プライベート7

□5色の花
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ワクワクドキドキ。胸が高鳴りドキドキする。息を潜めてじっと待つ。隣にいるれんれんと目があってニヤニヤと彼も私を見てた。皆して会議室の部屋の一つの椅子の後ろに隠れたりなんかりして。そーっとその時を待った。そしてガチャリとドアが開いた瞬間。

「「わー!!!」」

「!!!」

皆で一斉に声を出して前に飛び出せば人ってそんなに飛ぶの?と驚くほど後ろに飛び跳ねた彼は思いっきり地面に腰を打ったのか倒れたまま抑えてた。そんな彼にゲラゲラ涙を流して笑っているのは私の隣に並ぶ4人の男の子たちで。そんな皆と私を見て目を丸くしてる彼に、してやったりと私もニヤリと笑うのだった。

(みぃちゃん、前言ってた話なんすけどマジでやりません?)

(え?)

それはたまたま事務所でばったり神宮寺くんに会った時に始まった。にっこり笑いながら話しかけてくれた神宮寺くんはどうやら私との以前の会話を覚えてくれていたらしくて。それに二つ返事で受け入れて今回のこの会を設けることになった。紫耀くんとさえ2人で外で会うことは一切してないので今回もキンプリの皆が使うダンススタジオを借りることになった。事務所じゃないのはこんな時だから、ってことと、きっと私を気遣ってくれたのだと思う。れんれんにあんな姿見せちゃったから考えてくれたんだろうなって思った。こんな姿あの人に見られたらまたなんか言われて雰囲気悪くなりそうだし。だから神宮寺くんが自分たちがよく使ってるダンススタジオなら借りれると言ってくれるから皆で軽食用意して。私も楽しくなって唐揚げとかポテトサラダとかおにぎりとか色々作って持ってきちゃったから年上がはしゃいでだいぶ恥ずかしい。とにかくここ最近は紫耀くんにバレないようにだけ必死だった。絶対サプライズにしたかったし紫耀くんは皆で集まるの意欲的じゃなかったから、これは神宮寺くん曰く黙って強行突破が1番いいらしい。彼のことはメンバーがよく知ってるだろうから、バレるかなってヒヤヒヤした時もあったけど神宮寺くんたちがうまくやってくれてたみたいで。今日はメンバーとご飯行ってくると連絡があってバレてないとホッとした。きっと何も疑ってなかったのは彼のかなりまん丸な目が証拠だった。

「紫耀くん大丈夫?笑」

「いやいや、ちょ、なにこれ」

「え?みぃちゃんと俺らの親睦会?」

「!!はあ!?!?ふざけんなよ!!笑」

「大成功だよねー!みてみて、今の紫耀の動画くそ面白いから」

「え、海斗くんそれ私ほしい!送って!」

「いいっすよ!」

「おい海斗殺す」

「こえー(笑)」

「てか早く食べようや!お腹減ったわ〜」

「ほんとだね!乾杯しよっか!皆お酒飲む?」

「「飲むー!」」

「いやいや!普通に始めようとすんなよ!!!」

れんれんの言葉に確かにとりあえずことを進めようと動いた私をきっかけに皆が机の周りに移動してお酒の準備し始める。そんな私たちに向こうに置いてけぼりでつっこんでるのは紫耀くんで。皆に飲み物を聞きながら缶を渡している私の肩を紫耀くんがこっちに来て掴んだ。

「まてまて、説明が足りないんだけどみぃちゃん」

「ん?れんれんがお腹減ったって〜」

「いや廉の説明じゃなくて」

「はーい!おっけー!じゃあ座って!紫耀くんお隣どうぞ〜」

「え、まじこれ進めるの?」

「進めるよ?では皆さん準備オッケーですか?」

「「はーい!」」

横で立ったままの紫耀くんの手を取って無理にでも座らせれば仕方なく座った紫耀くん。紫耀くんにはジンジャーエールを差し出せば渋々だけどちゃんと受け取ってくれた(この姿にじんくんが笑ってたらまた睨んで怒ってた)

「ではまずは待ちに待ったこの会を開いてくれてありがとうございます!」

「こちらこそありがとうございます!」

「神宮寺くんとのきっかけで開くことができました!ありがとう!」

「僕とみぃちゃんの運命の出会い、ですね」

「・・は?」

「やば笑 紫耀、顔やばいって笑」

「こういう時でもありますのでお店までとはいきませんでしたが!それぞれ忙しい中こうして集まっていただきとっても嬉しいです!今日は大好きなキンプリの皆とさらに仲良くなれたら嬉しいです!」

「ぜひぜひ!!」「嬉しいっす!」「「いぇーい!」」

「・・・」

「では、皆さん、缶を手に、、今日は楽しみましょー!かんぱーい!!!!」

「「かんぱーい!!!」」

「・・・」

1人をのぞいて、いぇーい!!と盛り上がる皆はそれからお酒を飲んだりテーブルに置かれた食事に手をつけ始める。さすが若い。なんかパワーが違う。がっつきが若い。皆のパワフルな食べ方に圧倒されてたけど、そんな皆をずっと睨んで黙って見てる紫耀くんの缶に私の缶もこつりとぶつける。

「そんな怒らないで?」

「怒ってない。何も気づかなかったから悔しいだけ」

「それは皆のうまさだね」

「別に上手くないし」

「クロサギが騙されたね〜」

「なんなの腹立つな。てかマジでみぃちゃんいつ繋がってたわけ?」

「んー?始まりは事務所でたまたま神宮寺くんに会ったところからかな」

「そ、俺とみぃちゃんの運命的な出会いからね」

「おい」

「やばあ!みぃちゃんこれめちゃくちゃ美味い!!」

「よかった〜!いっぱいあるから食べてね」

「・・嘘、みぃちゃん唐揚げ作ってきたの?」

「うん!色々作ってきたよ?」

「おおおおい、、何してんだよ〜」

隣で項垂れる紫耀くんに岸くんが「紫耀だけが独占するのってほんと良くないぞ!うわ!ポテサラめちゃくちゃ美味いっす!」と声をかけてくれて。みんなお世辞も入ってると思うけど美味しい美味しいと頼んだものよりも私の作ったものに最初に箸をつけてくれるところが優しい。これがこの子達の本当に人として素敵な部分でその優しさがグループにも出てるんだろうなってそう思う。紫耀くんはうつ伏せて拗ねたままで。私と反対方向にぷいと顔を背けちゃったから机に放り出されている彼の手にそっと触れてそのまま親指を軽く握った。

「ごめんね?どうしても私がこの会を開きたかったの」

「・・・」

「紫耀くんの大切なメンバーと私も仲良くなりたかったんだもん。だって紫耀くんのこと大好きだから」

「・・・」

私の言葉にぴくりと肩を揺らして反応してくれた彼はそのままゆっくり顔の向きを変えて私を見てくれた。じーっと私を見つめるクリクリの可愛い目。なんだか愛おしくてぷにっと柔らかい彼の頬をツンツンとつついた。

「黙っててごめんね。拗ねないで?もう許して」

「・・・俺が1番大好きって言ってじゃあ」

「うん、紫耀くんが1番大好き」

「・・」

「ほら、ご飯一緒に食べよ?」

「・・・食べる」

機嫌が少し戻ったのか紫耀くんは立ち上がると皆が食べてる食事の元へと向かってった。「あー!岸くんそれ俺のみぃちゃんのポテサラだから!俺が全部食う!!」と、メンバーを押しのけてお皿を取る彼にれんれんがめちゃくちゃ面白そうに高笑いしてた。

「れんれん、普通のお米も用意してもらったよ?」

「うわ、さすがみぃちゃん分かってる。けどみぃちゃんのおにぎりめちゃくちゃ美味いっすよ?」

「ほんと?それは嬉しい」

「今まで食べた中で1番」

「それは言い過ぎかな?あ、かいちゃん、私ドラマ見てるよ?すごく面白い」

「え、マジすか!あ、てか、俺ドラマでめちゃくちゃタオル使わせてもらってます!」

「ほんと?すっごく嬉しい!ありがとう!」

そこからは皆で楽しい話を沢山した。それぞれ皆と話すことって今までそんなになくて。だからお互いのこととか、仕事のこととか、昔話とか。色んなことに花を咲かせていたら最初はあんなに不機嫌そうだった紫耀くんもいつの間にかメンバー皆と楽しんで笑い合っていたから幸せな気持ちになる。私といるときの紫耀くんは優しくてお日様みたいに暖かくてそんな彼も大好きだけど。けどメンバーといる時のこの年相応の表情と皆が大好きなんだろうなっていうとにかく楽しそうな顔も好きだなぁと思った。この顔はきっと私には出せない、この5人とじゃないと見れない顔だろうから。だからもうこの姿を見ることはないんだろうなと思うとひどく虚しい気持ちになって鼻の奥がつんと痛くなった。

「うまー!!!マジでうまい!!みぃちゃんってマジなんでも作れるんですか?」

「いや、なんでもは無理だよ?」

「え、他にも得意料理ってなんですか?」

「んー、得意はないけど、よく作るのはハンバーグとか?」

「!!食べたい!みぃちゃんのハンバーグまた食べたいです!!」

「え、全然いいよ?作るよ」

「まじすか!!やばーーーい「作んない作んない。何言ってんの?それ食べれるの彼氏の特権だから」

「はあ!?いいだろ!べつに!!!」

「だめえええー!」

「紫耀うぜえーー!!!!」

岸くんと紫耀くんのやりとりに皆でケタケタと笑って。紫耀くん以外は軽くアルコールも入ってきてるから皆気分もいいのかどんどん盛り上がっていって。そんなメンバーに楽しそうな顔してたのは紫耀くんだった。イヤだイヤだって言ってたけど実際こうやって開催すれば嬉しそうな顔するんだよね。だって紫耀くん、大好きな仲間が楽しそうな姿見るの大好きだって言ってたもん。

「みぃちゃんね!紫耀ってダサいっすよ?ダサいところもあるんすよ!」

「岸くん何?喧嘩売ってんの?」

「いや紫耀がパーフェクトなんて思われてたら腹立つじゃん!暴露しようよ皆でさ!」

「やばいやばいイカれてる」

「岸さん変なスイッチ入ってるって〜」

「あはは、岸くんは飲むとテンション上がるタイプなんだろうね」

「みぃちゃんは酔うとどうなるんすか?」

「・・え、酔いすぎると覚えてないからわかんない」

「紫耀見たことあるの?」

「ある。内緒」

「うわ、絶対めちゃくちゃ可愛いやつじゃん」

「ちょ、やめてやめて想像しないでおまえらが」

「想像すらダメなの?w」

この人たちにタイムリミットがあるなんて誰が想像できるんだろう。なんでこんなにも若いこの人たちが未来のあるこの人たちがこの道を選ばないといけなかったんだろう。私には知らないことだらけで分からないだろうけど。けど悲しいなあ。悔しいなあ。

「ふふ、なんの話?」

「あ、みぃちゃん見ます?この紫耀の写真」

「うおおおおい!!やめろおおお!じん!!」

「てかグループラインみぃちゃん入れたやつ作ろうよ。紫耀の写真送りますよ」

「いやありえないから」

「ええー、紫耀くんの写真全部欲しい」

「うそうそ。いりません!紫耀くんの写真は今から沢山撮れます!!!!」

私が泣くのも私が悲しむのもお門違いだから。だからこの悲しさを隠して私は笑うの。皆も泣きそうになりながらも笑うから。だから私だって嘘をつく。

「みぃちゃんありがとうございます、すげぇいい思い出になります」

「・・うん、私も。じんくんこれ定期的にまたしようね」

「っ、いいっすね、やっぱグループ作りますか!」

「ありだね」

じんくんとこっそりした約束もいつか叶いますように。その時に涙目になったじんくんにもこれから先楽しいことが沢山ありますように。私はただ今ここにいる5人がこれからも変わらずこうして会ってははしゃいで楽しんで色褪せないことを願った。どうかこの5人に幸せがありますように。


5色の花はそれぞれに咲く、


(写真タイムー!)

(いいねー!ちょ、まずみぃちゃんツーショット貰っていいすか?)

(ちょっと岸くん調子のりすぎてるから一回表でて?)

(おおいいよ!でてやるよ!)

(やめとけえー!岸さんー、殺されるぞー!)

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