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□ひとりあそび
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「うーん、なかなかうまくいかねーな…」

「どうしたんだい?おチビちゃん」

「大したことじゃねーけど…このゲーム、なかなか赤のQが出なくってさぁ」

パソコンと向き合い、頭を悩ませてるようだから冷やかしてやろうとおチビちゃんの目の前の画面をみると、有名なトランプゲームだった。
課題のことかと思ったんだけど、俺の見当違いだったようだ。
解決策は簡単だ。画面を消してやり直せばいい。
あえてそれを教えないのは、さっきから百面相してるおチビちゃんを見るのが楽しいから。
まぁ、おチビちゃんの性分からしてそんなずるい真似はしないだろうけどね。

「ここに出てんのはスペードのQだろ?だからクラブのKに重ねらんねーんだよ…あー、このQがハートかダイヤだったらなぁ…」

おチビちゃんの指差すスペードのマークの藍色に、あいつが頭を過って自分に少し呆れた。
周囲の手札も動かせないとなるとお手上げするしかない。

「うーん、そうだね…このハートの2をこっちに持っていけば下のカードが動かせるかな」

「おおっ、ホントだ!ありがとな!」

それから数分。
あれからおチビちゃんは多少悩みはしたものの、手札のカードが残り一枚になったらしい。

「終わったー!このカード乗せたらクリアだ!レン、この最後に出てくる画面綺麗だから見てろよ!」

「ふーん、」

先程手間取っていたスペードのQとクラブのKは隣同士でそれぞれお互いに合うカードを乗せていた。

カードが動き、不規則な模様を作る様は確かに綺麗だったけれど、その模様で消されていく藍色が気になった。
どんどん上塗りされている様子を気付いたらぼーっと眺めていた。

そういえば実家から今週末お見合いがあると電話があったな。
顔も名前も知らないレディだ。
いや、本当は何回も会って食事してて、俺が興味がなくて覚えていないだけかもしれないけれど。

「授業前におわってよかったぜ…ってレン、お前どこに行くんだよ!」

「ちょっと胸のあたりが痛くて、ね」

ふざけた調子で伝えると呆れたように文句を二三言われたけど、よく聞こえなかった。

クラブとスペードのように、いくら互いを思っても性別という壁のために交わることはないんだ。
俺も、アイツも隣で幸せになっていく様を見て想いを焦がすことしかできないんだろうか。
最初からわかっていたことなのに、いつから聞き分けのきかない子どもになってしまったんだろう。

欠伸を一つ噛み殺すと、寮への道に足を向けた。



2013.3.22


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翔ちゃんがやってたのはソリティアと言い張ります。


UTA☆PRI


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