プライベート7
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私の思っていた計画とは全然違うようになっていた。滝沢くんに誘われたハワイ。撮影には一切映らないように、と念入りに伝えたので私は私で久しぶりのハワイでも満喫しようと思って色々調べてた。けれども紫耀くんが昨日の夜に言ってたように私は本当に常に紫耀くんたちと同じ予定を組まれているみたいで。カメラが回るところでは少し離れたところで滝沢くんやスタッフさんたちと過ごして。止まるとすぐに紫耀くんが迎えに来てくれるから3人と一緒に時間を過ごしていた。
「「うぇーーーい!!」」
「マジかよーーーー!!!!!笑」
向こうで紫耀くんたちが楽しそうにスタッフさん達と笑ってるのが見える。こうやって見ると本当に3人とも年相応の男の子(いや小学生・・?笑)って感じで可愛いなぁ、なんて。世間で注目されている人たちだから日本だとこんなふうにはしゃいだりするのは場所を選ばないといけないし、こうして単純に何も考えずに楽しめるのは頑張ってきた彼らにとって素敵なプレゼントだと思う。
「はい、みぃこれ」
「ありがとうございますっ」
「なあに楽しそうな顔してたの?」
「ん?ああやって楽しそうな姿見れるのが幸せで」
「・・はぁー、、本当に平野はいいね、こんなに愛されて」
「滝沢くんのことも大好きですよ?」
「うん、俺も大好き」
ハワイで有名なポキ丼でランチタイム。今回の旅は男気じゃんけんで決めると決めたみんなはさっそくスタッフさん達も入れてじゃんけんを楽しんでいる。はしゃいで楽しんでいる恋人をこうして遠くからでも見ていられることは凄く幸せな時間だった。こっちまで自然と頬が緩むからそんな私を見た滝沢くんに呆れられるぐらい。
「あ、紫耀くん勝ったw」
「あれ結構値段いくぞ〜、さ、俺らは先に食べよ」
「はーい、いただきます〜」
さすがハワイ。ホタテとか海鮮メインで選んでみたけど凄く美味しくて思わず滝沢くんとハイタッチする。なんだこれ!美味しい!!と食べながら滝沢くんとお互い会ってない間のそれぞれの近況を話していた。エイトのこれ見たよ、とかこれ知ってるよって。よく教えてくれるのできっと事務所から離れても仲間達のことをずっと応援してくれてたんだなと感じる。思えばこの人と過ごしてきた時間も長くて出てくる話は私が忘れてることも忘れたかった思い出も多くて。(ひなちゃんに怒られて怖くて本気で泣いたことなんて早く忘れて欲しい)会ってない時間が長かったからこそ、会えばあの頃のことを一気に思い出して私の気持ちも自然とあのもがいてきたまだまだ若かった頃の自分に戻っている気がする。
「なあに盛り上がってんの?」
「あ、漢気紫耀くんだ」
「俺すごいっしょ?」
「結構いっただろ?あれ」
「はい、やばいっす」
そう言って私の隣に腰掛けた紫耀くんは「何食べてんの?」と私のご飯をのごきこむ。
「うわ、わかる。俺もホタテ選んだ」
「美味しいよね〜!」
「みぃちゃんがこんなに食べてるもんね」
「あ、まあだ食ほそいの??やめなよほんと」
「紫耀くんやめて。この人の前でそういうこと言ったらだめ、ややこしいから」
「お前www おい俺社長だぞww」
「社長よりもお兄ちゃん歴の方が長いから〜」
それもそうだなと私の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた滝沢くんに笑ってたら紫耀くんに隣からぐっと腰を抱かれて寄せられる。
「マジでだめっすよ、社長手出さないでくださいね」
「いやお前が出会う前からなんなら手出してる」
「・・・」
「あは、拗ねた」
滝沢くんが揶揄うから紫耀くんはムッと口を結んで拗ねてしまって。そんな彼に「小さい男になるなよ〜」なんて笑って向こうのスタッフたちのところまで行ってしまった。紫耀くんは私の方をじーっと見て黙ってるからそんな彼のほっぺたをツンツンつつく。
「拗ねてるの?」
「どうしたら年齢の差って埋まるわけ?」
「そんなの私が1番思ってるよ」
彼にはわからないと思うけど私だってすごく思うことがあるんだから。あと何歳か遅く産まれてたらあなたの周りにいる女の子たちのようにもっと若々しくいられたのに。あなたと近い年に生まれていたらきっともっと自信が持てることが沢山あったのに。昔から美容とか疎くて全然わからなかったのに、紫耀くんの隣に立つようになって初めてスキンケアを気をつけるようになった。今時のトレンドにも興味を持つようになった。それでもやっぱり私の価値観は今の若い子達とは違うのかわからなくて、実は陰でコッソリため息をついてることなんて紫耀くんは知らないんだろうな。
「俺は今のみぃちゃんが好きだからそんなのみぃちゃんは1ミリも思わなくていいんだよ」
「えー?紫耀くんは思うのに?」
「俺はどんどん思って誰にも何も言われないぐらいかっこよくなるつもりだからいいの」
「なにそれぇ、そんなの私だって思う」
「知ってる。スキンケアとかしてさ、もっと可愛くなるの頼むから一回やめてくんない??」
「あ、バレてた?」
「うん、俺の悩みの種だから。これ以上可愛くなってマジ俺のことどうしたいのかねお姫さまは」
そのままぎゅーっと抱きしめられて彼の腕の中に閉じ込められた。そんな私に周りから「いちゃつくな!」とかやじがとんだけど紫耀くんは気にすることなく「写真撮ろ!」とほっぺたをくっつけるもんだから私も笑顔をカメラに見せる(ポキ丼と撮れよ!その写真ハワイ感ないだろ!というジンくんのツッコミをガン無視してる紫耀くんすごい)それから少ししたら3人はtobeメンバーのアロハシャツを買いに行くらしいから、先に行こうと社長に誘われて、ひと足先にお店へと辿り着く。やっぱりこのアロハシャツはハワイ感あるよな〜、色合い可愛い〜と思って一緒に色々見たら滝沢くんがお店の人に声をかけて私の前にアロハ柄のワンピースが何着も出てきた。
「わ、可愛い!」
「みぃもアロハきなよ!気分上がるし!」
「え、やった!着ようかな!!」
「きてよ。みんな喜ぶわ」
とにかく色々試着して(なんか社長の写真の撮り方が完全にカメラマンだったんだけど)いるとお店のオーナーの人が滝沢くんに話して。少しして奥から出してきてくれたワンピースがそれはもう比べられないほどとても可愛くて。白地に青いハイビスカスもついているオフショルダーのワンピース。きさせてもらうととても可愛くてリゾート感もあってテンションはかなり上がる。滝沢くんもそれを見て即決で買ってくれた。
「すみません!まさかのプレゼント」
「いやいやこれはぜひ買わせてよ、似合い過ぎ。また紫耀の反応楽しみ〜」
そこから2人で近くのカフェのテラスでお茶して、夜は近くのお店で食べるっていうから紫耀くんたちがアロハシャツを買い終えるのを待ってたら向こうから一台の車が到着した。
「きたー!迎えに行ってくる!」
「いってらー」
急いで彼らの車に近づけば窓が開いて中を覗けば3人とも口をあんぐりさせてて。え?と思ってたら慌ててドアが開いて飛び出してきた紫耀くん。
「待て待て待て!!やばすぎ!!レベチ!なに!?どした!?」
ぎゅーっと抱きしめられるから思わず勢いに倒れそうになったけどがっしり掴まれてるから後ろに倒れることはなかった。
「やっべー!!!めちゃくちゃ可愛いー!!!」
「これはやばいよ、え?なに?やばすぎん?」
岸くんとじんくんもすごく褒めてくれるから紫耀くんからそっと離れてクルリと回るとひらりと風に吹いたスカートの裾。
「ふふ、どー?」
「「「・・・最高っす」」」
嬉しい予想以上の3人の反応に大満足して、よし滝沢くん待ってるよ〜と向かおうとすれば紫耀くんに腕を掴まれて足が止まった。あれれ?
「いや何普通に帰ろうとしてんの」
「え?向こうで待ってるよ?」
「・・・はぁ、・・じーん」
「はいはーい、社長に言っとくね〜」
そう言ったじんくんに「え?」ってなってるけど紫耀くんはみんなと正反対の車のほうへと私の腕を掴んだまま歩いていっちゃって。慌てて振り返ったらじんくんはもうカフェに向かって行ってるし岸くんだけがポカンとこっちを見ていた(え、岸くんだけ私と同じ顔してるじゃん)
「お姫様どうぞ」
カフェから少し離れて海のほうへしばらく歩いていくと、海岸沿いの誰も人がいない静かな場所に出てきた。近くのコンクリートの段のところに紫耀くんが座らせてくれて彼は私の前に立つとそっと私の頬に手を添える。
「ふふ、手冷たいよ?」
「ねぇ、」
「ふふ、やぁだ、くすぐったい、なあに?」
「なあにじゃない、なに?その可愛すぎるアロハ服」
「可愛い?」
「めちゃくちゃ可愛い、ハワイのお姫様かと思った」
「ふふ、そうだよ〜!みんな褒めてくれるから嬉しい」
立ち上がって紫耀くんにぎゅーっと抱きつけば彼も抱きしめ返してくれる。彼の頬に唇を押し付ければピクッと動く肩。それが面白くて紫耀くんの顔を覗きこめば珍しく頬が少し赤くなってる彼に驚いて「え」と固まってしまう。
「・・どしたの?」
「どしたじゃねーから」
「え、顔赤いよ?」
「やめてやめて、マジでさぁ!!思ってるよりみぃちゃんって破壊力凄いから!!!」
「えー?」
「もお!!!ほんっと、ありえねぇんだけど俺の彼女」
そう言ってぐっと腰に腕が回って引き寄せられ絡まる視線。紫耀くんの目がギラリとギラついたのがわかって瞳の奥の言葉にできないドロリとした熱い物にこれはやばいと逃げようとしたけど、そのまま重なる唇。抑えられて動けないからだ。何度も何度も重なるそれに頭がぼーっとしてくる。
「っ、ちょ、」
「可愛いみぃちゃんすげぇ大好き、なんだけどさ」
「っ、ん、」
「俺のいない所で可愛く、なるのはさ、嫉妬で、死にそうなんで」
「っ、ん、」
「控えてもらえると、助かるんですけど」
「、紫耀くんに喜んで欲しかったの」
「うん、みぃちゃんの思惑通り喜んでるからさ」
「も、くる、しっ、」
「はっ、今日ベットでもそれきてね」
「っ、着ない!!!!!!」
「はは、社長待ってるんでしょ?行こう」
肩で息をする私を見て気が済んだのか満足気に笑った紫耀くん。肩を叩こうとしたらそんな私の動きなんて分かっていたかのように止められ手をしっかり握られて、それから2人して滝沢くんたちがいる場所へと向かう。さっきの紫耀くんできっと顔が赤いままの私を見てそれはそれで社長たちに「何してたんだよ!」とつっこまれることになってしまったのが死ぬほど恥ずかしかった。そこから夜ご飯を皆で食べて彼らはフラダンスの体験をするというから車で待たせてもらうことにした。待ってる間になんだかちょーっと眠くなってきてウトウトして気がつけば、
「っ、あ、ごめ、」
「んーん、まだいいよ、もうちょいで着く」
彼らは戻ってきてて紫耀くんの肩にもたれかかって眠っていた。紫耀くんの隣には岸くんもいて。目を向ければ「おはよう」と笑ってくれたから私もおはようと返す。(寝起きのみぃちゃん天使!!!と大きい声が聞こえたけど紫耀くんが頭叩いてた)
「フラダンス、どうだった?」
「えっぐかった、汗かいてるっしょ、ごめんね」
「ん?」
そう言う紫耀くんに少し彼のほうによって彼の首元に鼻を近づける。あ、確かに。紫耀くんの匂い濃いかも。汗かいてる。ハードに踊ったのかな。フラダンスって結構見かけによらずしんどいって言うしな〜。
「・・・ちょ、みぃちゃん」
「ん〜??」
「流石にそれは、は、ずいんすけど」
「え?」
顔を上げれば紫耀くんの顔が真っ赤になってて。え?ってそれに自分が彼の首元に顔を寄せて匂いを嗅いでいる状況に気づいてパッと離れる。やばいやばい何も考えてなかった、無自覚だ。
「え、なんでみぃちゃんが照れるん!その反応なん!」
「っ、ごめん」
「やめてやめて余計恥ずかしいわ」
「ねぇー、いちゃつくの部屋に帰ってからにしてもらっていいすか?岸くんもう隣で変になってるんで」
「いや、今のはやばいっしょ、マジで」
「いや今のはみぃちゃんからでしょ?」
「ごめんなさい・・もうお願い、忘れて」
「なんでよ、ねえ、俺の匂い好きなの?いいーよ?いくらでもかいで?」
「やめてやめてそのスイッチ」
そこからは紫耀くんに嫌な絡み方されるし、岸くんは目合わせてくれなくなるし、じんくんは呆れてるしなんかもう最悪な感じになっちゃって。けど私の手を掴んでニッコニコでさっきから絡んできてくれる彼はなかなかの上機嫌だから。まあ彼がこんなに楽しんでくれてたらこんなにも嬉しいことはないかって。そう思って私まで幸せになったから、やっぱり私の幸せバロメーターは彼なんだと実感した。
彼が私の中心、
(おたくの彼女どえらいね)
(うっす、おかげさまで)
(凄いよ、アロハもあそこの店主が試着してるみぃ見てあまりにも綺麗だからって店の奥から売るつもりもなかったワンピース持ってきたんだよ)
(え?まじすかww)
(昔から末恐ろしい女だよな〜)
(すげぇっすね)