プライベート7

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「うわー!!!!綺麗だね〜!」

「久々に来た〜」

実家から出て2人でホテルに来てから数日が経つ。大きすぎることもなく小さすぎることもないホテルはとても心地よくて、従業員の人もみんな優しくいい人たちだった。ゆっくりゴロゴロテレビ見たり映画見て過ごす中でみぃちゃんもさらによく寝てよく食べる(っていってもいつも通り食は細いんだけど)ようになってきたと思う。そんな中彼女に何かしたいことがあるか聞いてみると、

(うん、ある!一個したいこと)

(え?なに?)

(せっかく名古屋の紫耀くんの生まれ育った街にいるから、紫耀くんの思い出巡りしたいかな)

(え?)

(昔好きだった場所、とか!学校、とか!紫耀くんの思い出がある場所に行きたいかも)

それ面白いか?と思ったけどみぃちゃんがめちゃくちゃ嬉しそうに話してくれるから、じゃあ行く?ってなって実家の車を借りてドライブすることになった。そしてそのまま俺の通ってた学校見にいったり、よく行ってた古い定食屋さんでお昼食べたり(大アイドルここに連れてきて良いのか?とは思ったけど)色んなとこに行きながらゆっくり喋って時を過ごす。彼女が優しく色々な話を聞いてくれるから、昔の思い出話をポツリポツリとしてるうちに色々俺も思い出してきていた。

「ふふ、ここでよくサボってたんだね?紫耀くんは」

「んー、まあ、・・・そうかなw」

「罰悪そうw」

「いやそんな自信満々にサボってた!って言える?」

「(笑)でも分かるかも。こんな景色見たらサボりたくなる気持ち」

最後に来たのは学校から少し離れた丘の上。よく友達とここに来ては大きな声で言わないけど授業サボってた。別に何するってわけでもないし何もない場所だけど。なんとなくここに来たら心が落ち着いて好きな場所だったかな。友達と来てるのにお互いただずーっと黙ってる時もあったし。馬鹿みたいな話して笑い合った時もあったし。1人で来てここから街並みを見下ろしてる時だってあった。あの時はなんでもない時間だったし無限にあると思ってたけど、今思えばあの時間は大切な俺の青春で。二度ともう手に入れられないかけがえのない時間だったんだと今になってわかる。

「紫耀くんの学生時代か〜、見たかったな〜」

「え、そんなの俺が1番思うんだけど」

「カッコよかったんだろうな〜、紫耀くんと制服着てここ来たかったもん」

「・・・待って、みぃちゃんの制服絶対可愛いわ」

「・・・私最近また着てるよ・・」

「・・あ!キャンジャニちゃんだ!!」

「うん、だいぶきついけどね」

「いやすげぇ可愛いあれ」

2人で色々と話した。最近は僕もそしてみぃちゃんだって目まぐるしい時間を過ごしていたから、こうやってゆっくり過ごすことは久々な気がして。何も考えないでこうしてのんびり心穏やかに2人の時間を楽しめることが幸せで。何よりも彼女が穏やかな顔をして笑ってくれるようになったことが嬉しく思う。

「・・みぃちゃんこれ楽しい?」

「え?すっごく楽しい!!!」

「・・それならいいんだけどさw」

「だってさ!大好きな人の思い出の場所知れるんだよ〜?紫耀くんここでこんなふうに過ごしてたんだ〜!!とか、かっこよかっただろうな〜!って想像するの楽しくない??」

「・・・」

「・・え、やめてノンリアクション」

「・・・違う、キュン死にを堪えてるの今」

「あはは!何それ!!」

みぃちゃんのこういとこ俺一生勝てないんだろうな。めちゃくちゃ可愛いすぎる。想像できないぐらいの可愛いこといきなりぶっ飛んでくるから死にそうになるんだけど。え、何この人。今すぐ連れ帰ってやることやっていいかなこれ。

「なんかさー、紫耀くんと落ち着いたら2人でこうして外でも会おうねって決めてたじゃん?」

「うん?」

「絶対こういう日はくるって分かってたけど、いざきてみるとこんなに嬉しいんだなって」

「、」

「これからも、別にこの仕事続ける限り気を使うとこは出てきちゃうけど、けど、今ね、何も考えずに紫耀くんとお日様浴びて、手を繋いでいられることが、幸せだなって思うの」

そう言って笑ったみぃちゃんが本当に嬉しそうな顔して笑うから堪らなくなった。胸が押しつぶされるとはこのことなのかもしれない。俺まじでいつかキュン死にで本気死にしそうなんだけど。みぃちゃんすげぇわ。

「俺も、めちゃくちゃ幸せだなって今思ってた」

彼女と握ってる手をお日様にそっとかざす。するとピカピカと指にある星が光った。俺の手をそっと隣に並べると2人の綺麗な星が光の反射で輝きを増す。このリングだって2人してこの指に光らすことが付けてもなかなか出来なくて。嬉しくて家の中ではつけてたりしたけど、外に出る時は俺は確実に取ってたし。やっと名古屋に行く日に2人揃って気にせずにつけれたこの指輪が俺はいまだに目に入るたびに嬉しくて仕方ない。別に物にこだわってるわけではないし、これが無くても俺とみぃちゃんの関係は変わらない。けれども2人の絆の証というか。やっぱり2人のものが常に自分の身にあるってことは独占欲の塊だとしても嬉しくて仕方ないんだよね。

「俺らさ、お互いこういう仕事してるから、もしかしたら当たり前に他の人がしてることもこれから先出来ない時ってあるかも知れないじゃん」

「、うん」

「この指輪が2人揃ってなかなか付けれなかったみたいにさ」

「、そだね」

「けど、俺は、なんだろー、、あー、、んー、、」

「・・うん」

俺の悪いところ。よくメンバーにも言われてた。紫耀は日本語が変だって。言いたいことはブワーって出てくるのになかなかそれと言葉が一致しないみたいで。俺の使う言葉がわからないって。メンバーだから昔からいるから分かってくれるけどよく初めての人にはハテナマークされることが多い。けれども隣にいるみぃちゃんはすげぇ優しい顔で頷いてくれて俺の次の言葉を待ってくれてて、そういえば会ってすぐの時から、

(あのー、いや、俺あれなんすよ、)

(うん!なあに?)

この人は俺の言葉をすげぇ優しい顔で待ってくれてたっけ。もしかしたらあの時から俺はみぃちゃんのこと好きになってかもしれない。

(あー、えっと、わかりますかね?)

(え?わかるよ!私もさ〜)

大体みんな俺が喋るとポカンとするのにすぐに分かってくれて。なんか人と人って時間じゃないんだな、って。俺はみぃちゃんと会って知ったかもしれない。

「でも、俺は、2人の時間はこうしてこれからは、何よりも優先してやっていきたいなって。俺本当にみぃちゃんのこと好きで大切だから」

「、うん、私も紫耀くんのこと大好きで大切だよ」

「・・・我慢させちゃうこともあるかもしれないけど、けどそれ以上に俺はみぃちゃんのこと幸せにするって思ってるから」

「・・うんっ、」

「・・やべぇ恥ずかしくなってきた笑」

「ふふ、」

「伝わってる?俺、なんだろ、言葉下手くそじゃん」

「ううん、紫耀くんの気持ちはいつもちゃーんと伝わってるよ、わたし、わたしね」

そう言って震えるみぃちゃんの声にハッとして彼女に目を向ければその瞳から綺麗な雫が溢れていて。

「、すっごく、幸せだなって、嬉しい紫耀くんっ、ありがと、」

そう言って笑う彼女が綺麗で可愛くて愛おしくて。涙を流すみぃちゃんをそっと抱きしめた。ぎゅーっと抱きしめてそのまま体を揺らせば耳元で聞こえる可愛い笑い声。

「ふふ、紫耀くん、あったかい」

「うん、実は暑くなってた」

「あはは、帰ろっか紫耀くん」

「うん、いこ」

2人で手を繋いで帰る。きっとこれから色んなことがあると思うし。悲しいことも辛いこともあると思う。けれども俺はみぃちゃんが隣にいれば2人が一緒にいればなんだって乗り越えられる気がするから。だからこの手はずっとずっと何があっても離さない、離したくない。

「みぃちゃん」

「ん?っ!」

繋いでた手を引っ張って唇を重ねる。その瞬間、みぃちゃんの頬が赤く染まってそれが可愛くて。

「っ!紫耀くんっ!!」

「隙あり〜」

どうかこの先も2人でずーっと笑い合えますように。そう思って帰った帰り道。これから先の2人の時間が楽しみで仕方なかった。


2人の過去と2人の未来、


(こんなにパワーもらえたらこれから頑張れる!)

(ってみぃは言うと思うけどいきなりエンストかけて潰れるパターンが怖いのでゆっくりエンジンをかけるようにさせて)

(・・・ん?なにそれ)

(って大倉くんが言ってた)

(・・・ん?)

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