プライベート7

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紫耀くんのなかなか大きな声と今にも溢れそうな大きな目。その反応に大笑いするスタッフや社長たち。滝沢くんのサプライズは大いに成功したみたいでご満悦だった。そこから初めてメンバーさん全員と挨拶もできて。健くんは久しぶりに会えても相変わらず可愛がってくれて沢山褒めてくれた。みーくんも会うのはかなり久しぶりで積もる話もあったから、たーくんのことも含めて懐かしい話も沢山できた。IMPのみんなは本当に初対面なので一人一人と挨拶もできたし、じんくんは凄くびっくりしてたけど最近よく会うようになったから変わらず色々話もできたし。岸くんはじっくり話すことも今までなかったから色んなこと質問したりして(私岸くんツボだ、面白い)それはそれは初日にしてかなり楽しい時間を過ごせた。何よりみんなが私を受け入れてくれて、楽しんでいってほしいと言ってくれたこともすごく嬉しくて有り難くて。とりあえず私もハワイなんてかなり久々だからゆっくり楽しませて貰おうと思う。

「さ、そろそろ明日からもあるし解散ね〜」

滝沢くんの声に皆がそれもそうだと立ち上がり出したから、私も近くにあったお皿とか食器を手にしてスタッフさんと片づけ始めると、ぐいっと腕を掴まれた。

「っ、びっくりした〜」

「はいはい、みぃ?大丈夫だから、ありがとう」

「いやいや、私本当にこのご好意有り難く受け取らせて貰ったからこういうことはさせてほしい」

「・・はぁ、あのねぇ、ちょっと来なさいあなた」

滝沢くんに引っ張られて近くの椅子に座らされる。そのままぐっと足を挟まれて(あ、動けない)ほっぺたをむにゅっと抑えられれば目の前に少し怖い顔した滝沢くんが私をまっすぐ見ていた。

「俺別に手伝いが欲しくて呼んだんじゃないのよ」

「・・・」

「俺も事務所には感謝してるし、あの事務所を今俺は無理だけどみぃが一生懸命支えてくれてるのも知ってるからこそ、俺もあなたに恩返ししたいわけ」

「・・・」

「普通に楽しんでほしい。仕事してほしいわけじゃないから、ね?そういうことするのが苦手なのも分かった上で言う。ちょっとそういう努力してもらっていい?」

「・・・、はいっ、」

「ん、ありがとう、助かる」

そう言って頭を雑に撫でられてふと思い出した。そういえば昔からこんなこと何回もあった気がする。社長に連れられて会食とかに行ってバタバタしてた時とか。1人突っ走って周りが見えなくなっていた時とか。ふと滝沢くんが現れてこうやって話をしてくれた。その気持ちは大事だけどゆっくり休め、とか。そんなことまでしなくていい、とか。思えば私にストップをかけてくれていたのはあの頃から滝沢くんが多かった気がする。で、私が頷くとこうやって髪の毛ぐちゃぐちゃに撫で回されていたんだっけ。そんな昔のことを思い出してたら少しツンと鼻の奥が痛くなって視界が歪んだ。けど彼もまたきっとあの頃のことを思い出したのか「あ、前にもあったな、こんなこと」と笑ってくれるもんだからさらに涙が溢れそうになる。

「はーい、紫耀。あとはパスするね〜」

「え?」

「はい、預かります」

涙を拭っていれば気づけば隣に紫耀くんが立っていて。紫耀くんはゆっくり私を立ち上がらせると、そのままぎゅっと手を握ってくれた。

「俺もうじんたちとの部屋に荷物運んでるんですけど」

「うん、みぃの部屋用意してるからそっち行ってもらっても大丈夫だよ?女の子だからちょっと気持ち程度だけど離れてるところの部屋にした。あっち側ね」

「ええ!ごめんなさい、私別にどこでも」

「あ、マジ?じゃあ俺と寝る?」

「え」「いやダメしょ!!!」

びっくりして固まってたのと思ってなかった冗談にちょっと恥ずかしくなって、いやいやって否定したけど紫耀くんにはそんな私の気持ちがお見通しみたいでジトーッとした目で見られる。

「ねえ待ってなんで赤くなってんのこの子」

「なってないっ!ちょっと恥ずかしかっただけ!」

「うーわ!!ありえないわ!!なにしてんの!!」

「してない!もうやめてやめて」

「はは、俺も脈アリじゃん〜笑」

「ちょ、社長マジ勘弁してください」

「はいはい、みぃの荷物そこにあるから紫耀頼むね」

「はい、じゃあお先に失礼しまーす」

「はーい、みぃ、おやすみ」

「っ、おやすみなさいっ、」

そのまま紫耀くんに連れられて私の荷物を持ってくれた彼は用意してくれた部屋まで連れて行ってくれる。扉を開ければそこは一人で泊まるにはあまりにも広くてすごく綺麗なお部屋だったから、びっくりして思わず部屋の中に走って回った。

「わー!!すごーい!!すごいね!!」

「ねぇ、凄いねぇ、とかで誤魔化せるの?」

「紫耀くんとここに泊まれるの!?嬉しいね!!!」

「・・・はあ、まあ、いっか、みぃちゃんちょっと来て」

「はーい!」

呼ばれたから荷物を置いてくれてる紫耀くんのところに走ってすぐ行けば、彼は私をぎゅーっと抱きしめた。

「わ、あはは、どしたの?」

「俺さ、ハワイ着いて楽しかったけど、普通に1週間もみぃちゃんと会えないのかって考えて悲しかったわけ」

「うん、私も。見送った時ちょっと泣きそうだった」

「だよね、俺もそれは感じてたわ。なのに、いきなり登場はマジで心臓に悪いから」

「・・・・嬉しかった?」

「・・・そりゃ、天地がひっくり返るぐらいは嬉しかったよ」

「っ、私も、すっごく嬉しかった!」

ぎゅーっと私からも抱きつくと紫耀くんが嬉しそうに笑ったのがわかった。彼が楽しい時間を素敵な場所で素敵な仲間と過ごせると聞いてすごく嬉しかったけど。それでも紫耀くんと会えない日が続くのは寂しいなと正直思ってたからだから単純に凄く嬉しかった。毎日会えないことは当たり前だったのに、私は一緒に暮らすようになってからどうやら贅沢になったみたい。彼と毎日会えることがきっともう当たり前になってたのかな。だからこそ紫耀くんとこうしてここで一緒にいれるなんて、こんなにも嬉しいことはないなって素直にそう思うから。

「あ、紫耀くんの荷物取りに行こ!」

「・・えー、まってて、俺だけで行く」

「なんでぇ?一緒に行かせてよ」

「・・・んー」

なんか微妙な顔してる紫耀くんは置いといて、一緒に彼の荷物を置いてた部屋に迎えば、同室だからそらそうか。そこにはソファーに座ってくつろいでる二人がいて。

「じんくん!岸くん!」

「「みぃちゃん!!」」

「お邪魔します〜」

「あ、荷物?え、みぃちゃんせっかくだからちょっとゆっくりしていってよー!」

「え、いいの?」「よくないよくない」

「みぃちゃんなんか飲みます?いれますよ!」

「わーい!岸くん私がする〜」

「うおおおおい!!!!荷物取りに来ただけー!!」

「いーじゃん、お前一緒に寝れるんだからみぃちゃんちょっとぐらい貸してよ」

「いや当たり前だろ、彼氏だぞ俺」

岸くんが温かい紅茶を淹れてくれようとするから。私もキッチンで手伝って。そのままソファーに隣に腰掛けてお話を少しさせてもらうことにした(なんか紫耀くんはじんくんと言い合ってるな)なんだかお酒でフワフワしてるのかな?いつもより表情が柔らかい岸くんがテンション高めに話してくれるから、それが珍しくて面白くて笑ってしまってたら彼もまたなんでか私につられてケタケタ笑ってる。

「あはは、岸くん酔ってるよね?」

「えー?そんなことないっすよ!!」

「顔ゆるゆるだもん、、あはは!岸くん楽しいね〜」

「楽しいっす!みぃちゃんにも会えたし!」

「ハピネス?」

「ハピネース!!!!!!!!」

「あはは、やめてやめてww」

岸くんに笑ってたらじんくんも隣に腰掛けてくれて、色々と話をふってくれる。本当にこんなふうに紫耀くんの大切なお友達2人と仲良くできることって幸せだよなぁと思いながら、ちょっとアルコールも入ってるからいつもよりテンション高めの二人に笑って話を楽しんでたら私の前にムッとした顔の紫耀くんが立っていた。あ、荷物ちゃんともうまとめてる。

「さ、帰るよ」

「えー、紫耀が1人で荷物置いてこいよ〜」

「なんでだよ、もう遅いからみぃちゃん寝ないと」

「そんなことないよね〜?」

「みぃちゃんベット空いてるんでよかったらここの部屋に」「岸くんぶん殴るよ?」

「ちょ、痛い!紫耀!もう殴ってるから!!」

「ほら、みぃちゃん帰ろ」

私の腕を必死に掴む紫耀くんに、わかったわかったとソファーから降りて2人におやすみなさいと挨拶すれば笑顔で手を振ってもらえた。岸くんはアルコールが入ってることもあるけどかなり2人とも打ち解けて来れたなと嬉しく思って紫耀くんの荷物も部屋に運べると、そのままガバッと後ろから彼に抱きつかれる。

「わ、びっくりした〜」

「みぃちゃんってさ、本当にみんなに好かれすぎない?」

「え、それは紫耀くんじゃないかな?」

「んーん、先輩も後輩もみーんなみぃちゃんのこと好きすぎなんだよ」

「そう?そんなみぃちゃんは紫耀くんが1番好きだけどね」

「・・・ずる、」

「ずるくないよ、事実だもん」

「じゃあ今からは俺だけの時間だね」

「もちろん!何する?」

「よし、一緒に風呂入ろー!!」

「キャ!!」

そのまま抱っこされて浴室まで連れて行かれればもう彼を止めることはできない。あれよこれよと脱がされて流されて。気付いた時には2人でバスタブの中に入ってた。そこから家よりも広くて素敵なお風呂時間をゆっくり楽しんで、お互い髪の毛かわしあいっこもして、そしてフカフカのベットにおもいっきりダイブする。ベッドも大きくてひろーい!!

「幸せ〜!!!最高だね!!」

「これはやばいね〜!!」

「みぃちゃん明日海入ったりするからハードだよ」

「あ、私行きたいところあるからその間行こうかなって思って調べてて」「は?」

「・・・・え?」

「え、みぃちゃん俺らと一緒に常に行動だよ?」

「・・ん?え、なんで?」

「だって社長言ってたよ?みぃも同じスケジュールだからね〜って」

「・・・え、そなの?」

「当たり前でしょ、そんな1人行動とかありえないから。何言ってんの?俺と常に一緒だってば」

どうやら別行動だと思ってたのに私も皆のスケジュールに組み込んでくれてるみたいで。いやでもそれは大変そうだからこっそり抜け出そうかなと思ってたけど、紫耀くんにほっぺたをむにゅっと掴まれて彼を見る。

「無理だよ?社長と俺から逃げ出せると思う?」

「・・イイエオモイマセン」

「よろしい」

「ぜったい敵にしたくない2人すぎる」

「んー?明日海遊び楽しもうね〜」

「、うんっ、楽しもうね〜」

今回ハワイに行くことを事前に滝沢くんがきみくんに電話で説明してくれてたみたいだった。正直行くって言った後も悩んで何回も断ろうとしたけど、最終的に行こうと決めたのはきみくんが「タッキーを信用しろ」と言ってくれたからで。確かにもしかしたら撮影に映らなくても目撃情報で私の存在がバレることも多いと思う。けどそれでもそんなことわかりきってて大丈夫だとタッキーは言ってるから信じていいときみくんが後押ししてくれたから。少し日本から離れてお前はゆっくりしろって言ってくれたから。だから私もお休みをいただいてこうやって彼らと時間を過ごすことに決めれた。そうだよね、せっかく来たんだから楽しもうって。こんなハワイに来れることなんてないんだからちょっとぐらいゆっくりさせて貰ってもいいかもしれない。ただ一つだけ気になることがあって。

「紫耀くんはさ、私が来ても、邪魔にならない?」

「・・・」

「その、邪魔になることは、しないつもりではもちろんあるんだけど、その、」

1番不安なのは私の自己満足でここにこさせてもらって、彼は優しいから必ず受け入れてくれるのも分かってたけど。それでも紫耀くんの新しいホームに私が来てしまったら彼が今日からのこの日を全力で楽しめないんじゃないかって。私のことはだから気にせず気を遣わず楽しんでほしいと思うし。心から彼の休日を(撮影だけどプライベートで楽しめる仕事でもあるし)楽しんでほしいとそう願うの。

「・・え、最初の会話にもどるの?聞いてた?みぃちゃんに会いたいって思ってたって話」

「・・・聞いてたけど、」

「みぃちゃんが目に見えた時、マジで嬉しかったよ俺」

「・・、」

「どんなにハワイでいい景色見ても、美味しいもの食べても、みぃちゃんとみたいな、みぃちゃんに食べさせたいなって。そればっかり思ってた」

「っ、」

「スッゲー悩んでくれたと思うし。来たら気を遣って疲れることもあるだろうけど、俺と会うことを選んでくれてありがとうみぃちゃん」

無理だった。一気に流れる涙に紫耀くんは少し呆れたように優しく笑って私の瞼に魔法を一つ落としてくれた。

「俺のお姫様はまた1人で色々考えて悩んでたな」

「っ、ごめんっ、」

「んーん、考えさせちゃってごめん」

「っ、ちがうのっ、」

「うん、大丈夫。俺のこと思ってくれてるのわかってるから。だからさ、一緒にハワイ楽しもうよ、ね?」

「っ、うんっ、ありがとう」

「さ、イチャイチャして寝よう〜」

「ふふ、うん、イチャイチャするっ」

「う、自分で言っといてすげぇダメージ死ぬ」

紫耀くんと抱き合って重なって2人で沢山笑って気がつけば彼の腕の中で夢の世界へと旅立ってた。夢の中でも彼と一緒に幸せにすごく温かい時間を過ごせたような気がする。だから知らなかった。紫耀くんが本当に嬉しそうに私のことを見て眠りについてくれていたってことも。彼が本当に私が来たことに喜んでくれてることも。そんなこと知らずに彼の腕の中で眠る私はきっと世界で1番幸せな女の子だ。


夢の中まで幸せに、



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