プライベート7

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「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・ああ!!!もう無理!!ちょ、みぃちゃん!!紫耀まだ怒ってるよ!!!!」

「ええ?あはは、なになに?」

「お願い助けてください俺には無理です」

ぶすっとさっきからむくれてる俺の親友。俺が何喋っても答えないしじーっと前でキャハキャハとさっき撮った写真を見てマネージャーくんと楽しんでる子を見ては顰めっ面を続けている。あーあ、コーラぶくぶくしちゃってるし。それは植物園でのことだった。シンガポールに大きな植物園があると聞いてみんなで向かって。最初は良かったんだよね。みぃちゃんと紫耀もめちゃくちゃ楽しんでたし。てかマジでみぃちゃんが可愛すぎてずっとやばかった。会った時からすぐ思ってたけどワンピースがもうめちゃくちゃ可愛い。似合いすぎ。とにかくなんかの撮影とかじゃなくてプライベートなはずなのに、撮影今すぐにでもできるんじゃね?雑誌の表紙ぐらい簡単に俺のこのノーマルカメラで飾れるんじゃね?ってぐらいビジュ爆発してる。これってやっぱり素材が良すぎるから?もうみぃちゃんにプロのヘアメイクさんとか誰もいらないじゃん。そう思いながらも彼女がノリノリで植物園をまた楽しんでくれるから彼女被写体で、どっちが映える写真を撮れるか紫耀と勝負したり。たくさん写真撮って楽しんでいたのに。事件があったのは今から30分ほど前。みぃちゃんは植物園に着いたから俺と紫耀のインスタ用の写真も撮ってくれるってマネージャーと2人で俺らにカメラを何度もむけてくれてた。その中で、さっき何枚も撮ってたけどなんか今度はマネージャーがやけにニヤニヤしてんなって思ってたら、案の定紫耀の携帯が返ってきてそれを確認したら。

(うっわ、最悪まじなにしてんの)

見れば全部インカメになってて、みぃちゃんがなかなかマネージャーくんにくっついて写真撮ってるのよ。完全に鼻の下のびたマネージャー。にやけて顔赤くしてるマネージャー。そしてそんなこと気にもせずめちゃくちゃ可愛い笑顔のみぃちゃん。知り合って知ったけど、みぃちゃんはかなり子どもみたいな悪戯っ子なところがあるから今回もちょっとした小さないたずらが成功して爆笑してる。けどね、みぃちゃん。あなたまだわからないのかな?この俺の隣の人、本気で病気じゃね?って思うほどあなたを激愛してるのよ。それはもう何回も言うけど病的な激愛よ。自分の携帯にこんな自分以外の男と彼女が2人で楽しそうにしかもなかなかの距離感で笑顔で撮った写真が何枚も入ってるなんて激おこ案件だからね。あーあ、もうこれはしらね。と思ったら紫耀から発する空気感に、すぐやばいと気づいたマネージャーは「俺はやってないです!!みぃちゃんですよ!」と逃げ道を探すけど紫耀に睨まれてすぐ謝って小さくなってた。そしてもう片方の主犯の彼女はそんな紫耀に慣れっこなのか、まだまだ危機感がないのか(きっとこっちだな)すぐに「ごめんごめん〜」と紫耀と俺をもう一度並ばせて何枚か撮っている(おい紫耀笑えよ、これインスタ用だぞ)それからいっぱい歩いて疲れたしお茶しようってなって植物園の広場にあるカフェに入ったけど、まあ紫耀は一切喋らなくなってて。みぃちゃんはそれに優しく笑いながらも「私なんか買ってくるね」とマネージャー連れてまたなんか2人で買いに行っちゃうし。その間もこの隣の男は携帯いじって関わるなモード全開だし。戻ってきてもなかなか言葉を発さない紫耀。そんな無言な空気に先に耐えれなくなったのは俺で。叫んで立ち上がった俺はこの現状を唯一変えれるみぃちゃんに助けを求めた。すると彼女はやっと立ち上がって紫耀の前にしゃがみこんで目を合わせようとする。

「しょーくん、まだ怒ってる?」

「・・・」

「無視はやあだ、なんか喋って?」

うっわ可愛い。ちょっといつもと違って甘えた声で話すみぃちゃんに一億ポイントあげたい。無理だ可愛すぎ。紫耀もビクって肩揺れてたから多分めちゃくちゃ可愛いなって思っただろ。みぃちゃんしゃがんで必死に紫耀のこと覗き込んでるし。うわ、絶対可愛いじゃん。上目遣いのあの子に勝てるやついたら連れてきてほしい。紫耀すごいな。なんだお前。あんなみぃちゃんに下から見つめられてもチラッて見て終われるわけ?お前もバグってるだろ。

「おねがい、こっち見て?」

しかもみぃちゃんに手を握られてそっち向かされるから紫耀も素直に体の向き変えてみぃちゃんと向かい合って。そんな紫耀に少し嬉しそうな顔をしたみぃちゃんはじーっと下から紫耀を見上げてる。可愛すぎて死ぬ。俺から見てもめちゃくちゃ可愛いんだけど、なんで紫耀よ。じーっとお前も普通に見つめ返せるわけ?お前ここに岸くんいたら叫びまくってるぞ。

「・・ごめんなさい、紫耀くん」

「・・・」

「どうしたら許してくれる?」

彼女の片方の指が紫耀の指に絡まってぎゅっと握って。それから彼の頬をツンツンと反対の手でつついて。ダメだ、可愛い。やばい俺さっきから可愛いしかでないな。紫耀はされるままで拒否はしないからきっと嫌がってはいないと思う。みぃちゃんが声かけても紫耀はじーっとただただ彼女を見てるだけだからみぃちゃんは眉を下げてそれから紫耀の頬に優しく手を置いた。

「・・ちょっと2人なろ?」

「、」

「ね?あっちのまだ見てないとこ2人で見にいこうよ」

「・・・ん」

「ありがとう、嬉しい」

ぎゅっと手を繋いで引っ張って紫耀を立たせたみぃは俺に「ちょっと向かうのあれ見てくるね」と言うので「どーぞゆっくりと」と2人にヒラヒラ手を振った。紫耀は黙ってるけどみぃちゃんの手はぎゅっと繋いで2人で向こうの大きな植物を観に向かって行った。いやー、やっぱいいなあの2人。てかみぃちゃんめちゃくちゃ可愛いな。2人になろ、とか言われたら俺なら鼻血だして死んじゃうわ。そんなこと思ってたらマネージャーくんが恐る恐ると、

「・・すみません、調子乗りすぎました」

「ええ?なにが?全然よ」

「いやでも紫耀くんめちゃくちゃ怒ってたし」

「いやいやあれ怒ってない。あれは甘えてるのみぃちゃんに」

「え?」

「みぃちゃんにはああして小さな感情も見せて伝えれるのよ。感動だよ?紫耀って意外と隠すところあるから」

「・・・、」

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