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□しあわせ
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ご飯の支度をしてると、ただいま、というだるそうな声がした。
『おかえりなさい』
「今日の飯はなんですかー?」
『今日はクリームシチューだよ』
のんきに台所に入ってきた銀時を見たら、なんだか苛立ちを感じた。
『こんな時間なのに神楽ちゃんと新八くん、まだ帰ってないんだよね』
「あー、今日は新八んちに泊まるらしーぜ」
なんとタイミングの悪い
いや、良いというのかな、
サラダとクリームシチューをはさみ、男女が食事をする。
一見夫婦のようで。
昨日までだったら2人きりというシチュエーションにハラハラしていたはずなのに。
名無しさんの心はひどく落ち着いていた。
『ねぇ、銀ちゃん』
「あー?」
『風邪、引いたかもって言ってたじゃん』
「おー」
『今日、病院行ってきたのね』
「おう」
『やっぱり風邪だったの。でもね、空気が悪いと長引くみたいで、かぶき町ってあんまりあれじゃん、だから少しの間田舎に帰ることにしたの』
「…少しって、どんぐらい?」
『うん、早くて2、3ヶ月ぐらいかな』
「ただの風邪なのにそんな掛かんの?」
『ぶり返したらいけないから、少し多めに行ってた方がいいかなって』
「あ、そう」
クリームシチューを口に運ぶ銀時はひどく淡々としていて、名無しさんの話なんてまるで興味がないように感じた。
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