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□月に煌めく
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私の友達が、吉原のお団子やさんで働いていて、遊びにおいでと誘われた。

吉原に行くなんて気が引けたけど、お団子奢るよーなんて言われたから何やかんやで吉原に来てしまった。

それが始まり。






思ってたよりも明るくて初めてみる吉原。
とっても綺麗なお姉さんもおじさんも、たのしそうに歩く。
イメージと違う吉原。

そのうち、友達の働いているお団子やさんが見えて、友達も私を呼んだ。


お団子をごちそうになり、吉原はあるヒーローによって良い方に変わった話などを聞いた。
だからイメージと違ったのか。


少しして、ぼけー、っとしていると見慣れた顔が目に入った。
私の彼氏の銀ちゃんだった。


なんで吉原にいるのか。

わけがわからなかった。


隣には黒くてセクシーな服を着た美人のお姉さんが居て仲良さそうに歩く。

見てられなくなって目をそらす。
友達には言わない。
だけど、具合が悪くなったって嘘ついて吉原から出た。





私じゃ物足りないんだろうな、そう思った。

私は万事屋に居候だから、帰る場所はあそこしかない。
だけど銀ちゃんに会いたくないから帰りたくない。

公園のブランコで俯きながらぶらぶらする。




「お嬢さん。どうしたよ、んな所で涙なんか流して…」

足下が暗くなって上を見上げるとそこには銀ちゃんが。


『……』

ぶ、っとした顔で彼を見た。
頭をガシッと撫でられた。



『…私じゃ、だめなのは分かってるけど、一言言ってよね、お前じゃ足りないって。』

「…は?」

『キスだってろくに出来ないし、えっちだって拒んじゃうし…満足、させてあげられなくてごめんね…』

「え、ちょ、え…なんの話し?」


え、え、ぇ、となる彼に構わず話を進めた。


『私、美人じゃないしさ、仕方ないよね…でも私、頑張るからチャンス…ちょうだい?』

「……」

『吉原の、お姉さんみたいになれるように頑張るから、だから』


すべてを悟った銀時は名無しさんをぎゅっと抱きしめた。

「なに言ってんだよ、吉原は仕事で行っただけだ。俺が燃えんのは名無しさんだけだ。恥ずかしがり屋な名無しさんも大好きだからよ、頑張らなくてもいい、お前のままで居ろ」



見上げた彼は、月の光が照らされてとても綺麗だった。




月に煌めく
 

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