プライベート7

□きらきらひかる君とあの子
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「じんくーん!やほ〜!」

「みぃちゃーん!!!!」

わー!っと俺に向かって前から差し出してきた手。その手を握って2人でブンブン振り合ったのも数秒ですぐにその手は何故かはたき落とされる。運転席に座る紫耀が俺をジロリと睨んでたからウインクして誤魔化しておいた。今日はみぃちゃんと紫耀と俺の3人でのお出かけ。この3人でどっか行くことは初めてでかなりテンション上がってます。みぃちゃんが海鮮好きらしくて、じゃあ美味しい海鮮でも食べに行こうってなって紫耀運転の元ちょっとした遠出に。みぃちゃんを久々にゆっくりと生で見たけどやっぱめちゃくちゃ可愛いな。ピンクの短めのトップスに(短めで腹チラしてんの可愛すぎだろ)ジーンズ履いて。ハーフアップでくぐってる彼女はやはりプライベートであってもめちゃくちゃ可愛い。可愛いなぁと何度も思いながらも嬉しそうに笑い合う2人を見て幸せで幸せでたまらなくなった。

(え?みぃちゃんが?)

(そう。メンバーで話あってちょっと仕事を休ませるらしくて。寝れないし食べれなくなってるから)

(・・あー、、まあ、色々あったもんね)

(だからまあ俺もちょっと落ち着いてきたし。2人で名古屋帰ってゆっくりするわ)

(あ、紫耀の実家?いいじゃん、いや、気使うか?)

(うん、だから2日ほど実家であとは山の上のホテル予約した)

さすがだと思った。昔から紫耀は人への気遣いができて相手の気持ちを考えるタイプだから、きっと今回もみぃちゃんのことだけを考えてこの結論に至ったんだと思う。実家には多分いつか挨拶したいって思ってたみぃちゃんの気持ちを汲んで。自分もほっとしたかったのもあると思うし。けど彼女のことを思って2人で過ごせるように。東京より名古屋の方が身バレも防げそうだし。紫耀もバタバタして色んなことに心が騒がしかったからいい時間になったらいいなと思ってた。きっと2人でゆっくりとした時間を過ごせれたのか、帰ってきた紫耀から連絡があって会えた日にはいつもより顔も穏やかで。

(どうだった?)

(めちゃくちゃ最高な時間だったわ)

本当に嬉しそうに言うもんだから良かったなって思ったっけ。紫耀から様子聞いて心配だったけど2人ともいい時間を2人だけで過ごせたのも良かったのか本当に素敵な笑顔で溢れてたのを見て心があったかくなったのは少し前の話。

「みぃちゃんお花ありがとうございました!」

「ううん、わざわざ電話くれてありがとう」

「いやマジで嬉しかったっす」

「よかった!あ、私もね!あれからすぐファンクラブ入ったんだよ〜」

「マジすか!!え、お気に入りアーティストは僕っすか?」

「ううん、紫耀くん」

「えー!!ショックー!」

「いや当たり前じゃん」

「でもじんくんもめちゃくちゃ応援してるからね」

「いやその言葉だけで頑張れますよ!」

「今からまた忙しくなるし今日はお休みリフレッシュしようねー!」

「はい!」

やっぱり前にメンバー皆でご飯を食べた時も思ったけどこの人の素敵なところはこの無邪気で愛嬌あるところだよなぁって思った。だって俺らとドライブしてくれるだけでめちゃくちゃ楽しんでくれるんだもん。あの野原みぃだよ?天下のアイドルで名女優のよ?俺らなんかみぃちゃんからしたらめちゃくちゃガキじゃん。そんな人が本当に楽しそうに一緒にうた歌ったりいろんな話してくれたり。なんなら俺らよりはしゃいでるなってぐらい無邪気に笑ってくれるのよ。みぃちゃんといればサービスエリアだけでもテーマパークみたいに楽しくなるんだから不思議だわ。

「私サービスエリア大好き!!どうする??三品クッキングする?」

「いやマジみぃちゃんキンプる好きすぎだから」

「本当に面白かったあの番組」

「今だに見てるもんね笑」

「え、じゃあ今パッと出てくる料理あります?」

「安定のじんくん料理だけはあんまり覚えてない」

「!!!」

「ヒャヒャヒャヒャ!!はらいてぇー!!!!」

ショック受ける俺にニヤリと笑うみぃちゃん。最近知ったこと。仲良くなると彼女はたまーに意地悪な時がある。(ちなみに悪魔みたいに高笑いしてる紫耀は無視)うそうそって振り返って俺に笑ったみぃちゃんは何買おうかな〜!なんて車から出て行こうとするからその腕を掴んで止めたのは紫耀で。ポカンとハテナマークを浮かべて止まる彼女に紫耀はテキパキと眼鏡をかけさせてキャップ帽をかぶせた。

「やっぱだめだ、隠れねぇわこのオーラ」

「ん?」

「なんかさ顔全体隠すやつないん?」

「いや多分だけど平野さんそれ余計目立つっすわ」

「えー、帽子被ったら髪の毛ぺったんなるからやだ〜」

「嫌じゃありません!!!!めっ!」

「みぃちゃんなんか見つかりゃこんなとこパニックよ」

「え?それはお2人でしょー?」

「てか見つかるも何もみぃちゃんに危険なことが起きる可能性があるから嫌なの。だからお願い。多少の変装はして?」

「うん、ありがとう」

ああ本当に素敵だなって思った。前もずーっと思ってたけど俺はこの2人といれば心から思うよ。俺も大切な人が欲しいなって。いいなーって。2人を見てると幸せな気持ちになる。今回みぃちゃんを連れて3人で出かけるってなった時もやっぱり彼女は凄く人気だし事務所もあるから安易な行動はできないんじゃないかって思う気持ちがもちろんあった。俺らの存在でみぃちゃんに迷惑がかかることはしたくないって思ったけど、紫耀いわく彼女のメンバーさんからもそしてマネージャーさん達からも連れ回していいって先に言われたらしい。それはみぃちゃんが今までいっぱい自分のしたいことを我慢してきたから。これからは彼女が好きな人と好きなことをちょっとでもできて欲しいってみんな思ってるんだって。だから紫耀も今回この日をするまでにマネージャーにも話はちゃんと通したけど1発オッケーでたと嬉しそうだったっけ。

「あ!ソフトクリームたべよっか!美味しそうだよ!」

「いいね、何味?」

「んー・・・」

「あれはでもちょっとみぃちゃんがよく言う牛感あるソフトクリームっぽくない?」

「思った・・じゃあ無理なんだよな〜」

「あれは?抹茶味のアイスあるじゃん」

「え、食べたい!!!あれにしよ」

「切り替ええぐ笑」

例えばちょっとした時に。前で歩く2人は小さな声で話してるから紫耀が彼女の口元に耳を寄せて。2人で嬉しそうにクスクス笑って。紫耀はさりげなく彼女を自分に寄せて人にぶつからないようにしてたり。けどみぃちゃんもそっと紫耀が買ったものを持ったりして2人がお互いを想いあってるのもすげぇよくわかる。

「じんくん見て!おもちだ!買おうこれ!」

「みぃちゃんいちご飴あるじゃん!これ買う?」

「お2人さんさ、テンションあがるのはいいんだけど今から海鮮食べるの忘れてない?」

この2人楽しくなったら後先のことを考えられないのはどうやら似たもの同士らしい。サービスエリアにテンション上がって気がつけば色々買おうとしてる2人を止めれば目をぱちぱちさせるもんだからその顔が似すぎてて面白くて声出して笑えば、紫耀に頭を叩かれた(いやお前もさっき声デカかっただろ)そんなふうに買い物して車の中で3人で食べて景色見て写真撮りあって。かなり道中楽しい道のりだったからかあっという間に目的地のお店へ着いてしまう。

「わー!楽しみ!楽しみ!え!何する?どれにする!?」

「まってもう美味そうなんだけど」

「やべー!すげぇテンションあがるうー!」

「あ、お茶セルフだね!入れてくる!」

座ったのはほんの一瞬ですぐに席を立ってお茶を入れに行ってくれたみぃちゃんに紫耀も立ち上がって腕を掴もうとしたけどその手は空振りで終わる。うわすげぇ。めちゃくちゃ早かったぞ今の動き。紫耀もなかなか俊敏なはずなのにそれを上回ってたな。

「・・・くそぉ」

「すげぇw 紫耀より早かったよ?今の動き」

「あの人めちゃくちゃ運動神経いいからね。もお〜、マジですぐ動くから〜」

「てかお茶セルフってよく気づいたよね?今の短時間で」

「うわしかも見て?あっちでもう人と喋ってる」

そう言ってちょっと膨れてる紫耀が友達ながらマジで可愛いなと思った。この人意外と他人には感情あまり見せないけど、こうやって心から信頼してる人にはバリバリわかりやすい態度になるからね。確かにみぃちゃんを見れば向こうのほうでおばさんやおじさん達に囲まれてニコニコ笑ってる。あ、なんかおばさんの腕叩いて盛り上がり出してるし。えー、何あの人。

「前から思ってたけどすげぇ人たらしだよねw」

「そうなんだよ〜、もうさ〜、なんかここら辺に?俺の名前でっかく書いておきたいぐらいなわけよ」

「こっわ、やめてやめて」

「ただいま〜!」

「あ、おかえりなさーい」

「ねえ!ほんとみぃちゃ「あのね!お母さんたちが教えてくれたんだけどやっぱりマグロが1番らしいよ!あとタコの唐揚げもやばいって!」

「みぃちゃん1人ロケしてるの、、??笑」

「ん?」

「もうほらここいいから座って」

1人でロケしてたみぃちゃんに思わずつっこめば彼女のことを自分の隣に座らせた紫耀ががっつりその腰を掴んでもうホールドオンしてた。自然体ってこういうことなんだろうなってぐらいみぃちゃん見てたらいい意味で芸能人っぽくないというか、なんかそのままで生きてるっていうか、大女優の大アイドルなのにそんな感じしないというか、メニューを紫耀に見せて貰って嬉しそうに喋ってる彼女の姿にそりゃ紫耀も惚れるわと納得する。こんな綺麗で可愛くて自然体な人、簡単にはいないもんな。

「じんくん決まった?」

「俺もやっぱマグロ定食にしようかな〜」

「だよね!でも私ご飯全部食べれるかな」

「いいよ、俺とじんで食えるよ」

「ほんと?」

「うん、お腹減ったもん」

「じゃあ定食にしよ〜!お味噌汁飲みたかったの!」

みんなそれぞれ海鮮の定食頼んでタコの唐揚げも頼んで。それはもうおいしくておいしくて仕方なかった。途中で写真撮りあったりして笑いながら食う飯はマジで幸せで。色んなことあったけどこうやって紫耀とそして紫耀の大好きな人と笑い合えることができて本当によかったと思う。

「あんたたちなんかテレビの人?」

「ええ?んー、ちょっとテレビの人やってますかね」

向こうでさっきみぃちゃんが喋ってたおばさんたちがお会計してる俺らに声をかけてくれて。それにみぃちゃんはクスクス笑って答えていた。(なんだ、ちょっとテレビの人って笑)

「あなたがこの女の子の彼氏?」

「え?あ、はい」

「いい子捕まえたね〜」

「ええ!?笑」

「この子本当にいい子だよ」

「まあそうなんですよ〜、本当にいい子なんですよね〜」

「ちょっと紫耀くん!笑」

「手離したらダメだよ〜」

「はい、絶対離さないんで大丈夫っす」

そう言って彼女の手を握ってめちゃくちゃスマイルを見せた紫耀と、紫耀の言葉に顔を真っ赤にしたみぃちゃん。うん、可愛い。100点のカップルすぎる。俺がヒューって口笛吹くと可愛い彼女には睨まれちゃったけど。それから海が見えるところに行って写真撮ったり色々してあっという間に日が暮れてきたから家路へと帰ることにした。さっきまでは嬉しそうに喋ってたけどいきなり静かになったからどうやら可愛いお姫様は眠り姫になったらしい。

「あれ?みぃちゃん寝た?」

「うん、ぐっすり」

「まーじでみぃちゃんずーっと可愛かったわ」

「当たり前じゃん、みぃちゃんだから」

「いや本当その理由が間違いないよね。みぃちゃんがみぃちゃんすぎる」

「じん何言ってんの?」

こうして3人でゆっくり話したりお出かけすることは初めてだったし、なんなら初めてみぃちゃんとこんなにがっつり喋ってプライベートを過ごしたのに。これが彼女の凄いところというか、素敵だなって思うところは変に気疲れしないで楽しめる雰囲気を作ってくれるというところ。だから今俺も楽しかったなという気持ちだけでいられるんだと思う。彼女が凄く人のことを考えて気遣い優しい人だなっていうのは知ってたけど実際知っていくとその凄さに驚く。

「みぃちゃんいい子すぎるわ・・」

「でしょ?」

「はー、、こんな子いるんだな」

「世界に1人だけね」

「幸せにしてあげなよ」

「言われなくてもするからw」

運転しながら優しい顔でみぃちゃんを見て笑う紫耀になんだか泣きそうになった。どうかどうかこの2人がいつまでも幸せでいれますように。この2人とまたこうして楽しくお出かけできますように。そんなことを願いながらも、俺もいつかこうして本気で好きになれる人と出会えればいいな、って。そう思った。


青い、蒼い、空


(ね、見て。このみぃちゃんめちゃくちゃ可愛い)

(雑誌じゃん、後で写真送っといて)

(おけ)

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