SS

□嘘だと知ったら貴方はA
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これはお味噌汁のお椀ですか?
いいえ、これは底に字が入ったお椀です。

これは死にかけた天使ですか?
いいえ、これは死にかけた天パです。


枯れた木に天パの男が一人。
縄で縛られ宙ぶらりん。



『…具合はどう?』

砂利道をざくざくと歩きぶら下がる天パの前に立つ。


「名無しさん…」

疲れ切った彼が名無しさんを見ると、お互い申し訳なさそうな顔をした。


『騙してごめんなさい。実は私、新八くんから聞いてて…どっきりの事知ってたの』

「…」

『だけど銀ちゃん、やっぱり人気者だね』

「?」

『毎日毎日、みんなご飯持ってきてくれてるでしょ?銀ちゃんの悪口ばっかり言って、それこそご飯を持って行ったなんて誰も言わないけど、みんな銀ちゃんのこと思ってるんだよ?』

名無しさんは銀時の下にあるお皿に盛ってあるダークマターを見つめながら言った。


「なぁ、名無しさん。何で毎日飯、誰かが持ってきてくれてること知ってんだ?」

『!!』

そのとき名無しさんの手元から可愛らしく作られたおにぎりが3個落ちた。

「…見た事ねぇおむすびだな」

『ち、違うんだよこれはピクニックして食べようと思って持ってきたんだよ!!もちろん私の分でね!!』

「名無しさん…本当は毎日、俺に会いに来てくれてたんだろ?飯こそ名無しさんのもんじゃねぇが、毎日してたんだよな、名無しさんの匂いが」

何もかも知ったようにふっと笑う銀時に、名無しさんは激しく否定した。

『な、何言ってんのよ!!私は銀ちゃんに振られたんだよ?自分を振った男に毎日会いに来る訳ないでしょ。今日はどんな辛そうな顔してるか、見に来ただけ。』

「いつもタイミング悪ぃんだよ。毎回妙やらお登勢が来た後に来てよ、で、すでに飯置いてあっから結局毎回持って帰ってんだろ?そのおむすび」

『…』


「…名無しさん、俺ともう一度やり直してくれねぇか?これからは酒、控えめにするからよ。毎日名無しさんの飯が食いてぇんだよ、もう辛い思いはさせねぇから。」


俯く名無しさんに銀時が優しく問いかけると、名無しさんの頬に涙が流れた。

『まぁ、そこまで言うならもう一回付き合ってあげてもいいけど?』

涙は見せないように
どやっとした顔で言うと銀時は、ふっと笑った。


「あのとき言ったろ、本当に愛してんのは名無しさんだけだって。」

『でも、あんまり下ネタ言ってたら嫌いになるからね』

「なっ!!」



縄を解いてやったら、さっき落としたおにぎりを素早く拾って食べてくれました。


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リクエストありがとうございました!!
毎日ご飯を渡しに行くも、誰かに先を越されてなかなかご飯を渡せない。
銀時にバレないようにしてたのに実は最初からバレていたという私の能力では表現しきれない内容です←
駄文ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

夏海さまへ
ゆらんより 1.26.2012
 

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