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□どりーむどりーむ
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『土方さん、本当は私…銀ちゃんじゃなくて土方さんが好きで、私…』
俯いて手をモジモジさせる名無しさんを見ていられずに土方は思わず名無しさんを抱きしめた。
ここは夜景が綺麗な丘がある公園。
名無しさんの様子が最近おかしかった。
今日も俺にバレないように万事屋から出ていったから、着けてみたらこういうことだったのか…
『私、ズルいのは分かってる。でも、でも…』
「それがてめぇの気持ちなんだろ?だったらズルいなんてことはねぇよ。俺も実は…」
名無しさんから視線を離し顔を赤くしている土方。
なんなの?なに照れてるわけ?!
なんて思っていたら顔と顔が近づいていき、唇と唇が…
「っていう夢を見たんだけど」
『なにそれ。なに、ちょっと不安になっちゃった?』
「るせーな!別に夢だしィ」
『フフッ』
「なに笑ってんだよ」
『だって…銀ちゃんてさ、あんまり自分の話してくれないじゃない?だからまさか夢の話をされるとは思ってなくて。しかも内容がさ…ぶはっ!』
「ぶはっ!じゃねえよどんだけ焦ったと思ってんだバカヤロー」
万事屋の居間のソファーでくつろいでいたら、突然話された本日見た夢の話。
夢に自分が出てくるなんて、少し嬉しかったり。
『心配しなくても、私は銀ちゃんしか好きじゃないよ?あんまり自分の話しない銀ちゃんが夢の話なんてしてくれて、しかも私が出演してて、嬉しいな!』
「なに訳わかんねぇこと言ってんだよ…つーか、別に俺はあれだから、名無しさんが居なくても大丈夫だから」
『じゃあ出ていこっかなー?』
「すみませんでした」
私たちは、寝てても起きててもあなたが必要なのです。