NT
□結婚して下さい!
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里を抜け、暁に入った私が初めて恋をした男。
それは不死身の男である。
*結婚して下さい*
『ひだーん…』
そんなことは、もちろん本人には言えず、いつも抱き枕を飛段だと思い抱きしめる。
私たちは犯罪者だし、付き合うとかそんなのだって無理なことくらいわかってる。
でも、辛かった。
片思いって、辛い。
『ひだんー…好き…』
抱き枕にそう言って顔を埋める。
「名無しさん…?」
『ひ、ひひひひひだん!!!』
声がして、バッと起きあがるとそこには少し照れたような顔をした飛段が。
「い、今の…マジかよ」
『い、今のってなによ』
「だからその…飛段す『な、なななんでもないからそれ以上言わないでっ!!』
抱き枕をむぎゅっと抱きしめて下を向く。
飛段のことがみれない。
というか、何で飛段が居るんだよ。
『な…、何しにきたのよ』
「ちょっと、話があったんだよ」
『話って何よ』
下を向いたままふてくされたような声で言うと、視界に彼の足が見えて私の足ととても近くなる。
「顔、上げろよ」
『いや』
「はーあ?!この俺が顔上げろって言ってんだろ!!」
『なにえらそうにっ…
思わず顔を上げてツッこんだら口が塞がれ喋れなくなる。
『んっ…』
ちゅ、と離れた相手の唇を見て不思議に思う。
『ひだ、ん…?』
今のは何だ!!
何だこのふわふわした気持ち!!
「す…」
『す?』
「好きだ名無しさん!!俺と結婚してくれ!!!!」
『は?付き合ってもいないのに?!馬鹿みたい。』
そう言う私の心臓はバクバクで、息をするのもやっと。
もう、抱き枕はいらないみたいです。