プライベート7

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みぃちゃんと今までがっつり絡む機会はなかった。みぃちゃんの存在は知ってたしめちゃくちゃ美人なお姉さんだとも思ってたけど俺なんかが絡める存在じゃないことだけは馬鹿な俺でもすぐにわかった。けど廉がまずみぃちゃんと遊ぶようになって。なんかめちゃくちゃ自慢されて羨ましいなって腹立ってたら今度は紫耀が映画とドラマで共演しだして。気がつけば紫耀がみぃちゃんとめちゃくちゃ仲良くなってて。それに、

(あ、みぃちゃん)

(紫耀くんだ〜)

紫耀の目はかなりマジもマジで。廉にやめとけって言われても止まれないってはっきり楽屋で言い合ってたし。うわこの人本気でみぃちゃんに恋してるのか。やっぱうちのセンターすげぇ所いくじゃん俺には無理だわって思ったんだけど。けどなんか気がついたらさ、

(は?え?なんてなんて?もっかい言って?理解に追いつかない今)

(だから紫耀みぃちゃんの彼氏になった)

(・・・はあ!?!?)

本人は恥ずかしくて言いたくないってことでなぜか海斗から俺はこのビックニュースを聞いてマジでちびりそうになるぐらいびっくりしたのよ。まさか紫耀が本当にみぃちゃんと付き合えるとか失礼だけど夢にも思ってなかったし。そりゃ紫耀はめちゃくちゃイケメンだし男気あるしいい奴だけどみぃちゃんってすげぇ雲の上の存在だったからさ。やるな、俺らのセンターやっぱすげぇわって思った。そこからみぃちゃんにも会って挨拶してもらって、オーラやばくてすげぇ生で見るとありえねぇぐらい美人で可愛いけど。けどすごいありえないぐらいこれもまたいい人で。俺みたいなぺーぺーな人間にもめちゃくちゃ優しくて親切なのよ。だからああ紫耀よかったなって。隣り合う2人を見るたびにいまだに本気で毎回思えるんだよね。

(岸くん私ともいっぱい遊んでね)

今回俺とじんと紫耀で事務所やめて3人でやっていこうと決めた時も俺は遅れて2人の所へ行ったけど。みぃちゃんは世間に発表した日に俺にお祝いとしてお花とか手紙とかもくれちゃって。あんまり今までは個人的に絡んだことはなかったけど、紫耀のおかげで最近は俺もみぃちゃんと普通に話せるようになってきた。それでもやっぱり慣れないのは桁違いの可愛さなわけよ。オーラのやばさがえぐい。本当にこの人やばいなって会うたびに思うけど紫耀もいまだにずっとみぃちゃんに照れてるからこれはもう男は一生みぃちゃんに敵わないことを悟ったね。ハワイでの撮影も今日で4日目になる。今回はサプライズでみぃちゃんも来てて。(死ぬほどびっくりしたけど紫耀のほうが目ん玉落ちるぐらい驚いてた、そりゃそうか。だってみぃちゃんと会えないの普通に寂しがってたし)社長が全員に説明してカメラには映らないようにしてるけど今回のこのハワイで俺は初めてじっくりみぃちゃんと話すことができた気がする。それが個人的にすげぇ嬉しいんだけどさすが彼女だなって思うところがちょっとした時に沢山あるわけで。まず驚いたのは英語が死ぬほどうまい。現地の人とすげぇナチュラルに普通に喋ってるし。通訳いらないのよ、みぃちゃんだけ。だからすぐにコーディネーターの人とも仲良くなってた。俺には英語は全くわからないけどなんかマジですげぇ。あと社長とも昔から仲良いみたいだから見てすぐ分かったけどまあかなり可愛がられてる。スタッフさんとも昔馴染みが多かったみたいなんだけど今回初めましての人とも打ち解けるのはプロ並みに早かったと思う。それに後輩達だって本当にみぃちゃんと前の事務所では絡んだことないですって人ばっかりだったのにすぐに喋りに行ってたし。俺よりも後輩との距離このハワイでつめれてる気がするからヤバい(紫耀は誰とも仲良くなるなって無茶苦茶なこと言ってたけど)あとは本気でびっくりしたのはマジで朝から寝るギリギリまで可愛いってこと。びっくりするよ。普通何かしら可愛くない時というか普通の時ない?それが全く可愛くない時がないんだよ。泳いでいても寝起きでも寝ていても怒っていても拗ねていてもマジで全部可愛いの。そりゃ紫耀もこんな感じで骨抜きにされるわなと納得したもんな。だって紫耀が見たこともないほど女の子にデレデレしてるし。みぃちゃんのことになるとあの紫耀が余裕なくなって必死になってるし。

「むずかしー!!!!」

今日は1日ちょっとゆっくりした予定の日で。せっかくだしハワイといえばの楽器ウクレレを先生に教えてもらうことになってた。まぁ俺らあんま普段から楽器やらないし紫耀なんか珍しく苦戦してて、先生に丁寧に教えてもらいながら頑張った1時間ちょっと。なんとかちょっとだけは形になって、あとは自己流でやるしかねぇかって3人でなりながら車に戻り、昼でも食べに行こうとしていれば。車で待ってたはずのみぃちゃんがいないらしくて紫耀が慌ててた(紫耀いわくちょっと目離したら昨日もナンパされてたらしい。現地の外人にもバカモテなみぃちゃんやば)そうしたら少し車から離れた海岸の近くにスタッフさん達が一気に集まってて、なんか聞こえてくる音に俺らも顔を見合わせて近づいたら。

(麦わらの〜帽子の君が揺れたマリーゴールドに似てる〜)

まあ天使みたいな綺麗な歌声とウクレレの綺麗な音色がそこには響いていた。見ればスタッフさんや社長に囲まれて撮影されながら座ってウクレレを演奏してるみぃちゃん。みんなシーンと彼女の歌声にただただ酔いしれてた。俺らも思わずその綺麗な音色に足が止まる。携帯で楽譜出してるのかそれを見ながらいつ習得したのかしんないけど、完璧にウクレレ弾いてるし。ええ、俺らあんなに時間かけても弾けなかったのに。さすがみぃちゃん。普段から楽器してるだけあるわ、と思ってたら歌い終わった彼女に大きな拍手が鳴り響いて。みぃちゃんは恥ずかしそうに笑ってた。えー、すげ。やっば。すげぇのん見た。

「あはは!ウクレレっていいね!」

「みぃ!次カブトムシ聞きたい!」

「え、なんでも歌えるの?みぃちゃん。じゃあ俺もリクエストしたいんですけど」

まだ俺らに気付いてないみぃちゃんはスタッフさん達の輪の中で楽しそうに笑いながらリクエストを聞いていて。いやいやヤバすぎる、俺もリクエストしたいんだけど、と思ってたら俺の隣にいた紫耀がすぐに足を進めてた。

「いやいやコンサート開いてるし」

「あ、紫耀くんお疲れ〜」

「なに完璧に演奏してんの」

「なんかできた」

「いや俺らすげぇ苦労してたから!」

「みぃは元々ギターできるしね」

「なんとなくいけたの」

「もお〜、そんなライブするならきっちりおじさん達からお金もらわないとダメじゃんw」

「あはは!確かに!」

「いや払う。これは払うよ俺ら」

なんかさ本当に思うんだけどみぃちゃんがそこにいると皆が笑顔になるよね。俺からしたらちょっと堅物の人とか。喋りにくいなって人とかでもみぃちゃんと話せばみんな笑ってるんだよ。それってすげぇ才能なんだろうなって。今も皆の笑顔の中心にいて楽しそうに笑ってるみぃちゃん見てすげぇなって思う。

「さ、みぃちゃんご飯食べにいくよ〜」

「はーい!何食べるの?」

でもさやっぱりマジで思うわけよ。本当に近くで見てた俺だから言えるけど紫耀は大変だったと思う。センターで圧倒的な人気で。そんな紫耀には嫌な役目も沢山あったし。注目されてる分1番矢面にたって嫌なこと言われてたし。アンチって人気な人ほどつきやすいじゃん。けど紫耀って本当に男気があって自分の意見も簡単に人によって曲げないしまっすぐ正当な正義の道に進む人だから。だから俺から見たら本当にここ数年は特に苦労してたし。事務所との関係も良かったとは言えなかったからすげぇしんどかっただろうなって思ってたわけ。そんな紫耀がさ、

「みぃちゃーん!撮影終わったからこっちきてー」

「んー??」

「え、待って待って。ちょ、写真撮る」

「へ?」

「口にクリームついてるよ」

「!!なんで写真撮る前に言わないの!?」

「かっわいい。ほらおいで、拭いてあげる」

すげぇ楽しそうにみぃちゃんと笑ってんだもん。それだけで泣けてくるんだよね。みぃちゃんには甘え下手な紫耀も完全に甘えてるっぽいし。彼女ならきっとあのすげぇ広い心と大きな愛で紫耀を包んでくれてるんだろうなって見てたらそう思うんだよね。

「岸くーん何食べてるの?」

「俺なんかハム系っす」

「ハム系、、笑笑」

「食べます?」

「え、いいの?」

まあ本当に紫耀のおかげで俺もこんなふうにみぃちゃんと仲良くさせて貰ってるから感謝だよなと、隣で可愛い彼女を見ながら思ってたら大きく開けられた彼女の口。俺のフォークがそれに止まる。2人でしばらく止まること数十秒。え、なにこれ。もしかしてこれって、アレ?あーん待ちされてるの?え、していいの?何このご褒美。

「みぃちゃーん、あーん」

「ん、んーーー、さっき、紫耀くんのは食べた!」

戸惑ってる俺にさっと紫耀が彼女のほっぺた掴んで自分の方見させて。自分の頼んでた物口に入れちゃって。うわ、何してんだよ!!と叫びそうになったけど鋭い目で睨まれたから黙る。え、俺先輩だよね?

「岸くんのも貰おうねー」

なんていつの間にか俺のやつ紫耀のフォークで持ってかれて、そのままみぃちゃんの口に紫耀があげるもんだから。いやそりゃそうですよね。そうなりますよねって項垂れてたらじんに慰められるように肩を叩かれた。

「岸くん美味しい!!!」

「・・・良かったっす」

「よかったね、岸くんいま命があって」

紫耀にめちゃくちゃ恐ろしいこと言われながらも、みぃちゃんは人との距離感がかなりバグってるから気をつけないと俺がこうやって紫耀に殺されそうになること何回もあるんだよね。これはちょっとマジで気をつけようと思う。何回かもう殴られてるからさ。でもまぁ俺が悪いというかみぃちゃんに怒るべきだとは思うけど。

「あ、岸くんだ」

「お、みぃちゃんだ」

「何してるの?」

「ちょっと小腹空いたんでなんか食べようかなって」

「あはは、学生みたい」

「俺の胃まだ若いんすよ」

ウクレレが終わってからはペレの椅子見に行ったり街全体がアートの街に行ったりしてゆったり観光して俺らも今日は早めに帰ってきた。そしたら夜にちょっと小腹減ったなって思ってロビーに出てきたらまさかのみぃちゃんと遭遇した。俺の返答にまだまだ岸くんは若いよ?と笑うみぃちゃんはマジで可愛い。良かった〜、まさか夜ラウンジに出てきてたらみぃちゃんに会えるとは思わなかったし。すげぇラッキー。

「みぃちゃんは何してるんすか?」

「あのね、秘密だよ、」

しーっと内緒ってするみぃちゃんに俺も同じポーズ取れば楽しそうに笑った彼女は「今から紫耀くんと抜け出すの」と教えてくれた。

「ええ!みぃちゃんの方が学生っすよ」

「滝沢先生怖いからバレないようにするの」

「はは、それは大変っすね」

「だからぜったい内緒にしててね」

「わかりました!」

あー、みぃちゃんと同級生だったらどんなに良かっただろうなぁ。まじ青春してたのかな、いやでも俺同級生でもみぃちゃんを眺めてるだけの男子生徒Cとかだな。こんな美人ぜったい自分からは絡めないわ。そう思ってたら向こうから紫耀がみぃちゃんを呼んでて。

「あ、じゃあね!」

「うっす!」

嬉しそうに消えていったみぃちゃんに可愛いなーって思っていたらまだまだジュニア時代のいつぞやの紫耀の言葉をふと思い出す。

(なんかさ、俺らって青春してなくない?)

(あー、確かに。ジャニーズでは無理だったもんね)

(だよなー、マジでしたかったわー、女の子と青春)

色々制限されてた青春時代。ドラマとかやって夢は膨らむ一方だけど、リアルな世界でそれが許されなかったある意味特別な学生時代。

「紫耀今ちゃんと青春できてんじゃん」

「ん?岸くんなんて?」

「いや、じんってさ青春したことある?」

「えー、無理無理、2人で恋バナはキツすぎるーーー」

「ちがうww ごめんごめんw」

あの日あの戦ってた時。紫耀は俺らのグループのために、俺らのために嫌な思いをしんどい思いもしながら頑張ってくれた。誰よりも優しい人だからファンの子が悲しむことに誰よりも傷ついていたけど、それでもこれから先の未来のことも考えて紫耀は決断もしてくれた。だからあの時の辛い顔を知っているからこそ、近くで見ていたからこそ、紫耀が今こうして笑ってくれていることが嬉しくて仕方ないのはきっとじんもだろうな。どうかこれから先も紫耀の隣で誰よりも可愛いみぃちゃんがいますように。柄にもなくそんなことを今日の満天の星空が浮かぶハワイの空に願ってしまった。


友達の思い、


(いいなーーーー!!!青春!!!!!)

(なに?岸くん怖いよ)

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