プライベート7

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「おけー!一回カメラとめるから紫耀いいよー!」

「うぃー」

今日は1日海コース。クリアサップが今流行りだと聞いたから3人で挑戦することにした。これが意外と体力使うし体幹やばいしでかなり疲れる。楽しいけどこれは今日の夜やばいぞと思っていたら一旦カメラ休憩となった。インストラクターも休憩していいよ〜と言うけどやっぱりそこはまだ俺らも若いのかじんと岸くんもまだマンキンで遊んでる。

(私やったことあるの!ほらー!)

(おおー!すげぇ!!)

みぃちゃんはどうやら以前ハワイでやったことあるらしくて最初からすぐ立ててどんどん漕いでたから向こうで社長やスタッフの驚く声が聞こえてた。目が合うとウインクされてこれにまたキュンと胸を撃ち抜かれたのは秘密の話。やっぱ俺の彼女器用だよなと思いながらサップを漕いで彼女の元へと向かう。

「あはは!!それは無理じゃないですか?」

サップの上に座って水に足つけて笑う彼女は一体どこの人魚姫だよってぐらいなんか儚い。彼女に向かっていけばすぐに気づいたみぃちゃんもこっちへゆっくりと近づいてきてくれた。

「あ、紫耀くん」

「サップ先輩〜、俺にも教えてくださいよ〜」

「なにそれw」

「岸くんとじんがあまりにもみぃちゃん上手いからサップ先輩って呼んでたよ」

「あはは!サップ先輩ってww なに?ボブなの?私」

「ねぇみぃちゃん勝負しよ!」

「え〜、さっき紫耀くん2人に勝ってたじゃん」

「だからみぃちゃんと今いい勝負だと思うよ」

「いいよ?じゃあ罰ゲームつけよう」

「お、いいね。負けた方は勝った方の言うことなんでも聞くことね」

「おっけー」

はい、了解した。今聞いたね?なんでも言うこと聞いてくれるんだって。これは何がなんでも勝たないとまずいぞ。そう思って彼女と一緒にスタート地点に向かって向こうの橋がゴールだと決めれば、集まってきたじんと岸くんも参加するらしい。

「罰ゲームつきだよ!」

「ええ!なんすか!?」

「一位の勝った人の言うことなんでも聞けるの!」

「なにその楽しいやつ!じゃあ俺が勝ったらみぃちゃんデートして?」

「もちろんいいよ!」

「まあじ??じゃあ本気だそ」

「はあ?よくねーし。じん先に潰す」

「こっわ」

そこからはまぁかなり白熱した勝負が繰り広げられて。みぃちゃんもガチだし(この人マジでガチなのよ。遊びとか全部ガチ)俺らもかなりガチだし。けどさっきの発言腹立ったし岸くんも勝ったらみぃちゃんに意味わからないこと言いそうだったから早めに2人はぶつかって転倒させといた。そこからみぃちゃんとの一騎打ちで。周りのスタッフの歓声が上がる中、ほんとに僅差。どっちが勝ってもおかしくない中で橋の下をくぐる。けどあれ?今の同時??

「どう!?どう!?」

「今のはね〜・・」

「みぃ?みぃ?みぃだよね!?」

「「いや同時だねw」」

「なんだよ〜!!!!!!!」

「え〜!!!!悔しい〜」

結局試合は俺とみぃちゃんの2人勝ちで。みぃちゃんはそれに「疲れたーー」とサップに寝転ぶから彼女のサップを近づけて俺も隣に一緒に寝転ぶ。お日様が気持ちよくて思わず目を瞑るけど隣を見れば太陽に照らされてる彼女は何もかもがキラキラと輝いていた。

「みぃちゃん」

「ん〜?」

「楽しいね」

「だね」

それはもうとびっきりの笑顔をもらったので俺の体全部が熱くなって。ほんとマジなんのご褒美だよって思ってたらハワイのコーディネーターが橋の上に案内してくれて。見れば子どもがそこから川に飛び降りる。え、なにこの面白い展開。そこからはじんも岸くんも俺も飛び込んで。その後に社長も飛び込んでたらまさかの、

「ちょ!!!!マジでするの!?」

「ええ!しないとかある!?」

「みぃちゃんってマジ怖い物ないよね」

「ねえ絶対怪我しないでよ!めちゃくちゃ気をつけてよ!」

「ねえ!!カウントダウンして〜!!」

「「3.2.1!!!」」

「「うぉーーー!!!!!」」

それはまああなたはやっぱり人魚ですねってぐらい綺麗に飛び込んだ彼女。そのまま泳いで俺のところまでくるとガバッと俺に抱きついてくるからしっかり受け止める。

「あはは!!!すっごく気持ちいい!!!!」

「みぃちゃん人魚すぎん?」

「私ね!アリエルになりたいの!!!」

「ちょ、そんなまっすぐな目で見ないでw」

彼女の腰を抱きながら喋っていれば本当に今度こそ休憩して帰ると言われて、皆で岸に一度上がることになった。それなのにみぃちゃんは俺から離れようとするからなんとなく勘が働いて彼女を囲む腕を離さない。

「どこ行くの?」

「ん?社長のとこ」

「いや岸上がるから」

「もうちょっとだけ泳ぎたい」

「だぁめ。話聞いてた?休憩が必要なの」

「大丈夫、私紫耀くんたちよりここ入ったのちょっと遅い「みぃちゃん」

俺よりパワフルパワーの彼女はまだ遊びたいみたいだけど今からまた泳いで帰らないといけないから。だから何かあったら嫌だしちゃんと彼女にも休憩してもらわないと困る。みぃちゃんにストップかければ彼女はまだ若干心残りはありそうだけど俺が絶対にこの手を離さないと察したみたいで渋々頷いてくれたから、そのままみぃちゃん抱えて泳いで岸へと上がった。

「ほーい、みぃちゃんおいで」

岸からじんが手を差し出してくれて彼女を引き上げてくれる。(マジでみぃちゃんとじん仲良くなったよな)彼女がじんの元へ行ったのを見て俺も岸へと上がる。あ、上がるとわかるな。疲れてるわ。足痛過ぎじゃん。そう思っていたらみぃちゃんも同じだったのか少しくたーっとじんに体預けてる気がするから(じんちょっと慌ててる)ほら見てみろとみぃちゃんの肩を持つ。

「ほら、疲れてるやん」

「ん、疲れてたw」

「水上がるとやばいね、あそこ座ってだって」

木陰の腰掛けれるところに座って。みぃちゃんを俺の膝の間に入れて3人で水飲んで一休みする。社長が向こうからタオルも持ってきてくれてみぃちゃんにかけて。俺も自分のタオルで彼女の髪の毛を拭いた。

「水って怖いね?無限に遊べるって思っても遊べない」

「ねー?足プルプルしてる」

「こっから帰るのキツくない?」

「やばいよね」

本当にしんどいわ。やりすぎた、そう思ってじんくんと岸くんの会話をBGMに、みぃちゃんの髪に顔埋めてたら香るシャンプーの匂いとなぜか何もつけなくてもする彼女からの甘い匂い。それにやべぇガチで癒されると思って黙ってたら、何も話さなくなった俺に心配してくれたのかみぃちゃんが振り返った。

「大丈夫?疲れた?」

「んー、疲れた。だから癒されてた」

「ええ?大丈夫?無理しないでね」

疲れたのは疲れたけどちょっと盛って(いやだいぶ盛ってる)甘えてることはどうやらバレてないらしい。振り返って心配そうに俺を見てほっぺた触ったり頭撫でてくれる。俺の頭を今度は優しく拭いてくれてるみぃちゃんにラッキーと素直に彼女に寄りかかってみぃちゃんにくっついて甘えていれば隣から感じる痛い視線。

「みぃちゃんさマジ騙されない方がいいよ」

「わかる。この人が疲れてるわけないよ?バケモノだよ?」

「うぉいこら」

「こら、嘘ついたの?」

「んーん、甘えたの」

「あはは、それならいいよ」

なんてニコニコめちゃくちゃ可愛い顔で俺のほっぺ撫でてくれるみぃちゃんにじんや岸くんに舌を出して彼女の胸に素直に顔を預ける。向こうで「あいつまじうざい!!」「みぃちゃん気づけ!甘やかすな!!」なんて騒いでるけど聞こえないふり。ってでもまぁ話してた通り帰りはかなりの地獄で。しんどい上に結構帰りの距離があったから疲れてる岸くん引っ張ってたら、みぃちゃんはちゃんと社長が回収してカヌーに乗せてくれた。それに安心して俺は全力で漕いでたけど、そうなるともう着いた頃には足はパンパン。ちょっと休憩と言われたからそのまま浅瀬でザブンと海に入ってプカプカ浮いてたら隣から聞こえた水が立つ音。見ればみぃちゃんも同じようにプカプカ浮いてた。

「わ、気持ちいい〜」

「ね、これやばいよね」

「あ、見て?カニさん」

「お、ほんとだ」

水ってなんか幻想的だけどマジでみぃちゃんが太陽に照らされて濡れた身体も髪の毛も光って神々しいなって思ってそっと隣の彼女の頬に手を伸ばす。

「ん?」

「女神みたい」

「、」

「・・・綺麗」

「っ、」

「みぃちゃんさ、勝ったら何をお願いしようとしてたの?」

「・・・ハワイは星が綺麗だからさ、紫耀くんと2人で星を見たいなって」

「っ、」

「引き分けだったけど叶えてくれる?」

なんだそれ。何そのお願い。そんなお願いお願いしなくても叶えるし。てかこっちからお願いすることだしそれ。なかなかバタバタしててまだ夜に2人でゆっくり星なんて見れなかったけど絶対それはこの期間で叶えるし。そんなことあの勝負でお願いすることじゃないじゃん。普通に言えばいいぐらいのことをみぃちゃんはお願いで使うんだよな。

「うん、絶対星見よう」

「、嬉しいっ、」

「・・・ちゅーしていい?」

「っ、だーめっ、」

「なんで?」

「・・っ、帰ってからにして?」

「いいけどそれはちゅー以外もするから宜しく」

ちょっと、と彼女が俺の腕を叩くからそのまま笑ってみぃちゃんの腰を寄せて抱きしめた。あーあ、幸せだなぁ。こんな日が来るなんて思ってもなかった。そこからお腹減ったからハンバーガー屋に入って(またもや会計は俺)お腹減ったからみんなバクバク食べてたんだけど。

「しょー、この子食べないぞー」

「・・・みぃちゃん?」

「・・・」

「油物じゃないものがいい?サラダ食べる?コーンあったよ」

「・・・うん」

「ちょっとだけ食べとこ?ね?」

「食べる」

俺に頷いたみぃちゃんは立ち上がるからそれを止めてサッとレジでコーンサラダを買う。戻ればみぃちゃんは気まずそうに俺を見ていて。そんな彼女がまるで怒られた小さな女の子みたいだから面白くて笑ってしまった。

「どんな顔してんねんw」

「・・・」

彼女の隣にみぃちゃんをみるように座って彼女の向きをくるりとこっちに変える。じーっと俺をみるみぃちゃんに買ってきたサラダを口に持っていけば小さく口を開いた。

「えらい、おいし?」

「ん、おいしい」

「雑貨屋行くんだって今から」

「え!やった!」

「これ食べて雑貨屋いこうね」

「ん」

素直に口を開けて食べてるみぃちゃんが可愛くて思わず写真を撮りながらも全部綺麗にコーンサラダを平らげたみぃちゃん。たまーに間にポテトも口に放り込んだからまあ少ないけど少しは食べれたと思う。

「ほー、さすが紫耀。ちゃんと手懐けてる」

「・・・」

「おおお、睨むの?俺の言うこと聞かなくて紫耀の言うことは聞くんだ」

「・・・・」

社長にいじられてるみぃちゃんはムッと口を閉じて俺の腕に顔を隠す。そんな彼女が可愛くて笑っていれば社長は「甘やかしたらダメだよ〜」なんて。いやきっといつも甘やかされてるのは俺なんだよな、そんなこと思いながらも俺の腕に隠れるみぃちゃんが愛おしくてぎゅっと抱きしめた。(てかみぃちゃん完全になんか社長に弱み握られてる感あるよなw 昔なんかあったのかなw)

「可愛い顔してるよ」

「・・・してないよ」

「どんな気持ち?」

「紫耀くんのこといじられて恥ずかしい」

「はは、俺の言うことは聞くってやつ?w」

「・・・そりゃ好きな人の言うことは聞くでしょ」

はい俺の彼女優勝。そんなことポツリと呟いてしまう彼女が世界一可愛い。みぃちゃんの顔を上に上げさせてそっと額に魔法を落とせば彼女は瞳を潤ませて俺をみる。無理だ、可愛すぎる。向こうからまた俺らを揶揄うヤジが聞こえてスタッフさんやじんたちが近づいてきたのがわかるけどそっと彼女の顔が見えないように隠した。だって今のこの頬赤らめた顔は誰にも見せたくないもん。ああなんて素敵な夏休みを貰えているんだろう。きっと俺はこのハワイの出来事をいつまでも忘れないと思った。


サイダーのようにはじけて、


(紫耀くんはさ、勝ったら何を頼もうとしてたの?)

(・・・そりゃあベットの上でいろ(最低))

(ごめんなさい)

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