NT

□バカだけど純粋
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"名無しさん、明日俺とデートしようぜ"


私の部屋に入るなりそう言ったかれは、緊張しているのが丸わかりだった。

夜ご飯を済ませ、食器を洗う鬼鮫のお手伝いをしてから自屋に戻りベッドに腰掛けた瞬間の出来事だった。


『うん、いいよ』

「っしゃー!!明日は映画見っからな、らぶすとーりーっての?」


確かに私たちは付き合ってはいるけど、お互いこんな身だしデートなんてしたことがない。

あるとすればどちらかの部屋でのんびりごろごろして終わる。

つまり、明日のデートが楽しみで仕方がなかったのであった。



翌日

『おはよ、飛段』

「おう、昨日はよく眠れたか?名無しさんちゃん」

『うん。もう爆睡だったよー』


と言いつつも服を悩んだりわくわく過ぎたりして実は全く眠れていなかった。






2人は、私服で里を歩く。
ここはアジトから一番近い木ノ葉の里。


『あ、映画館あったよ!!』

「金は俺が出すからな」

そう言って飛段は1人でさっさか行ってしまった。

『一緒に行けばいいじゃない…』

「アララ、名無しさんこんな所で何やってんだ…うん?」

声を掛けられパッと振り向くと、そこにはデイダラが居た。


『あ、デイダラ!!今日ね、飛段とデートなの』

「ふっ、そりゃおもしれ「ああー!!おい、デイダラちゃん何俺の名無しさんをナンパしてんだよ!!」

「あ?ナンパなんかしてねーよ」


2人はにらみ合った後に、飛段が名無しさんの腕を引っ張り歩き出した。

『え、で、デイダラまたねー』

そのまま映画館の中へ連れて行かれ、半ば無理矢理椅子に座らさせられた。



『…飛段怒ってる?』

「別に怒ってねーよ」

飛段の顔をのぞき込むようにして見たら、こっち見んな!とか言われた。


ジーっといって始まった映画は、彼の言うとおりラブストーリーであった。
しかしラブストーリーな割には流血シーンが多く、犯罪者の私からすると平和ボケした木ノ葉でこんな映画上映してんのか?!と疑問で仕方がなかった。

でも、内容はまぁまあ面白くあっという間に映画は終わってしまった。



映画館を出ると、すでに暗くなりつつあり夕日が沈みそうだった。


『主人公のメロス、強かったね!!1秒で10人は殺してたよね』

「お、おう、そうだな」

『あと、最後に2人が抱き合うシーン感動したな!』

「へー…」

『飛段はどうだった?』

「え、何が…?」

『何がって…映画の感想ぅ!!』

「あ、あぁ感想な」

『ねぇ、私の話聞いてた?』

「おう」

『じゃあ…映画ちゃんと見てた?』


明らかに飛段は何かを隠している様子だった。
いつもよりもそわそわというか、元気がなく自信もなさげであった。




「実はよ、」

『うん?』

「名無しさんのことばっか考えてて、映画全っ然見れなかった」

飛段はいつもより弱くゲハハと笑い、頭を掻いた。



『…飛段て、おバカさんだけど…優しくて純粋だよね』

「んなことねーよ…」

微笑みかけると、今度は耳を掻いて目をそらした。

『飛段っ』

ぎゅっと抱きつくと飛段は明らかに動揺していた。


「なっ、なんだよ急に」

『今日はありがと!とっても嬉しかったし、楽しかったよ!!』



ならよかったぜ

げはは

と笑いながら彼は頭を撫でてくれた。

道のど真ん中だということも忘れて。
 

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