プライベート7
□手も足も出ない愛しさ
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「おかえりなさーい!」
「ただいま〜」
今日はみぃちゃん家に(今日はというか今日もか)仕事が終わってこればいつものように笑顔で迎えてくれる彼女。あー、まじで癒される。可愛い。好きすぎる。ほんと早く一緒に暮らしたい。絶対早く家探して一緒に住もう。彼女を抱きしめながらそう思っていたらみぃちゃんが俺の腕を引っ張っていって。そしてなぜか俺から離れるとファイティングポーズをとってきた。
「・・いやなにしてんのw」
「紫耀くんに勝負を挑みたくて」
「・・・え?なになになにw」
「だあかあらあ!紫耀くんと勝負したいの!」
「なんで?w」
「・・だって私だって勝ちたいもん」
「なにに?いつも俺にとってみぃちゃんがNo.1なんだけど」
「ちっがーう!!そんなことない!」
「なになに?何がしたいんマジで」
そう言ってなんか腕見せてくるみぃちゃん。は?何言ってんのこの子。どうしちゃったの。と思っていたけど少ししてハッと思い出した。え、待って。もしかして、なんだけど。この子はまた。
「ねぇー、またキンぷる見たんでしょ」
「見てるよ。毎週楽しみにしてるから。ちなみにクイズ平野くん結構当てれたよ?」
「いやいやw」
「もし私がサメになっても抱っこしてくれる?」
「なにそれw まって無理無理腹痛いwww」
「ねぇ早く勝負してよ」
羽織ってる長袖の上着を(これがまた某部屋着の可愛いやつで。マジでみぃちゃんのためにあるブランドだと思う)めくれば見えてくる白くて細い腕。いやいや何言ってんのこの子。
「え、見たんだよね?あの人たちの腕見た?」
「見た!すごかった!だから紫耀くん倒したら次はあの人たちに勝負挑む」
「は?絶対やだよ。俺以外の男と手繋ぐの禁止」
「いや繋ぐというか握り合う?」
「はあ?さらに無理無理。俺以外と握り合わないで」
「いーから!!早く!!!」
そう言って机に肘を置いて俺を呼ぶみぃちゃん。ちょっとマジで何言ってんのと思うけど彼女はこういうところがあるから面白くてたまらない。マジで歳のこと気にしてるみぃちゃんに言えないけど本当にこの人俺より年齢上なんだよな?って疑うことがあるわ。てか俺帰ってきて数分で腕相撲を可愛い彼女に挑まれてるんだけど。そんなことある?こんな状況普通ある?
「・・じゃあ勝ったらなんか賭けようよ」
「いーよ!紫耀くん勝ったらなんでも言うこと聞くよ」
「マジで言ってる?」
「言ってる。でも私が勝ったら、じゃあね、あ、キンプリの皆とご飯会させてよ」
「・・・えー、やだよ」
「日程決めててね」
「なんで勝つ気満々なの?え、おれバケモノの子だよ?自分で言いたくないけど」
「ねぇそれ自分で言わないで(笑)」
なぜかみぃちゃんは自信があるみたいで。とりあえずやらないと気が済まなさそうだからみぃちゃんの前に立って同じように机に肘を置いてスタンバイする。彼女の手を握れば柔らかくて、近くなる距離からいい匂いがして。あー、可愛い。至近距離で見るみぃちゃんえぐ。この子が俺の彼女とかほんとやばい。いまだに信じられない。
「いくよ?」
「おけー」
「れでぃー、ごー!!!!」
ぐっと込められる力。その力は全然で。え、なに?力入れてる?って思うけど前でなかなか苦しそうに踏ん張ってる彼女の顔はまあ悪くない。そんな顔もかなり可愛い。そう思ってニヤニヤしてしまうけど、マジで多分俺の力出すとみぃちゃんの腕が折れちゃう気がして何も反撃できないんだけど。怖いわ。無理だわ。
「、もお!!!んっっっ、」
「みぃちゃん」
「ん?っ!!!!」
そのままぐっと力を込めて俺の方に寄せれば彼女の身体は俺にさらにぐっと近づいて。手を塞いでるのをいいことにそのまま唇を重ねた。驚いたみぃちゃんは離れようとしたけど俺の掴んでる手からは逃れられるわけがないわけで。調子に乗って何度も何度も彼女の唇を奪う。
「んっ、やっ、」
「はは、ほら、力、入れて?」
「やっ、ん、しょ、」
「なーに?」
やっと離してやれば息ができずに苦しかったのか涙目になったみぃちゃんにジロリと睨まれる。そんなみぃちゃんに少し力を入れればまた彼女は慌てて腕に集中しだした。
「はは、ほーら、負けちゃうよ?」
「んっ、やっ、」
今度はみぃちゃんの耳にキスを落として。そのまま頬や目。色んなところに落としていけば彼女はついに我慢が切れたのか「もおおおお!!!」と反対の手で俺を押した。
「それは反則じゃん」
「だって!紫耀くん腕相撲関係ないことしてくるから!!」
「はーい、で、みぃちゃんの負け〜」
「え」
少し力をいれればパタンとみぃちゃんの腕は倒れて。やったー!とガッツポーズして彼女を見ればみぃちゃんは腕を押さえてうずくまってた。
「え、みぃちゃん!?」
「っ、たぁ、」
痛がる彼女に慌ててしゃがみ込んでみぃちゃんの顔を覗き込む。え、どうしよ。俺の力で!?怪我させたかもしれない。やばいやばい。
「みぃちゃん!痛い?痛い?ごめん!!そんな力こめたつもりないのに!!ほんと、まじで、どうしよう!そうだ!病院いかない、っ、」
その瞬間ちゅっと可愛いリップ音が響いて。目の前にみぃちゃんの顔が見えた。え、と思った時には彼女は俺の前でニコニコと可愛い笑顔を見せている。
「ふふ、仕返し♡だって紫耀くん意地悪するんだもん」
「、ちょ、まじ、焦った〜」
「あはは、紫耀くんが悪いんだからね?」
「なんで?てかみぃちゃん負けたよね」
「うん、僅差でね」
「どこがやねんw じゃあ俺が勝ったってことだよね」
「え?きゃっ!!」
そのままみぃちゃんを抱き上げれば彼女はびっくりして声を上げる。えー、なにこの突然のサプライズ。こんなご褒美まさか今日もらえるなんて。嬉しすぎ。
「何してもらおうかな〜」
「え?」
「だって俺の言うこと聞いてくれるんでしょ?」
「、あ、え、まって、」
「だーめ。さ、ベット行くよ〜」
「え、やだやだ!!まって!!」
「むりー、ちゃーんと言うこと聞いてね♡」
焦った顔してる彼女をそのまま寝室まで運んだ。寝室まで運んでベットに寝かせてその上に跨いで彼女の顔の横に両手をつけばほら。きっとみぃちゃんの視界は俺でいっぱい。俺だけの世界。
「・・、っ、」
「すげぇ可愛い顔してるよ?」
「・・、だって、紫耀くんかっこいいんだもん」
「ほんっと、みぃちゃんって凄い状況でも煽ってくるよね」
「・・・ほんとはね、ちょっと嫌だったの」
「ん?」
「だって紫耀くん高校生のこと近くで見つめてたから」
「・・・」
「どうにかして勝とうって思ったのは分かるけど」
「、」
「もお、紫耀くんはみぃのことだけ見ててよ」
ぐっと俺の首に回された腕と頭がクラクラするほどの甘い言葉。もう俺の理性が壊れるのなんて当たり前で。そこからはありがたく可愛い彼女を堪能させてもらった。みぃのことだけ見ててって。みぃちゃんまだわかってないの?もう俺こんなにもみぃちゃんだけしか見えてないのに。めちゃくちゃ重いほど彼女のことが好きだ。好きで好きでこの気持ちをどう言葉にしたら伝わるのか俺には言葉が見つからないぐらい彼女のことが好きで大切で仕方ない。けどありきたりな言葉しか並べない俺にでも彼女は優しく笑って俺の頬を撫でてくれる。ああ、伝わってるんだな。俺のこの気持ちが彼女にちゃんと届いてるんだなって思った。
「・・早くさ、一緒に住もうよ」
「、うん、」
なんとなく気づいてる。彼女は俺の恋人になりながらも距離が近くなっていくことに戸惑ってる節がある。それはきっと俺の想像だけど、なんとなく、前のトラウマがあるのかなって。引きずってることはないと思うけどまたそうなったらどうしようってそんなこと考えてる気がするんだよね。
「・・俺は離れないよ、」
「っ、うんっ、」
「好きだよ、みぃちゃん」
「、わたしも。大好きだよ、紫耀くん」
だから俺は何度でもしつこいぐらいこの気持ちを言葉にして態度にして伝えるよ。だから安心して俺に全部委ねてよ。何も不安にならずにただ俺のこと愛してよ。俺の腕の中で優しい笑顔を見せてくれるみぃちゃんに胸が苦しくなってぎゅっと抱きしめた。ああ神様。愛してる以上の言葉があればどうか僕に教えてください。そしてみぃちゃんの少しでも感じてる不安を全て取り除ける力を俺にください。それが俺の今の1番の望みだった。
手も足も出ない愛しさ、
(んっ、しょー、)
(・・ええ?可愛い可愛い可愛い無理無理無理。彼女が可愛すぎて俺死ぬんだけど絶対死ぬ)