プライベート7
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紫耀くんにおめでとうと沢山の愛を伝えてもらいそのまま夢の世界にいくという幸せな夜を過ごして。朝、ふと目が覚めればスヤスヤと眠る可愛い彼の寝顔が視界いっぱいにうつった。可愛い。本当に可愛いすぎる。ずるい。女の子の欲しい要素全部持ってるし。肌も綺麗でまつ毛も長いし。可愛い頬に思わず触れてしまいそうになればぱっちり開く目。
「っ、びっくり、したっ、」
「はは、おはよう、みぃちゃん」
普段から掠れ気味だけど寝起きはさらに掠れた声になるのも愛おしい。そんな彼におはようと頬に唇を落とせば嬉しそうに笑ってくれる紫耀くんに私も心が温かくなった。
「お誕生日おめでとう」
「ありがとうっ、」
「ちょっと早起きしちゃったね」
「・・・んーー、目覚めちゃったの」
彼の首に腕を回してぎゅーっと抱きつけば紫耀くんの匂いに包まれる。がっちりした身体はそのまま私を簡単に包み込んで。彼の胸元に顔を埋めれば紫耀くんの体温が暖かくて髪の毛を優しく撫でられた。
「・・・仕事行きたくなぁい」
幸せすぎて思わず出た本音。あ、やば。そう思って否定しようと顔を上げれば紫耀くんはびっくりしたように私を見ていた。
「なに?その顔」
「え、みぃちゃんからそんなこと初めて聞いたなって思って」
「え?そう?」
「うん、あんま仕事行きたくないイメージないもん」
「え、普通にあるよ〜?すごく幸せな時とかは行きたくないって駄々こねるの結構多いもん」
「そうなの??今のすげぇ可愛かったんだけど」
背中をトントンと優しく叩かれて髪の毛を手櫛で直してくれる彼の腕の中から誰が離れたいと思うんだろうか。こんな幸せな朝を迎えてしまったら。こんなにも心地よい体温に包まれていたら。ここから出たいと思うわけがないの。
「すげぇお祝いするからさ、楽しみにしててよ」
「・・それは楽しみ」
「でしょ?だから頑張っておいでよ」
「紫耀くん待ってる?」
「うん、みぃちゃんのことだけ考えてまってる」
「・・ふふ、そっか、じゃあ頑張る」
「う、可愛い、、しんどいわ俺もう」
ぎゅーっと抱きしめながらもう少しだけ2人で幸せな朝を迎えて。朝ごはんも紫耀くんが作ってくれたからそれ食べて(朝から美味しいサンドイッチとミルクティーを作ってくれた)今日は全部やってくれるみたいで髪までとかしてもらっちゃったりして。幸せでニコニコが止まらなくてずーっと笑ってたら紫耀くんもずーっと嬉しそうにニコニコと笑顔を見せてくれていた。そして名残惜しいけど、私は今日も絶賛ドラマ撮影中なのでパパッと用意をして現場に向かう。
「行ってらっしゃい!」
「行ってきます!」
彼の笑顔をしっかり脳裏に焼き付けながら現場につけば、色々な人にお祝いの言葉をもらってまた幸せな気持ちになれた。歳を取ることをこの年齢になると嬉しいとは思えないけど、けどこうして色々な人にお祝いされることは幸せだなと思う。現場皆にも祝ってもらって撮影もさらに今日は頑張れて。今日の出番はこれでおしまいなので帰ろうとしたら向こうから手を振って私を呼ぶのは見慣れたヘアメイクさんだった。
「あれ?どうしたんですか?」
「いいから、いいから、いくよー!」
「ええ、なんで?」
肩を押されてあれよこれよと言う間に楽屋に連れて行かれて。用意されてたのは今から私どこ行くのっていうほどきちんと正装した衣装だった。黒の少し背中がぱっくりと空いたドレスはとても綺麗だけど。あれ?撮影?とメイクさんたちに聞いてもなんとなくはぐらかされる。そのまま髪の毛も巻いてもらったりメイクも直してもらって出来た姿。
「さすがー!綺麗ー!」
「みぃちゃんよく似合ってる!ほんとスタイル良い〜」
「ありがとうございますなんですけど、え、これなに?」
うん、すごく可愛い服をきさせて貰って嬉しいけど。今日早く帰りたいっていう私の思いは残念ながら届かないのかな。
「佐藤くん今日雑誌の撮影入ったの?」
「あ、そうなんすよ。すみません。行きますよ」
「えー、私早く帰りたいのに」
「誕生日なのにごめんなさい、さ、早く早く!」
「「みぃちゃんじゃあねー!」」
「あ、失礼しまーす」
えー。早く帰れると思ったのにショック。なんで今日に限っていきなり撮影が入るんだろうと思いながらもこればっかりは仕方ない。たまにこういうことはある。向こうとのスケジュールが合わなかったのかもしれない。よし、諦めよう。とりあえず遅れることだけは伝えないと紫耀くんに遅れることを送ってマネージャーに着いて行く。けど撮影はここではしないみたいなのか移動があるらしく向かったのは駐車場。え、じゃあ着替えるのは向こうついてからのほうが良かったんじゃないかな、なんて少し思ったけどこうしたのはきっと何かマネージャーの理由があるのだろう。衣装が汚れないように気をつけながらも黙って乗り込みマネージャーの車に揺られる。
「寝てても大丈夫ですよ?」
「・・んー」
確かにちょっと眠い。寝ててもいいっていうことは移動長いのかな、それなら少し休憩しようなんて少し目を瞑った。けれども思っていたより早くに声をかけられて目を開けてドアから出ればそこは。
「ここ?」
「はい、先に中に入っててください」
「はーい」