーンッと陶器の割れる音が響く。


「あっはっは〜、3人とも喧嘩はいかんぜよ……あいだっ!」


喧嘩というより最早乱闘に近い今の状況を止めようとした坂本の顔面に徳利がクリーンヒットする。



この喧嘩は、夕日が沈むまで続いたという。


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