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□ぐったり坂田さん
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『銀さん、おやすみなさい、ちゅっ』
『銀さーん…むぎゅっ』
「オイ」
『はい、何でしょう』
目の前で自分の分身の様なものにちゅっとかぎゅっとかしている名無しさんに銀時は声を掛けた。
「なに、それ」
『ん?ぐったり銀さん』
「いやいやいや、そうじゃなくて。いや、それもアレなんだけどね」
頭に?を浮かべる名無しさんの腕の中には、アニメショップ等で売られている"ぐったりした銀さん"がぐったりしながら銀時を見据えていた。
「なに、こっちの世界ってこんなもんもあるわけ」
『あとは過去にも銀さんと添い寝できる布団のシーツとかも出てたよ!』
「…マジでか!銀さん毎晩色んな女と添い寝しちゃってるわけェェェ?!」
『うるさい耳痛い』
「で、名無しさんは持ってんの…?」
耳を塞ぐ名無しさんに銀時は構わず聞いた。
黙って小さく頷く名無しさんに銀時の口元は少し緩む。
「ふーん。ていうか、銀さんが目の前に居んだからよォ、んなもん抱きしめてないで銀さん抱きしめりゃ良いじゃねぇか」
両手を広げ銀時は所謂どや顔で名無しさんを見たが、名無しさんが銀時の胸に飛び込むことはなかった。
『ぐったり銀さんだからいいの。本物はいらない。この銀さんだからぎゅってしたいしちゅうもしたいの。本物はこんなさわり心地じゃないし…』
「じゃあせめて俺の前でちゅっちゅすんの止めてもらえますか!なんかすっげぇ変な気分なんですけどォォォ!」
(だって銀ちゃんにちゅうするの恥ずかしいんだもん…)
(あぁ…アイツになりてぇ…)