プライベート7

□ズルい人
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すごい、の一言だった。圧巻、としか言いようがなかった。今日は紫耀くんのライブの最終日。本当は毎日行きたいくらいだったけどなんか単独じゃないから来られるのちょっと嫌だな、とかいうよく意味がわからない理由で断られていて。じゃあオーラスは行きたいといっていれば直々に社長からも「オーラスはくるよな?」と連絡があったので。それを紫耀くんに黙って見せれば渋々頷いてくれた。

(なんでそんなに嫌なの?)

(いや、嫌じゃないよ?頑張ってたから見て欲しい気持ちはすげぇーあるし)

(・・・)

(けどさ、だって俺が出てない時間もあるんだよ。その間はみぃちゃんは他の人見るでしょ?それがさぁ)

(・・・私だってさ、他の女の子がキラキラした紫耀くん見てるのに私だけ見れないのは嫌なんだけど)

(別に紫耀くん家でもキラキラしてるっしょ?)

(うん。でも私紫耀くんのことだったら我儘になるって決めたから全部の紫耀くんを独り占めしたいの。私以外の女の子が見れて私が見れないのは悔しい)

(っ、)

(行っていい?)

(はい、きてください)

了解をもらえばこっちのもんだからやったー!って急いで美容院の予約も入れてテンションウキウキで今日を迎えた。そんな私に紫耀くんは何をそんなにと笑うけどそりゃそうだよ、だって普通に考えたらさ。

(推しに会いに行くんだもん!)

(推し、じゃなくて彼氏ね?)

楽しみ!紫耀くんのライブ久しぶりだなってうちわとペンライトをちゃんと持って会場に迎えばありがたい事に社長が出迎えてくれて。(すぐにHEROと書かれたライブのキャップを被らされたけど、あ、社長とお揃いだ)なんと豪華な事で社長の隣で解説を聞きながらライブを見せてもらうことができた。本当にオープニングからかなりかっこいい演出で。思わずかっこいい、と呟けば社長は「だろ?」と嬉しそうで。そうだった、滝沢くんって昔から映像大好きで色んなアイディア持ってたもんなぁって。きっと今回だってこの人だからこそ作れたステージなんだと思う。

(みぃ、悪いけどいい意見も悪い意見も欲しい)

(え?なんで私が)

(客観的に見れて今もなおステージに立ってる俺が認める超スーパーアイドルだから)

(・・・)

(頼むよ)

そこから本当にこの人ガチだなって思うほどに細かく私に色々と聞いてきてそれをメモる滝沢くん。私なんかの意見で参考になるかは分からないからすみませんだけど。けど、本当に、

(どう?彼ら)

(・・うん、キラキラしてる、すっごく素敵)

(もっと伸びると思わない?)

(思う、可能性しかない)

IMPのみんなはこないだハワイで色々初めてお話しさせてもらってたけど、その時とは全員の顔つきもまたガラリと変わって。本当にキラキラしてた。一人一人が楽しいって期待の目で輝いていて。いいなぁって涙が出るほどだった。

(北山もカラー出てるんだよね)

みっくんのステージ姿も久々に見た気がする。この人のいいところは自分の魅せ方を分かってるところ。ちゃんと自分がどう表現したらいいかを理解してるから凄いなって昔からそう思う。

(しかもみっくんこれでMCできちゃうからね)

(客席行ってあんなことできるのは北山のいいとこだよね)

そして先輩でもある三宅くんはやっぱり先輩だなっていう経験してきた姿が見てすぐに分かる雰囲気を出していた。学ぶことも多くて彼が居てくれると若い子たちも目指すべき人がいてまっすぐ歩けるんだろうなと思う。それに、

(三宅くんがさ、新しい事にこうやって挑戦してくださってることも大きいですよね)

(そうなんだよ!ちゃーんとみんな上を向いてる)

三宅くんのイメージともガラリと変わる曲を歌っていたり。あまり今までにはやってない表現をしていたり。三宅くんみたいに経験のある先輩でもこうしてどんどん変化できるってことを目に見える形で見せられると圧巻、の一言だった。そして、やっぱり、

(くるよ)

((キャー!!!!!!))

(っ、)

なんばーあいの皆はオーラから存在から全てがかっこよくて素敵で光り輝いてた。歓声も一際大きくてここにいる女の子みんなが今彼らに目を向けて彼らの虜になってるのが一瞬でわかる。

(すげぇでしょ?一瞬で空気全部自分たちのもんにしちゃうんだよ)

言葉も出なかった。みんなかっこいい、みんなかっこいいけどやっぱり紫耀くんが誰よりも何よりもかっこよくて素敵で胸のドキドキが止まらなかった。

(どうよ)

(、っ、かっこいい、)

(・・・お姉さん顔真っ赤ですけど)

(っ、絶対、紫耀くんには言わないでくださいね)

(はは、喜ぶぞ〜)

本当にこんなにかっこいいんだって。私の彼氏やばすぎる、と思いながらも次に出てきたフレッシュで可愛すぎる男の子たちにやっと胸はおさまって可愛い〜と私も手を振っていればそこから後半戦がスタートして。そしてコラボして始まったダンスパフォーマンス。またこれもまた、

(っ、かっこいいっ、)

紫耀くんのあの見たこともない動き。けどあの目線といい表情といい全てにおいてかっこいいしか言葉が出ない。これはやばい。紫耀くんかっこよすぎて心臓がはちきれて壊れそう。

(っ、苦しいっ、)

(バカップルか)

そこから三宅くんの歌もあったりしてかっこいいなぁ。素敵な言葉も沢山ファンに届けていて三宅くん王子様みたいと思ってたら最後に始まったなんばーあいの時間。どの曲も最近よく聞いてるけど生で聞くとまたこのライブならではのアレンジがあったりやっぱりその人たちの表現力が加わってさらにいい曲に聞こえるなと思った。岸くんのロングハイトーンもめちゃくちゃ素敵だし。じんくんの重くゆったり歌うあのトーンもライブならではで好きだし。そして紫耀くんのハスキーで低いキーの声も好き。何より3人が笑い合いながら楽しそうにダンスしてる姿を見ると涙が溢れた。だってやっぱり最後のあの涙が頭から離れなかったから。だからまたこうして3人がお互いの顔見合いながら笑い合って歌ったり踊ったりして。自分たちのやりたいことをしてそれをファンの子達に受け止めてもらえて。こんなにも嬉しいことはないと思うから。だから紫耀くんがあんなにキラキラして輝いて幸せそうに笑ってる姿を見るだけで涙が溢れてくるの。

(感動してるとこあれだけどさ、今からあの人たちここくるよ)

(へ?)

(移動だから)

(っ、)

ニヤリと笑った社長の言葉の後にすぐに本当に3人はこっちに向かって歩いてきた。いや私がいることは知ってるけどあんなにキラキラした人たちに来られると緊張すると思ってたら。最初にジンくんが私を見て手を振ってくれる。振り返せば次に岸くんがにっこり笑ってくれて。

(ファンサもらえた〜!!!!)

(きたよ、彼氏)

そして紫耀くんは私を見ると、

(っ、)

べーっと舌を出してからそれから笑ってくれて。そんな紫耀くんに一気に顔が熱くなるのがわかる。かっこいい、何今の。

(照れるならするなよw )

社長が顔を隠す私の肩を叩いてモニターを指差すから見れば紫耀くんははにかみ笑いしながら鼻を触ってた。あ、本当だ照れてる。

(幸せだなぁ・・よかった。紫耀くん)

その一言だった。紫耀くんが幸せそうに笑っててこんなにも嬉しいことはない。最後まで見届けたけど信用できて大好きな仲間とあんなに大きな口あけて笑って歌って踊って楽しそうにしてる紫耀くんを見ると本当によかったなと思う。

「お疲れ様!本当にかっこよかった!!!!」

「おつかれー、ありがとね、見てくれて」

「けんくんの曲大好き!!!かっこよすぎました!!あとIMPのみんなもキラキラしてた!!最高でした!」

「ええ、まじすか!ありがとうございます!!」

「みぃちゃん見えた瞬間テンションあがりました」

「新くんからファンサもらえたよね!?」

「はい、あの、恥ずかしながら」

「おい!お前ぬけがけすんなよ!!!」

ライブ終わり楽屋に連れて行って貰えばちょうどけんくんとIMPがいたから挨拶をさせてもらう。さっきまであんなに大勢の人の前で輝いていたこの人たちと話してることがなんか恥ずかしくて上手くいつも通りに話せない、なんて思いながらもとにかくこのすごかったことだけは伝えないと、と思って一生懸命感想だけは伝える。

「そんなこと言ってさ本当は彼氏しか見てなかったんじゃないの〜?」

「みぃちゃん写真いいすか?一緒にとってください!」

IMPの子達が私にカメラを見せてくれたのとけんくんがニヤリと揶揄ったその時。私の肩に回る腕。そして嗅ぎ慣れてるいつもの彼の匂い。耳元で聞こえる息。

「当たり前、じゃないすか!俺の、彼女なんで」

「っ、しょ、く、」

「なんでライブ終わり俺より先に会っちゃってるんすか〜?」

「いやだって来たんだもんここに」

「ほんでお前らも写真とか俺の許可取らないと困るから」

「ええ!すみませんw」

私の肩に腕回したままで喋る紫耀くん。あ、だめだ。うまく顔見れないかも。

「で?なんでみぃちゃんそんな静かなん?」

すると紫耀くんが私に顔を近づけて目を合わせてくるから一気に顔が熱くなったのが自分でも分かった。むりむり、涙出そう。恥ずかしすぎて滲む世界。すると紫耀くんにいきなりガバッと抱きしめられて彼の胸の中に顔が隠れる。

「ちょ、なにいきなりいちゃついてんの?」

「ダメ!!!ジンこっちくんな!!みぃちゃんめちゃくちゃ可愛い顔した!!!」

「はあ?なにw」

「そりゃそうだよね〜、みぃずーっと紫耀のことかっこいいかっこいいって言って骨抜きにされてたからね〜」

「「お疲れ様です!!!!」」

紫耀くんの胸の中で恥ずかしさに耐えてたらそんな声が聞こえてきてチラリと胸の中から見れば社長が立っていた。あ、仕事の話するかな。私一回はけないと、と思って彼から離れようとするのに動かない腕。

「なに?なんで逃げるの?」

「、し、ごとの話しそうだったから」

「うん。それはそうなんだけどマジでなんで目見てくれないわけ?」

「っ、そ、れは、」

「ねぇみぃちゃん」

ああ最悪。この感じ。この声のトーン。これは紫耀くんわかってる。この人意地悪なところがあるから分かってて言ってるんだ。

「俺そんなに照れちゃうほどかっこよかったの?」

ほらやっぱり。肩掴まれて逃げられないように目合わせられて。めちゃくちゃ至近距離でそんなこと聞いてくるなんて。自分が今どう思われてて私がどんなふうに思ってるのか分かって聞いてるんだ。なんだこの人。本当に意地悪。

「っ、」

「ほーら、答えないと離れないよ?」

「っ、」

「だーめ、そんな可愛い顔しても。ちゃんと言ってよ」

「、っ、かっこよかったよっ」

「、」

「世界で1番、しょーくんが、かっこよかったよっ」

「、はっず、」

私に聞いといて一気に顔が赤くなった彼はそのまま私を抱きしめてくれた。本当に涙出る。恥ずかしすぎると涙出るって本当だったんだなって思うぐらい。彼の背中に腕を回しながら涙を隠していたら隣から聞こえる野次。

「ねぇーー!!なんでライブ終わって人のいちゃつき見ないといけないの!?!?」

「みた?今みぃちゃんめちゃくちゃ可愛かったよね」

「見ました、俺まで、はず、可愛すぎて、」

「やめとけ。お前ら全員殺されるぞ」

「はーい、じゃあお疲れ様!話だけさせてね。紫耀!みぃ連れたままでいいからこっちこーい」

そこからなぜか私も連れられて彼の隣に座りながら社長の話を聞いて。みんなの感想も聞き合いながら本当に素敵なファミリーだなと思ってふと自分の事務所もこうやって皆で今度ライブをするけど。あー、頑張りたいなって思った。こんなに一丸となって出来るかなって。いやしないといけない。負けてられない。

「じゃあお疲れ様の乾杯するかー!!」

「「いぇーーい!!!」」

みんなでとりあえず乾杯しようってなって。私はさすがに乾杯に入れるようなことしてないと思って、紫耀くんにお化粧直しいくことを伝えて席を外れる。鏡に映る自分を見れば完全に泣きましたって瞳になっていて。それに自分で苦笑いしながら今日のあのステージはきっと一生忘れることのない思い出になるだろうなと思った。

「っ、しょ、くん」

「お化粧直し終わった?」

「う、ん、終わった」

「みぃちゃーん。俺頑張ったから褒めて?」

甘い顔で。甘い声でそんなこと言ってくる彼に。ゆっくり近づいて彼の細くて綺麗な金色の髪を撫でた。それから頬に手を当てて伝えれる限り気持ちを込めてまっすぐ紫耀くんを見つめる。

「よくがんばりましたっ、私のヒーローは、紫耀くんだけですっ、本当にかっこよかったよ、大好きです」

「、っ、ありがと、」

それは満面の笑みでそう言ってくれた紫耀くん。2人でぎゅーっと抱きしめあって。それからすぐ手を繋がれればニヤリと笑う。

「じゃ、続きはベットで」

「え?」

「早く帰ろ、さ、帰る準備するよ〜」

「いやいや打ち上げは!?」

「ここからは自由参加だからもう帰る〜」

「いやせっかくなんだからもうちょっとさ「俺も我慢の限界なんだよね」

「っ、」

「早く2人きりになりたい。帰ろ」

紫耀くんに甘くささやられて顔がまたタコみたいに赤くなったのがわかる。そんな私に満足気に笑った彼はぎゅっと私の手を繋いで歩き出した。ああ、本当、ずるい。彼には敵わない。


ズルい人、


(マジで紫耀羨ましーーーー!!!!やべーー!!)

(岸くんぶっ壊れてる)

(でも本当に美男美女すぎてやばいです)

(新すっかりみぃちゃんのファンになったな)

(はい!あのカップルかなり推してます僕)

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