プライベート7

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昔から紫耀はスターの道を歩んできた。そりゃ何もしらないし考えない人からしたら単純に羨ましいなって思うと思うけど。それでも俺はそんなあいつを近くで見てきたからこそ、ずっとスポットライトを当て続けられる人生がいかに大変なのかはよく分かる。世間のイメージで固められて勘違いされること、勝手に決めつけられること、相手に独りよがりでたてられる高いハードル。紫耀はその都度その都度自分の感情を押し殺して、事務所のためグループのためファンのために自分を犠牲にしてやってきた。そんな彼が今はやりたいことをやりたい人たちとだけやって、我慢せずに自分の力を出し切れて、そして何よりもああやって大事な人に自分の気持ちや感情を隠すことなく全部ぶつけられるんだから。こんなにも良かったなと思うことはないんだよ。

「ほら大丈夫だよ、みてごらん」

「・・・・みぃちゃんすげぇ」

向こうにいる2人を見ればもう嬉しそうに笑う紫耀がいて。ケタケタ笑って腹抱えて笑ってみぃちゃんと写真を撮ってる。彼女も紫耀の腕に手を回して紫耀にくっついて本当に楽しそうに笑ってるから見てるこっちまで幸せになるわ。あの2人を見てると恋愛したいなぁって。恋愛っていいなって思えるから不思議なんだよな。だからこっちからマネージャーと、2人の姿を何枚も撮ってしまうのは自然なことだと思う。だってすげぇいい絵なんだもん。マネージャーくんなんて絵になるって感動してちょっと泣いてるし。確かにあれはドラマか映画の世界だよな。

「あ!帰ってきました」

しばらくして仲良く手を繋いでこっちに帰ってきた紫耀とみぃちゃん。さっきとうって変わってめちゃくちゃ喋りだす紫耀にマネージャーくんはちょっとまだ怖がってたけど、みぃちゃんと目が合うとウインクを一つかまされたから、参りましたと両手をあげて降参ポーズを見せた。

「紫耀くんってマジみぃちゃん好きっすよね」

「んー、同じぐらいだよ?」

「え?」

「同じぐらいみぃちゃんも紫耀のことめちゃくちゃ好きなんだろうなって思うもん」

まず顔が違うんだよ。みぃちゃんは誰にでもニコニコしてめちゃくちゃ愛想いい人だとは思う。みぃちゃんが不機嫌なところなんて一回も見たことないし。マジでテレビで見ても雑誌で見てもプライベートでこうして会ってもいつでも可愛い。この可愛さが無い日を俺はまだ見たこともないし、きっとこの先も一生ないとは思うんだけど。けどやっぱりプライベートでこうして紫耀を前にしてる彼女がどんな時よりも1番可愛い顔をしている。マジでこれは多分紫耀の前にいるみぃちゃんを見ないと(しかもプライベートでの)わかんないことだとは思うけど。だからこそ、ああみぃちゃんって本当に紫耀のこと好きなんだろうなってそう思うもん。

「うっま、え、なにこれ、やばくない?」

「やばーーー!!!!」

「美味しい〜!!!!」

植物園のあとはディナーで美味しいレストランへ行った。その店はカニ推しだったから、エプロンまで可愛いカニの絵が描かれていて、それつけたみぃちゃんがあまりにも可愛くてシャッターが止まらなかった(みぃちゃんは紫耀を可愛い可愛いって撮りまくってたけど。おたくらマジでバカップルか)料理がすげぇうまくて最高で。やばいやばいと3人で箸が止まらない。みぃちゃんは普段は少食だけど、旅行っていうイベントにワクワクしてるところがあるからなのか、普段よりも食べたり飲んだりしてる姿も印象だった(紫耀がそれに嬉しそう)

「みぃちゃんこのカニ大きくて美味そうだよ!ほら」

「わー!紫耀くんが食べて?」

「俺食べた。ほら、あーんして」

「ん、ありがとう」

この2人はお互いを思いやる人達だからちょっとした日常でもお互いがお互いをいつも想う姿がよく見られる。今だって紫耀がカニ取ってあげてみぃちゃんに渡したり。紫耀のグラス無くなったらそっとメニュー渡すみぃちゃんがいたり。自然と取り分ける紫耀と、同じくサラダとか分けてくれるみぃちゃん。お互いよく気がつくところもあるからか、2人が自然にさっといろんなことをしてるから俺は自分が何もできてないことに気づいてちょっと反省したぐらい。俺もお酒が進んで気持ちよくなってきたけど、みぃちゃんも今日は少しお酒が回ってふわふわしてるのか頬が赤くなってきていた。あ、みぃちゃんがこんなのなるの俺初めて見たかも。

「ちょっと、もう飲むの禁止」

「ええ、このシャンパン美味しいのに・・・」

「だめ。ほっぺた赤くなってきたよ?」

「え、うそ。それは恥ずかしい、やめとこ」

「ホテル帰ったら飲んでいいよ、買って帰る?」

「いらないよ〜、私そんな飲みすけじゃないもん」

うそ。知ってる。紫耀から聞いて見せてもらったこともあるけどみぃちゃんメンバーといたらいつもありえないほど飲んでるらしい。多分この人は飲める人なんだと思う。けど性格からして周りに合わせる人。だから紫耀も飲まないし俺も多分飲むほうだけどそんなみぃちゃんのメンバーさん達みたいには飲まないから、そのペースにきっと合わせてくれてるんだろう。それにしても顔赤くなって目もうるうるして。なんだかふにゃふにゃになってるみぃちゃんが可愛すぎて困る。いやマジで目のやり場になんか困るわ。可愛すぎない?って思ってたら紫耀にバレたのかすげぇ顔で睨まれた。

「みぃちゃん最後デザート食べて帰ろ?」

「ん〜??デザート??」

「やばいやばい、ちょっと!だいぶ酔ってるし!!」

「ん〜?酔ってないよ?じんくんもあまいの食べる?」

向かいに座る俺にメニュー広げてにっこりというよりは、へにゃりと笑ってくれたみぃちゃんが可愛すぎてメニューより彼女から目が離せないでいると立ち上がった紫耀におもいっきり頭を叩かれる。ごめんなさい。今のは男のサガです。無意識です。

「あ!!ぼうりょく!だめだよ?めっ!」

「もうしゃべらないで!喋り方可愛くなってんねん!!!」

「んーーー、」

「みぃちゃんってマジ脅威だわ・・」

「ね?兵器すぎない?やばいわ。みぃちゃんケーキにする?アイス?」

「んー、、、」

「冷たいの?甘いの?」

「いやアイスも甘いやろw」

「んーー、なやむけどぉー、アイス!」

「おっけ。じゃあ俺ケーキにしてあげるからね」

「!!しょーくんてんさい!すき!」

「はいはーい、どーもです」

きっと家ではこんな感じだなって感じで紫耀が慣れたように彼女をあしらっていて。けどふわふわ揺れるみぃちゃんの腰はちゃんと支えてる。それ見て少し俺も顔が熱くなった。照れるわ。親友のこういうところ気づくと若干の恥ずかしさはいつまでもあるんだなって。それから紫耀が頼んだデザートもきて。みぃちゃんはアイスが美味しかったみたいで紫耀にスプーンにすくったアイスを差し出してた。

「うんま!!やばいね」

「ね!!おいしいよね〜、こっちなにあじだろ〜」

「苺とかじゃない?」

「あ、らずべりーだ、はい、じんくんも」

「「え」」

前でスプーンにすくって自分で食べた後に今度はオレにアイスをとって差し出してくれた彼女に声を出したのは男3人で。固まるオレらにみぃちゃんも「ん?」と隣の紫耀を見てる。あ、あかん。みぃちゃん死んだぞ今の発言は。てかなんでオレ、俺にいま差し出しちゃったの。

「あれ、わたし、ん、」

俺らが止まっちゃったから、少し溶けてきて垂れてきたアイスのスプーンを紫耀が引っ張ってぱくりと口に咥える。それからみぃちゃんの手首を掴んだまんま自分の方に抱き寄せた。

「あのねぇ、みぃちゃんマジでもう外で酒飲むの禁止」

「んー?あ、ラズベリーおいしかった??」

「美味かった美味かった、ほらもう眠いでしょ?」

そのまま自分の胸の中に彼女を包み込んで肩にみぃちゃんの頭をこてんと預けさせた紫耀は、残りの余ってるご飯に手を出した。みぃちゃんは「ねないよ〜?アイスまだあるから〜」と言いながらも本当に眠いのか目をパシパシさせて紫耀にされるがまま大人しくしてる。そこから紫耀は仕事の話をオレらにふりながらもみぃちゃんの頭を時々優しく撫でたり。背中を軽くトントンと叩いたり。それにオレには見えないけど多分彼女の手を繋いでたり。なんとなーくそんな雰囲気を見ながらもみぃちゃんもだんだん目が閉じていって。そしてついに、

「あ、みぃちゃん寝たよ」

「やっぱり?酔ったらフワフワしてニコニコして甘えて、コテンって寝ることを学んだ」

「へー!甘えて、が見れなかったの残念」

「意外と酒飲んでても家と外じゃ違うからそこは意識ちゃんとあるんじゃない?」

「くー、、ますます可愛いなぁ、家のみぃちゃん見たい」

「はあ?だめに決まってんじゃん、あれはオレだけの特権」

そらそうだろうな。彼女もきっと昔から異端の目を向けられていろんな人に警戒心持って生きてきてるんだから。そりゃ普通の人よりそういう神経は研ぎ澄まされてそうだし。オレのこともだいぶ信用してくれてるみたいだからこうして酔った姿とかは見せてくれるようになってきてるけど。それでも家での紫耀だけの前に見せる姿とは全然違うんだような。そしてそれはきっとこれからも紫耀しか見れない特別な姿なんだろうなって。

「みぃちゃん幸せそ〜、可愛い。写真とってあげる」

「ん」

「・・・ほら、みて?」

「うわ、げきかわ。送ってね」

「後でみぃちゃんアルバム作っとくわ」

「さすが」

今だって誰よりも幸せそうに口元緩めて紫耀の肩で眠ってて。紫耀の腕に腕からめてくっついて。時折紫耀にあたまなでられたりしたら嬉しそうに口元緩んで。あー、可愛いなって。恋する女の子マジ無敵だわ。本当にみぃちゃんが紫耀のこと大好きなんだろうなって感じる。やべぇ可愛すぎて頭おかしくなりそうだもん。

「めちゃくちゃみぃちゃん楽しそうだね」

「な、良かった。いい息抜きになる」

「だといいね」

そこからはもう彼女も寝ちゃったしすぐホテルに帰ろうとなって俺は紫耀とみぃちゃんと別れた。最後フワフワとしながらも、おやすみ〜と言ってくれた彼女に胸キュンしながらも俺は今日一日中めちゃくちゃいっぱい撮った2人の写真を見返す。うわやっぱりいいな。俺めちゃくちゃ上手に撮ってるんだけど。2人専属のカメラマンじゃん。やっぱりみぃちゃんは紫耀とうつってるときが1番可愛い顔してるし、紫耀はみぃちゃんを見てる目がマジで優しすぎてびっくりする。

「この写真見るだけでわかるな、2人とも最高かよ」

ああどうか神様。お願いします。この2人にいつまでも優しい光を与えてあげてください。俺は2人ならこれから何があっても大丈夫だと思うけど、今何があるかわからない世界だから。だからこそ、この2人がいつまでもお互い支えあって生きていけますように。そんなことを祈りながらも、1人悲しく部屋にいることが虚しくなってマネージャーくんにすぐ電話して夜飲みを始めたのは仕方ないことだと思った。


俺の親友と彼女。


(みぃちゃん可愛すぎるよな、マジでやばい)

(はい、本当にみぃちゃんファンにどんどんなります)

(わかる・・・)

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