プライベート7

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本当に最高な一日だった。みぃちゃんと予定が合ったから2人で遊ぶことになって。神社に行くまでは俺の家でゆっくりしようよという誘いに彼女は頷いてくれて。あー、最近俺の家に何回か来てもらってるけどみぃちゃん躊躇うこと少なくなってきたなぁって。こうやってちょっとした彼女の変化とかに気づくと胸がくすぐったくなる。そしたらちょっとしたらみぃちゃんから考えがあるからお昼は用意しないでね!と言われて。なんだろうと思ってたら彼女から渡された包まれた箱。え、何するんだろうとそこそこ重い箱を部屋まで運んで開ければそこにはマジでテレビで見るような料亭で見るようなおせちがあってびっくりした。声も出なかった。え、待って待ってこれ作ってくれたってこと?この年末年始めちゃくちゃ忙しい中で?みぃちゃんツアー中だし結構忙しそうにしてたのに?俺のためにここにつめて持ってきてくれたってこと??黙ってた俺に何を勘違いしたのか彼女が慌てて箱を閉めそうになったからそれを遮る。

(・・どうしよう、すごい嬉しい)

本当に涙が出てきて。そんな俺にみぃちゃんがあまりにも優しく笑ってくれるからその顔にも涙が出た。お雑煮にお節って完璧な正月料理が俺の机の上に並ぶことがあるなんて。思わず写真をたくさん取ってたらクスクス笑われて。2人でも一緒に写真を撮ったから俺の携帯にまた可愛いみぃちゃんがおさめられる。やべぇ、可愛い。しかもありえないぐらい味も美味しくて。あと唐揚げとか卵焼きとかを入れてくれている優しさも感じて嬉しかった。何気なくお正月料理ってあんまり好きじゃないなんて言ったから、きっとそんな俺を気にして正月料理以外も詰めてくれたんだろう。俺は彼女と出会ってからこうやって至る所にある小さな優しさをたくさん受け取っていつも温かい気持ちにしてもらえている。

(ふふ、なんでも一緒にやれば楽しいんだよ)

そこから食べ終わったら片付けはどっちがやるかになって(普通に考えて俺なんだけどね、こんなにやってもらったんだから)みぃちゃんを止めて立ち上がったけどキッチンの隣に気付けば彼女は立っていて笑って俺を見上げてた。ああ、好きだな。こういう何気ない瞬間に凄く思うんだよ。みぃちゃんのそういう考えがすごく好きだなって。こうやってずっとずっと隣にいたい。彼女がもし俺以外の男とこうして笑い合ってるって考えるだけで本当に嫌だと思うぐらい、俺だけの隣で笑っててほしい。人間ってなんでこんなに欲張りなんだろうね。ずっと俺だけに笑ってて、なんて。そんなこと思ってる俺を知ったらみぃちゃんは離れてしまうのかな。

(紫耀くん、あれカフェじゃないからね)

(・・・あ、見たでしょキンプる)

(うん、すっごく笑った。涙でた。れんれんも面白かったし)

(ねぇ、なんで今れんの名前出すわけ?)

(えー?てかれんれん元気?最近遊んでくれない)

(いや怒るわ。遊ぶなよ!廉と遊ぶ暇あるんだったら俺と遊んでよ)

そこから日もくれて2人で神社に行けば。至る所でみぃちゃんが俺をいじるから。本当にキンプる見るのやめてくれと思ったけど、彼女が俺と一緒にいない時でも俺を見てくれているという事実は悪い気がしない。でもあの番組の俺ってなかなか色々言われてるからかっこよくないんだけどなー。体力的な企画もっとやってもらうしかないな。

(よし、15円にしよ)

(なんで?)

(ん?十分なご縁がありますようにって意味があるの)

(はぁ!?みぃちゃん出会い欲しいわけ?いらないいらない)

(いや異性じゃなくても。色んな人とのいい出会いがって意味だよ)

(・・・いや絶対男も寄って来そうだからやめてくんない?それ)

(・・・)

(無視やめて!?)

(あー!返してよ!私の15円!!)

2人揃ってお賽銭して神様に挨拶をする。こういう時の彼女の作法はすごく綺麗だと思う。きっと周りの人と同じはずなのにみぃちゃんがやるとピシッとしてて綺麗なんだよな。別に神頼みが好きなわけではないし、最後は自分の実力だけど年始はじめのこの挨拶は嫌いではない。神様に話しながらきっと自分に言い聞かせてるからだと思う。

(・・どうか、神様、これからの俺の道が意味のあるものになりますように、めちゃくちゃがんばります)

今からの道が簡単だとは思わない。すごく大変なこともわかってらしいきっと今までが大きな船に乗せてもらってくれていたことを実感することは何度もあると思う。それでも自分で選んだ道だから。仲間もファンの皆も悲しませてそれでも決めたことだから。やり通すしかない。やり抜くしかない。

(・・あと、これはマジで神頼みなとこなんですけど、どうかこの隣にいる彼女と、ずっとずっと一緒にいれますように)

自分には何にもなくなっちゃうけど、それでも、この人だけは無くしたくない。手放したくない。かっこ悪くてもダサくても彼女だけは離したくないんだよ。

(みぃちゃんを笑顔にできる相手が俺でありますように)

静かな時間が2人に流れて。チラリと隣を盗み見すれば目をつぶってる彼女が凄く綺麗で思わずドキッとした。何お願いしてるんだろ。なんかだいぶ顔真剣だし。今神様にどんなこと話してるのかなー。盗み聞きしたいなー。そんなこと思いながらみぃちゃんを見ていれば彼女に触れたくなって。差し出しそうになった手をおさえる。ほんと最近の自分はやばい。歯止めが効かなくなってきている。みぃちゃんの隣にいると触れたくて仕方ない。ようやくゆっくりと瞳を開けたみぃちゃんは一礼をして、そしてやっとこっちをみてる俺に気づいたのかびっくりしてた。あー、かわいいなぁ。さらりと彼女の手に自分の手を絡ませればみぃちゃんは困ったように手を解こうとしたけど、気づいてないふりをして繋いでやる。(人いないしいけるだろ)

(せーの!!!・・・さぁ、紫耀くんこれなんて読むの?)

(いやだからキンプるネタやめてってw)

(あそこ本当に笑ったもんw 3回巻き戻した笑)

(おい!ww)

2人して末吉をひいて。みぃちゃんは隣で険しい顔で読んでた。「うわ、最悪なことばっかり」と嫌な顔するみぃちゃんに俺も自分のおみくじに目を通せば同じく悪いことしか書いていない。けどそれでも待ち人だけ。

(・・・、その人で、間違いなし、)

もうその文字だけで無理だった。あー、やばいなと思った。もう無理だ、自分の気持ちをこれ以上誤魔化すことなんて。みぃちゃんを見れば彼女も目をパチクリとしておみくじを見ている。けどすぐにへにゃりと笑って「どっかに結ぼう」と言うからそんなみぃちゃんのコートのボタンポケットに俺のおみくじを結んだ。

(ふふ、だからさ、それなんなの?)

(ええ?てかキンプる見て感想あれ1発目おかしくない?)

(おかしくないよ!こんなとこにおみくじ結ぶ人初めて見たんだもん)

ねぇ、みぃちゃん、今からさ俺が話すこと受け止めてくれるかな。ずっとずっと我慢していたこの気持ち、もう神様に後押しされちゃったら言うしかないんだよ。

(みぃちゃん、ドライブしようよ)

だから2人で車に乗ってあてもなく運転した。曲いっぱいかけて歌って喋って飲み物買って飲んで。休憩してまた運転して。いっぱい笑っていっぱい喋って。気がつけば辺りは真っ暗になってたから、慎太郎に教えてもらった好きな場所へ彼女を連れて行くことにした。

「うわー!!すっごーーい!!」

「でしょ?森本慎太郎に教えてもらったの!ここ景色やばいよって」

「・・うっわー、ダイヤモンドみたい、、」

「外出る?ちょっと寒いかもだけど」

「ううん、まだここでいい」

「え?」

「車の中で紫耀くんと2人でもうちょっと見たい」

そう言った彼女の瞳がなぜかすごく潤んでて。なんかそれがみぃちゃんの感情が全部伝わってる気がして。あー、これはやばいなと思った時にはもう無理で。彼女の手を握って自分の頬にあてていた。

「・・ちょっと聞いてほしい話があるんだけどさ、いい?」

「・・・」

「俺今まで誤魔化してた、このままこうやってみぃちゃんと笑い合えたらいいって本気でそう思ってたから」

「っ、ま、って、紫「またない。待てないよ、もう」

「っ、」

「けどそれじゃあもう無理になった、俺だけに笑っててほしい。俺の隣にいてほしい。こうやってみぃちゃんに触れるのは、俺だけがいい、」

「、っ、」

「俺今から本当に何もかも無くなるし、マジでみぃちゃんにこんなこと言える土俵にも立ってない男、なんだけど、だけど、」

「、」

「・・・みぃちゃんのこと世界で1番好き」

「、っ、」

「この気持ちは誰にも負けない自信だけはある」

「っ、」

「俺が幸せにしたい」

「、っ、」

「俺の、彼女になってくれませんか?」

どんどん瞳が潤んでいった彼女の大きな瞳から大きな雫がぽとりと流れて。それは止まることを知らなくて。慌ててみぃちゃんの涙を拭っても拭ってもそれは止まらない。そして彼女は自分の手で顔を隠してしまって。そこから何も話さなくなってしまった。

「・・いきなりごめん、でももう俺自分の気持ち誤魔化せないし、みぃちゃんがただの可愛い後輩って思ってくれてるのに、俺だけこんな下心ありまくりでいるのも悪いっていうか、「・・・ずっとずっと考えてた、」

彼女の小さな震える声が俺の耳にしっかりと届く。

「ああ、この人の隣にいたら、きっといつも優しい気持ちになれるんだろうなーって、」

「・・・」

「一緒にいると、落ち着いて、素敵な人だなぁ、もっともっと一緒に色んなことしたいなって思ったの」

「、っ、」

「でも、紫耀くんには、未来がある。今からどんどん道を進んでいくのに、わたしは、歳を重ねすぎてる」

「、そ、んな、「そうなの。紫耀くんにいつかわたしの存在が重荷になるかもしれない、私が邪魔になったらどうしようって、」

「・・・」

「でも、人間って欲張りだよね。紫耀くんを知れば知るほど、もっともっと、って思うのっ、もっと、知りたい、もっと、一緒にいたい、もっと、触れてたいっ、」

ゆっくり伸ばされた手。みぃちゃんの綺麗な小さな手が俺の手に重なって。そして彼女の大きな瞳が雫を何滴も垂らしながら俺を射止める。

「このワガママが許されるなら、ずっとずっと隣に、いてほしいっ、」

「、っ、」

「紫耀くんと、この先も一緒に2人で、歩いていきたいっ、」

視界が歪んだ。まさかのみぃちゃんからの言葉に頭が真っ白になって。ああ、だめだ。彼女をちゃんと見たいからグッと涙を拭って見る。みぃちゃんの大きな瞳は俺を離さない。

「、っ、私を、紫耀くんの、彼女に、してくださいっ」

もう無理だった。ぎゅっと腕を引っ張って抱きしめれば俺の腕の中にすっぽりおさまるみぃちゃん。言葉が出ない。なんて言えばいいかもわからない。俺は今日のこの日を一生忘れないと思う。それぐらい幸せでたまらない。俺の背中にそっと回る彼女の手が嬉しくて仕方ない。

「っ、あー、やばい、嬉しくて死ぬ」

「、」

みぃちゃんに手でおされてそっと離れた身体。彼女は自分の瞳を拭うと目も鼻も赤いままでにっこり笑った。

「、知らないからね、私を彼女にしたら、思ってるより、知らないからね」

「・・え、なにそれなにそれw」

「だって、紫耀くんが思ってるより私ね、紫耀くんのこと好きなの」

「、っ、」

「やっぱ無理、って言ったって、こっちは覚悟決めちゃったんだから、もう遅い、からね?」

そう言って頬に手を当てられてへへっと笑う彼女に我慢できる男がいるなら教えて欲しい。みぃちゃんの手首を握って唇を重ねた。彼女はそんな俺にパチクリと目を丸くする。そのままこつんとみぃちゃんの小さな額に合わせて彼女の瞳と重ねる。

「それはこっちの台詞だし。しらねぇからね、もう俺の彼女なんだから。重すぎる愛全部受け止めてもらわないと」

「、っ、ふふ、わかった、こぼさず受け止めるよ」

ねぇ、神様。こんなにもこんなにも幸せなことなんてもうこないと思う。それぐらい今俺はこの瞬間を例えおじいちゃんになってもたとえ他の記憶を全部失ったとしても忘れないと誓った。それぐらいこんなにも幸せな瞬間は人生で初めてだった。もう一度ゆっくりと重ねた唇にみぃちゃんの瞳からまた大きな雫が溢れる。ねぇみぃちゃん俺さ、これから誓うよ。みぃちゃんを一生幸せにするって誓うから。幸せ涙しか流させないし何からも何があってもみぃちゃんだけは守る。

「やべぇ、神様、かなったじゃん」

「ん?」

「こっちの話」

ニコニコと笑うみぃちゃんに後で俺のおみくじを見せてあげよう。彼女のコートに結んであるおみくじには待ち人だけ正確に書いてあったから。
『待ち人:その人で間違いなし。ぶれるな。』

そして後からみぃちゃんも同じ内容が書いてたことを知り2人で笑い合ったのだった。


彼女と僕の物語の始まり、


(紫耀くん外出て見ない?)

(・・もうちょっと抱きしめさせて)

(夜景見えないよ?)

(俺もう今夜景どうでもよくなってるんだよね)

(・・えー・・w)

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