プライベート7

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本当にできた人だと思った。みぃちゃんが前に皆でご飯会したいねって話をしてくれてて。俺もみぃちゃんと紫耀が恋人になったって聞いてこれは一度皆でご飯でもしたいなー、とはずっと思ってた。そしたらばったり事務所で会って。もうこれは運命だ、神様が言ってくれてるんだと思って彼女に恐る恐る提案すればめちゃくちゃ乗り気で賛成してくれた。みぃちゃんのかなりの全面協力があって今回この計画が成功したといっても過言ではない。そして何より今回こうやってご飯会をした時に彼女のすげぇ細かい色々な気遣いに俺はただただ泣きそうにもなってた。まず紫耀にはなんとなく聞いてたけどまだみぃちゃんは外で紫耀と会ったことがないって言ってた。それは俺らの最後の日までキンプリのファンに違う思いをさせたくない、とか。俺らに最後の日まで全力でグループの活動をしてほしいから違う話題に持っていかれたり、余計なことを挟みたくないからと教えてもらった。それは彼女の最大の紫耀と俺らメンバーへの気遣いだ。だから今回もご飯会はしたいけど何処かお店ではなくて情報が簡単にはもれない身内の場所にしたいという提案。そしてできれば皆が信用できるところがいい。誰にも気づかれてほしくない。この楽しい時間を後に第三者によって台無しにはされたくない。そんなふうにみぃちゃんの思いを正直に全部話してもらえて俺はその時点で胸がいっぱいだった。何度も彼女は、こんなめんどくさい事言ってごめんねって謝ってた。ややこしいこと言ってごめんね。って。けどそれはみぃちゃんが俺らのことだけを紫耀のことだけを考えて全部言ってくれた優しい言葉。ああ紫耀は凄くいい人を捕まえたんだなって凄く思えたもん。そんな彼女の意見を聞いた上で俺から出た提案は俺らのダンススタジオを使うことだった。事務所も一度考えたけど、前に廉からチラリとみぃちゃんが事務所で嫌がらせされてたのをみた話を聞いたことがある。聞いてるだけでゾッとしたし腹が立った。噂では彼女と上の人間はジャニーさん以外は仲良くないって聞いたことあったけど本当だったみたいで。できればそんなところには連れて行きたくないし、事務所も今不安定だから俺らも巻き込んでさらに変なことにはなりたくない。事務所は大きい上に色んな人がいるのも事実だから。だからそれなら俺らがいつも使ってるダンススタジオで部屋を借りた方が安心できると思ってすぐに手配した。けどただのスタジオだから見た目も食事だってままならないはずなのに、みぃちゃんは俺の話を聞いた後に凄く喜んでくれて。本当ならどっかいいお店で美味しいもの食べれる方が嬉しいはずなのに。みぃちゃんはあたかもこれが1番いいというぐらい喜んでくれた。食事は何か頼むか買うかしますと言うと、それもありだし私も何かプラスで作って行っていい?と忙しいはずなのに沢山のおかずやおにぎりを作ってきてくれて本当に驚いた(これにはメンバーがデリバリーより1番テンション上がってた)料理も全部ありえねぇほど美味いし。俺らからしたらみぃちゃんなんて凄く先輩で昔からテレビで見てるすごい雲の上の人って感じなのに。こんな俺らといても本当にこの人は凄く楽しんでくれてるんだなってわかるような雰囲気を出してくれる。気さくに色々なことも話してくれてずっとニコニコ笑ってくれてる。でも誰も1人にならないように話してない人にさりげなく声をかけてくれたり。おかずがなくなったら個々に聞いて取り分けてくれたり。スッと空いてるグラスにお酒を足してくれたり。飲みすぎてるメンバーには水を渡してくれたり。ささっと食べたものを寄せて机を片付けていたり。その気遣いと周りの見え方にはすごいなぁとただただ俺は尊敬だった。そして何よりも見てて感動したのは、

(ふふ、紫耀くんマヨネーズついてる)

(え?どこ?)

(うっそー)

(ちょ、ダルw なにその嘘)

紫耀をコロコロ手のひらで転がしてる姿にあっぱれだった。あの子はマジで純粋でまっすぐでおバカで。けど繊細でちょっと天邪鬼で捻くれてる所も若干あるから、本当の紫耀の姿をわかるまでは普通の人なら時間がかかるだろうなって思う。それに紫耀も簡単に自分の本心を相手に見せるタイプでもないし。それでもみぃちゃんを見てたらきっと紫耀自身をちゃんと見てくれていて、あいつの全部を受け止めてくれるんだろうなって感じた。だから自分だけ騙されてて若干拗ねてた紫耀に声をかけていつのまにかあっという間に機嫌も直してて。そしてすぐに紫耀を自然と笑顔にさせてる。それに紫耀も嬉しそうな顔して優しい顔してるし。あー、みぃちゃんのことすげぇ信用して大好きなんだろうな、みぃちゃんには自分を曝け出せるんだろうなって思ってたらそれは海斗も感じたみたいで2人で目があって笑い合った。あー、大丈夫だ。この人なら紫耀を任せられるし、きっとこれからも紫耀のことをまっすぐ支えてくれるってそう確信できた日になったんだよ。

「ねえ、マジで話しかけないでね」

「だから笑笑 早く行ってこいよ!漏れるで?」

「もういっそここでしてやろうかな」

「やめろやめろ!」

「バカなんじゃねぇの!!いや紫耀はバカだった!!」

「紫耀くん行ってらっしゃい〜!待ってるね!」

俺らとみぃちゃんだけにしたくなさすぎて、紫耀がトイレに行くことさえ渋ってた姿にみぃちゃんはおもしろそうに笑ってて。けどその顔がなんだかとても優しいから心が温かくなる。紫耀が走って行ったのを見てみぃちゃんはニコニコ笑って「小学生みたいだね」なんて。

「みぃちゃんあんなんだけど、紫耀のこと頼みます」

「・・はい、頼まれました」

こんなふうに真っ直ぐ言うことは恥ずかしいけど。けどこれもいい機会だしきっと何かの縁だから。だからみぃちゃんに伝えておこうと思った。いやこんなにも素敵なみぃちゃんを見れたから。みぃちゃんと紫耀の姿を見たからこそ俺の気持ちが熱くなったってのもあるけど。

「昔からうちの絶対エースで。マジでなんでも出来る子なんですけど、だいぶびっくりするぐらいのバカで、繊細で、なんか変な子なんで。ちょっと捻くれてるし、我儘だし、頑固だから決めたことは変えれねぇし、大変なこと多いと思いますけど、どうか宜しくです」

紫耀がみぃちゃんのことすげぇ好きなのは目に見えてわかる。そんなの初めからそうだった。映画やドラマで共演していて。その度に紫耀はみぃちゃんのこと大好きになっていって。そこから真っ直ぐ彼女に想いを届けていたように感じる。メンバーとして友達として、みぃちゃんはすごく素敵な人で彼女の隣にはいつも素敵な人ばかりがいたから、紫耀が悲しむことにならなければいいなとは思ってたけどさすがうちのセンターはちゃんと気持ちを伝えられたらしい。気がつけば2人は恋人同士になっててみぃちゃんは紫耀に優しい笑顔を向けていた。これからは一緒に肩を並べることはなくて、お互い別々の道を進むからこそ紫耀は心配なとこがある。才能があってなんでもできちゃうからこそ、彼は頑張りすぎるところがあるし自分の容量を超えて爆発するところがある。曲げない芯があるのはかっこいいけど、その分自分にも厳しいのがみそ。だからどうかそんな紫耀を分かってくれてるであろうみぃちゃんがこれから隣であいつを支えて守ってほしいなと真剣に願う。グループのメンバーというより仲のいい1人の友達として。紫耀がこれからは何の圧もかけられず自由に悲しい思いをしませんように。ずっとグループのセンターとしてやってきてくれた紫耀だからこそ思う。今度は色々なもの背負い過ぎないで伸び伸びと自分のやりたいことをやって欲しいって。俺はそれだけを願う。

「紫耀くんは相手の気持ちをすごく分かる子で、自分より相手を大切にしすぎる人」

「・・・、」

「仲間思いの彼が大切にする家族や友達やグループの皆は今後も変わらず私も一緒に大切にしていきたい」

「、」

「だからこうやってキンプリの皆と一緒に過ごせてることが、今すごく嬉しいの」

「、っ、」

「皆だってすごく忙しいし、今色んな気持ちだと思うし、色んなことが大変な中で、こうして時間を作ってくれてありがとう」

「そんなんみぃちゃんだって忙しいやん」

「そんなことないよ、本当に貴重な時間もらえて嬉しい」

「俺今日すげぇ思いました、みぃちゃんと紫耀マジでお似合いです!!俺の推しカップルです!」

海斗のまっすぐな言葉に俺らもみぃちゃんも思わず笑ってしまって。なんだそれって思ったけど、まあ本当にそうだよな。2人の雰囲気もすげぇいいしなんか俺もいい恋したいなって思うぐらい見ててあったかくなるし、嬉しくなる。

「ふふ、ありがとう、ちょっと自信つく」

「え!みぃちゃん自信なかったんすか!」

「ないよ〜。だって歳もかなり離れてるし、私には紫耀くんが勿体無くて」

「なにそれ。そんなん紫耀の方が思ってるんちゃう?」

「確かに。てかみぃちゃんそんなことマジで思わなくていいですから!!」

「ふふ、ありがとう、私でも改めて思ったよ。紫耀くんがメンバーの皆と一緒にいる時の笑顔が大好き、やっぱり私、キンプリって素敵だなーって思ったの」

「、」

「今まで皆が歩いてきた道は何も間違ってなかったんだよね。こんなにも素敵な仲間ができたんだもん。だって永遠の仲間だよ?私もグループあるし、今は離れたメンバーもいるけど、けど離れてもその仲も今までの思い出も全部変わらないし。一生ものだから。だからこれからも大切にお互いができたらいいよね」

紫耀がそういえばこないだ言ってたっけ。みぃちゃんがポツリと話してくれる言葉に救われる事が多いって。それってこういうことかも。今みぃちゃんが話してくれる言葉が温かくて体の奥にじんわりと広がっていく。

(じん、俺ら頑張ろうな。ここからだよな)

ずっと頑張ってきたんだ。ジュニア時代から。俺らは元々は2個のグループで。それが1つになって。皆で力合わせて。最初はファンも納得してない人も多くて分裂してたけどいつからキンプリで一つになっていって。ティアラって名前がついて。色んな事ファンの皆を第一に考えてやってきた。デビュー曲のイメージもあって王子様スタイルが抜けないところを紫耀がジャニーズ初めてのダンスを入れたいって新ジャンルを取りいれた曲を事務所に推して。けど無理で。でも何度も伝えて。やっと通って。海外に修行にも行って。挫折して挫けて。けど頑張ろうって全員でさらに燃えて。色んなことに挑戦して。楽しいことも辛いことも悲しいことも腹立つこともあったけど、ここにいる5人でここまで肩並べてやってきた。その道は間違いではなかった。俺らは間違ってはなかったんだ。

「無くならないよ、なんにも。無くならないからね」

「、」

「全部無くなったように思うんだけど大丈夫。何にも無くなってない。むしろこれから新しいことも出来てくから。大丈夫」

みぃちゃんもグループで色々あったと言ってた。俺らからしたら何があっても大丈夫なんだろうなって思うもうかなり上のグループだけど。けどそんなみぃちゃんだからこそ理解してくれる言葉に自分の視界が歪んだのがわかった。

「ふふ、よし。れんれんおにぎりまだ食べる?」

「食う」

「よし、まだ食べれる人ー!」

「「はーい!!!」」

「食べよ〜!飲もう〜!!」

「みぃちゃん紫耀帰る前に2ショットくださーい!!!」

「あ!撮ろう撮ろう」

「はい!帰ってきたー!むりむりむりー!!」

向こうから走ってきた紫耀が岸くんに飛びついて。それに皆でケタケタ笑ってたけど。いつも早い紫耀がこんなに遅いわけないし。瞳が揺れてるし。あー、きっとさっきの話聞いてたんだろうなってすぐにわかった。帰り。みぃちゃんの携帯に電話がかかってきて彼女が部屋を出た時。片付けをしてる時に紫耀は俺らに「ありがとう、楽しかった」と照れくさそうに笑ってた。

「いやありがとうはマジでみぃちゃんだわ。今回かなりみぃちゃんが色々してくれて成り立ったし」

「そっか」

「マジでいい人すぎるな、なんだろ。全てにおいて勝り過ぎてない?」

「いやマジそうなんだよ。やばいっしょ?」

「弱点ないじゃん」

「・・いやそれはあるかもw」

そう言って何かを思い出したのかニヤニヤしてる紫耀が嬉しそうで腹たったから軽く蹴れば、紫耀は「やめろよ!」と笑う。

「マジでこんないい人いないからさ、紫耀手放すなよ」

「・・・当たり前じゃん」

「でさ、2人で幸せになって」

「・・・ん」

「ちなみに定期的にみぃちゃんにこの会やろうって言われてるからよろしく〜」

「はあ?ないないw やめて」

どうかこの人たちの未来が明るいものでありますように。これまで色んなこと諦めて頑張ってきてくれた紫耀が絶対に諦めたくないって初めてぐらい頑張って手に入れられたことを俺は知ってるから。だからどうか2人に幸せがありますように。最後に仲良く帰っていった2人を見て海斗が「マジ推しカップルできたわ、、」とつぶやいて。それに全員で頷いた。俺らの時間は残りあと1ヶ月もない。全力で最後の時までを楽しむことを決めて今日というこの楽しい思い出を心にまた歩いて行こうと思った。


幸せな未来を夢見て、


(あー、なんか恋したくなるよな)

(わかる。紫耀の顔やばすぎ。めちゃくちゃメロメロだった)

(みぃちゃんも可愛い顔してた〜)

(いいな〜)

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