NT
□なまえ
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りんご
サイは私をそう呼ぶ。
サクラの"ブス"に比べれば全然ましだけど、いのは"美人"なのに…
なんでりんごなのか聞いたら、頬がりんごに似てるとかわけのわからんことを言ってくる。
『サイ?』
「なんですか?」
『私のこと、名前で呼んで?』
にこっと笑っていた彼が、私の一言を耳にした瞬間にビックリした顔に変わる。
案の定
どうしたんですか
とか聞いてくる。
だいたい付き合ってるのに敬語ってどーよ。
『…りんごは嫌なの!名無しさんって呼んで!!』
「名無しさん…」
困ったような顔で私の名前を呼ぶ。
「なぜだかわからないんですが、りんごだけはなかなか名前で呼べないんです。喉が締まるというか、顔が火照ってきます。」
『………サイ』
「はい」
『恥ずかしいんでしょ?』
「ち、違います!!」
サイの焦った表情を初めて見ました。
好きだからこそ名前で呼んで欲しいのです。